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楽 典

【楽譜についての基礎知識】

CONTEXT<目 次>

【五線】
【音名と階名】
【小節と縦線】
【強起と弱起】
【速さの表示標語】
【速さの表示記号】
【奏法の表示法】

<楽譜についての基礎知識>

【五線】

 現在、ほとんどの音楽は“五線”を用いて記譜されます。名線や各間の呼び方は次の通りです。五線内に記譜できない音は“加線”という臨時の短い線を用いて記譜します。

【音名と階名】

<音名>
 音の高さにつけられたそれぞれの固有の名前を“音名”といいます。また、楽譜上で#(シャープ)や♭(フラット)によって変化されていない音の名前を“幹音名”、変化された音の名前を“派生音名”といいます。

◇幹音名
日本       ハ          ニ           ホ       ヘ       ト        イ          ロ
アメリカ&
イギリス  C(シー) D(ディー) E(イー) F(エフ) G(ジー) A(エー) B(ビー)
ドイツ   C(ツェー) D(デー) E(エー) F(エフ) G(ゲー) A(アー) H(ハー)
イタリア   Do(ド)   Re(レ)     Mi(ミ)  Fa(ファ) Sol(ソル) La(ラ) Si(シ)

◇派生音名
1.#(シャープ)によって変化された音の名前

日本    嬰(エイハ 嬰ニ         嬰ホ         嬰ヘ        嬰ト          嬰イ         嬰ロ
ドイツ  Cis(ツィス) Dis(ディス) Eis(エイス) Fis(フィス) Gis(ギス) Ais(アイス) His(ヒス)
アメリカ&
イギリス C sharp(シー・シャープ) D sharp(ディー・シャープ) E sharp(イー・シャープ) F sharp(エフ・シャープ) G sharp(ジー・シャープ) A sharp(エー・シャープ) B sharp(ビー・シャープ)

2.♭(フラット)によって変化された音の名前

日本   変(ヘン)ハ   変ニ        変ホ      変ヘ         変ト          変イ       変ロ
ドイツ  Ces(ツェス) Des(デス) Es(エス) Fes(フェス) Ges(ゲス) As(アス) B(ベー)
アメリカ&
イギリス C flat(シー・フラット) D flat(ディー・フラット) E flat(イー・フラット) F flat(エフ・フラット) G flat(ジー・フラット) A flat(エー・フラット) B flat(ビー・フラット)

<階名>
 音階の相対的な呼び方を“階名”といい、“ド・レ・ミ〜”を用います。各音階の主音を“ド”(短音階では“ラ”)として、すべての音階に適用します。

◇臨時記号

 曲の途中で臨時に音の高さを変えるときにつける記号のことを“臨時記号”といいます。臨時記号は音符のすぐ左につけ、次のような記号で示されます。
  ♯シャープ 半音上げる
  ♭フラット 半音下げる
  ♯♯ダブルシャープ 半音上げた音をさらに半音上げる
  ♭♭ダブルフラット 半音下げた音をさらに半音下げる
  ナチュラル 音をもとの状態にもどす

◇臨時記号の効力

1.つけられた音符のあと、その小節内にかぎって有効です。
2.1オクターブ以上はなれている音には無効となります。
3.同じ五線で同じ小節内であれば、音部記号が変わっても効力は失われません。
4.タイによって結ばれている音符であれば、小節をまたがっていても効力は失われません。

※基本的には上の譜のとおりですが、それぞれよりわかりやすくするために、無効となる音符の前にナチュラルがおかれる場合もあります。

【小節と縦線】

 拍子をはっきりとさせるために、拍子記号とは別に“縦線(じゅうせん)”という五線を垂直に区切る線を用います。そして縦線と縦線のあいだを“小節”といいます。
 ふつうの場合の縦線は線が1本ですが、曲の段落、重要な区切り、また調号を変える時などには2本の線を用います。この2本の線のことを“複縦線”といい、とくに曲の終わりに用いられる複縦線のことを“終止線”といいます。
※終止線は2本の線の右の線が太い。

【強起と弱起】

 曲には最初の音が強拍から始まるものと弱拍から始まるものとがあります。これをそれぞれ“強起の曲”、“弱起の曲”といいます。
 単純な弱起の曲では、最初の小節と最後の小節の拍数をたせば、その曲が拍子記号で指定する1小節分の拍数になります。また、最初と最後の小節をそれぞれ“不完全小節”といい、拍子に該当する長さを持った小節を“完全小節”といいます。

【速さの表示標語】

◇基本的な速度標語

おそい
・Largo(ラルゴ)幅広く、ゆるやかに
・Lento(レント)ゆるやかに
・Adagio(アダージョ)ゆるやかに
ややおそい
・Larghetto(ラルゲット)ラルゴよりやや速く
・Andante(アンダンテ)歩くような速さで
・Andantino(アンダンティーノ)アンダンテよりやや速く
中ぐらい
・Moderato(モデラート)歩くような速さで
ややはやい
・Allegretto(アルグレット)アレグロよりややおそく
はやい
・Allegro(アレグロ)快速に
・Vivace(ヴィヴァーチェ)いきいきとして速く
・Presto(プレスト)急速に

◇速さをしだいに変化させる標語
・ritardando(rit.)(リタルダンド)だんだんおそく
・rallentando(rall.)(ラレンタンド)だんだんおそく
・accelerando(accel.)(アチェレランド)だんだんはやく
・stringendo(string.)(ストリンジェンド)だんだんはやく

◇速さに関するその他の標語
・piu mosso(ピュー・モッソ)今までより速く
・meno mosso(メノ・モッソ)今までよりおそく
・a tempo(ア・テンポ)もとのはやさで
・Tempo primo(Tempo I)(テンポ・プリモ)最初のはやさで
・L'istesso tempo(リステッソ・テンポ)同じ速さで
・Tempo rubato(テンポ・ルバート)自由な速さで

【強さの表示記号】

◇基本的な強弱記号
 ppp(ピアニッシシモ) きわめて弱く
 pp(ピアニッシモ) きわめて弱く
 p(ピアノ) 弱く
 mp(メゾ・ピアノ) やや弱く
 mf(メゾ・フォルテ) やや強く
 f(フォルテ) 強く
 ff(フォルティッシモ) きわめて強く
 fff(フォルティッシシモ) きわめて強く

◇強さをしだいに変化させる標語と記号
・crescend(cresc.)(クレッシェンド) だんだん強く
・diminuendo(dim.)(ディミニュエンド) だんだん弱く
・decrescendo(decresc.)(デクレッシェンド) だんだん弱く

◇強さに関するその他の標語と記号
・>(アクセント) この記号のついている音だけをとくに強く
・∧(アクセント) この記号のついている音だけをとくに強く
・(スフォルツアート) この記号のついている音だけをとくに強く
・(スフォルツァンド) この記号のついている音だけをとくに強く
・(フォルテピアノ) 強く、そしてすぐに弱く

【奏法の表示法】

・legato(レガート)・・・なめらかに。流れるように。
・slur(スラー)・・・音を切らないで演奏する。
・staccato(スタッカート)・・・短く演奏して、次の音とのあいだをあける。
・tenuto(テヌート)・・・音の長さを充分に保って。
・fermata(フェルマータ)・・・音符や休符をてきとうな長さだけのばす。複縦線上では終止記号。
・breath(ブレス)・・・息をとる。

(やさしいヴォーカル入門より)

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