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#028.武満 徹

 

【PartI 「TVドキュメンタリー武満徹」より】


作るのではなく、聞こえてくる音を取り出すという考え、
命や自然を聴くということに生涯をかけ、彼にしか聞こえない音、
発見できない音、宇宙の音と評されるほどの独創的な音楽観、
作品で、世界的に音楽界に新たな大きな発見と衝撃を与えた作曲家。

「戦争が終わったら、僕は音楽家になろう」

終戦後、手探りで作曲を学ぶ。紙にピアノの鍵盤を書き、練習をした。
クラシック、ロック、ポップ、隔たりなく様々な音楽を聴き、様々な演奏家たちと交流をした。

西洋の音楽に違和感も覚える中、やがて地にはり、空へ伸びる樹の命に魅かれ、
大きなインスピレーションを受け、自然の中で暮らし始める。
そこから得た発想を音符やスケッチにした「樹の曲」「雨の樹」など、樹の曲を数々と作曲する。

自然の美しさを尊重した日本の庭にまつわる曲もたくさん残す。
「秋庭歌」など、日本的であり、宇宙の神秘さ、美しさを音による庭として表現した。

「海の音楽をつくりたい」

晩年は、幾層もの上流を包み込む海という、
西洋と東洋の発想というのを越えたところで作曲。
「waterways」は、各楽器は夜の海をそれぞれの水路にそって進み、
やがて小さな支流は合流して調性の海へ進むという壮大なスケールで書き上げた。

「地上の異なる地域を結ぶ海と千変万化する豊かな表情に次第に心を奪われるようになった。
できれば、鯨のように優雅で頑健な肉体をもち、西も東もない海を泳ぎたい」
音楽が体を貫いて世界と輪になってつながっていく曲集「海へ」。
各地から流れてくる波や風のような旋律は心の振動を覚え、宇宙、生命のつながりを感じさせる。

全て同じ命。それを音でつなげていく。
深い探究心、叡智に満ちた偉大な芸術家である。


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