tブレスヴォイストレーニング100メニュ
  はじめに

   ブレスヴォイストレーニングとは、表現から声を純化してとり出し、声楽的基礎も踏まえながら、ポピュラーの多用な個性的な声として使うスタイルを構築していく方法といってもよいでしょう。

声のベースづくりは、声量から
 ほとんどのヴォーカルトレーニングは、声域ばかりを伸ばそうとま違った発声を教えています。自己流でやっている人も同じです。その結果、正しくやれば一年ごとに力がつくヴォイストレーニングさえ、何年たっても身にならないどころか、のどをこわしたり、いつも不安定ななかで歌うことを余儀なくされているのです。
 それに対し、ブレスヴォイストレーニングは、最初に声域よりも声量を重視しています。叫べもしないのに歌えないということです。ですから、体が鍛えられるとともに声の可能性がどんどん開かれてきます。しかも、表現するために必要な音感やリズム、センスは、このトレーニングのなかでしぜんと身についてくるのです。

○歌と声について
 一般的に発声で“1オクターブ半でると、1オクターブ半近く歌える”と思われています。しかし、この場合の発声というのが単に声がその音に届いているというだけの場合がほとんどです。
 ブレスヴォイストレーニングの発声は、声のみのチェックゆえ、とても厳しく、1音、完全に声を出せるなら、半オクターブ出せ、1オクターブ発声でしっかりと音がそろうなら、2オクターブで歌えるといっています。たとえば、2〜3オクターブ使って歌っている人でも、私がチェックすると、たった一音もまとまな声が出ていないことがほとんどです。歌は、声だけではないということは、声の完成度がなくとも、相当、カバーできるということです。声だけを聴かせられるわけでは、それでよいのです。声よりも声で何を創り出すかの方が大切なのですから。しかし、だからこそ、ヴォイストレーニングにおいては、しっかりと、完全に使える声をめざしてがんばることが大切なのです。

○声そのものだけで伝える表現
 ヴォーカリストであるのなら、声のみで伝わるものがあることを忘れてはいけません。感情も心も入れずとも、これが声の技術の部分です。トランペットを一吹きしたときに私たちの心に伝わるものと同じです。メロディもことばもなく、純粋な一音で伝わるもの、それをヴォーカリストは求めなくてはなりません。
 これができないところの歌など、まやかし(それでもよいのですが)です。表現そのものの求める強さに対し、歌は弱さを飾ってみせがちです。それでも、歌ってしまえば、何とかなるのでしょうが、どうも歌が声の邪魔をしたり、表現を妨げるだけで終わってしまう場合が多いようです。体からあふれる声とそれに感情を入れたことばがぶつかって、しのぎあうところに、本物の歌が生まれてくるのです。どうせやるなら、本物をめざしませんか。ヴォーカリストにとっての体は楽器、音は声なのです。その完全な調律ができずに、どうして人を魅了できるのでしょうか。そこから考えてみてください。

○体に順う 体にきく(声の判断)
 可能性のある声を選ぶことです。本当に正しい声の判断は、一流の声を聞き、自分の体や息を使いこなし、体にきき、さらに、自分が表現していこうとする世界への欲が教えてくれるものです。この声なら、今から先、伸びていくと、大きな可能性が、世界の一流のヴォーカリストと張り合えるかもしれないという声の兆しがなくてはなりません。このことは、すぐにはわかりませんが、声を理解し、体を使っているうちに、体が教えてくれます。

○すべての声を一つにまきこむ
  体を入れれば感情がでてくるように、感情から歌を表現していきます。声に体は出ます。心や感情とともに体が伝わる声をもつことです。そのために、絶対に身につけなくてはいけないもの、深めなくてはいけないものをつかむことです。それは、最初は、使いにくく重いものですが、使っているうちに、自分の体が軽くなり、羽がはえたように飛んでいきます。よく飛ぶボールも適度に重いのです。

○体の使えるところまで声は出せるようにしていく
 体は鍛えるほどに強くなります。しかし、最初は声を思いきり出すには貧弱なのです。ほとんどの人が体から声を出せないからです。だから、清書に体と声とを結びつけていきます。すると、体を使った分だけ声が出るようになります。やがて息も深くなってきます。すると、今度は体が使えるところまでしか、声が出せなくなります。しかし、それでよいのです。そこで体がついている声は即、プロとして使える声なのです。あとは、ゆっくりと体とともに本当の声量、声域を伸ばしていけばよいのです。メロディラインのなかに声の線がみえてきます。

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