「声は1分でよくなる！」（秀和システム）福島英著　1,300円　2016/4発売

 

 

 

　私はヴォイストレーナーとして、これまで多くの人のさまざまな声の悩みに耳を傾け、かれこれ30年以上がたちました。
　考えてみれば、自分の声とはほぼ生きた年数分、誰もが付き合っています。末永く付き合う声ですから、自分がいいと思う声と共に歩みたいと思うのも当然ですよね。

 

　近年、日本人の声が生き生きとしていないことに大きな危機感を覚えています。人間は、声のことばでコミュニケーションをとってきました。音を空気の振動にして音の波を共に鳴らし合って、共に感じ合ってきました。共感、共鳴、共振、そして、共生です。

　声はただ、内容が伝わるように使えばよいというものでありません。それならメールで足ります。その動きやリズム、躍動感や命をもってこそ、十分に働くのです。

 

　この本を手に取ってくださったみなさんは、きっと自分の声に興味がある方々のはずです。自分の声に自信がなく、いい声に変えたい、あるいは上手に話せるようになりたい－この本を読んでいただき、自分の声に少し意識的になることで、好きな声が出せるようになりますし、あるいはうまく声を使って話すことができるようになるはずです。

　みなさんが気分ののらないままに声を発すると、それを受け取る相手は、あなたの体調がよくないのだと思います。あるいは気難しい人だとか機嫌が悪いと思い、離れていきます。ものごとがうまくいかなくとも、大失敗しても、あなたが誠実な声で対処すればものごとは必ずよくなります。険悪なときに、あなたが一声、明るい声を使えたら、それ以上、修羅場にはなりません。

　声には人間関係をよくするパワーもあるのです。

 

　よい声になるのは難しいことではありません。最初は姿勢よくするだけ、あるいは腹式呼吸をマスターするだけでもOKです。これだけでも、よい声に近づくことができます。本書では、1分間でできる簡単トレーニングをたくさん紹介しています。目的に合ったトレーニングにぜひ取り組んでいただければと思います。

 

　私は、最近思い切って声で感情を出すこと、ヴォイスデトックスを提唱しています。現在、誰もが本音を出せないままためこんで心身がまいってきているのを感じているからです。声を出すことは感情を解放して自らを爽快にします。人気の健康法でもある呼吸法、ヨーガなどよりもストレートです。本書で取り上げるトレーニングの実践は健康にもプラスになるはず。

　ちょっとした努力と習慣づけでよい声を手にしてみませんか？　（「はじめに」）

 

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