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各メルマガ・サンプル版

【ヴォイストレーナー、ボイトレ、その他メルマガ関連・声のしくみ〜Q&A】

CONTEXT<目 次>

【ヴォイストレーナー】編

(2004年11月12日発行 第23号対応)
◇発声法とは何か・・・
○何をトレーニングするのか
○声たて

(2004年11月05日発行 第22号対応)
◇呼吸の語源「スピリット」
◇自分の呼吸を意識してコントロールしよう
◇呼吸を大きくするイメージをもつ
○呼吸に関するチェック

(2004年10月01日発行 第17号対応)
◆「トレーニングのときの4つの基本姿勢」について
◆「パワフルに伝える」
◆「シャウトするトレーニング」

(2004年9月17・24日発行 第15,16号対応)
●腰と腹筋のトレーニング
●ダンベルトレーニングで胸筋を鍛える
○リラックスと柔軟体操の目的
○体のクセをとる
●首と肩の柔軟体操
●首と肩の余計な力を抜くトレーニング
○ラジオ体操を利用する
●肩の力を抜く
○股関節をしこでやわらかくする

(2004年9月10日発行 第14号対応)
●感覚のウォーミングアップ
●姿勢づくりのストレッチトレーニング
●背筋のトレーニング
●腰を入れるトレーニング
●体の感覚を敏感にするトレーニング
●体の調子を整えるトレーニング

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【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】編

(2004年11月08日発行 第24号対応)
◆ナ行音・ナ行のトレーニング
◆ハ行音、バ行音、パ行音、ハ行音のトレーニング

(2004年10月25日発行 第22号対応)
◆サ行音・ザ行音
◆シとサスセソの違い・∫iとsiの違い
◆サ行のトレーニング

(2004年10月18日発行 第21号対応)
◆カ行音・ガ行音
◆キの音は他のカ行音と舌の位置が違う
◆カ行のトレーニング

(2004年10月11日発行 第20号対応)
○母音「アエイオウ」の輪
<イとエの区別><アイウエオのトレーニング>

(2004年10月04日発行 第19号対応)
◆日本語発音の弱点克服トレーニング
◆発声の練習

(2004年09月06日発行 第15号対応)
◆感情を入れて、せりふを読むトレーニング

【過去メルマガ「ボイトレ」】総集編

(2004年08月09日発行 第11号分)
◆「ことばをはっきりさせるためには」
◆「口のトレーニング」
◆「言葉をはっきりさせるトレーニング」

(2004年08月16日発行 第12号分)
◆「発音をクリアにしよう」
◆「声の切れをよくしよう」

(2004年08月23日発行 第13号分)
◆「舌っ足らずを直そう」
◆「舌のトレーニング」

(2004年08月30日発行 第14号分)
◆「滑舌をよくしよう」
◆「言葉のトレーニング」

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【その他、メルマガ関連・声のしくみ〜Q&A】

♪参考[通りやすい声とは・・・]
♪参考[ 音声の分析]
○声の出るしくみ
○呼吸のしくみ
○[ヘーリングの模型]
○横隔膜のしくみ
Q.太った方が声が出やすいとか、首が太い方がよいとか、
  鳩胸でっちりがよいというのは、本当ですか。
Q.腹式呼吸は、お腹を鍛えるの?
Q.声はどのようにしてひびかすのでしょうか。

【メールマガジン・ヴォイストレーナー】 2004年11月12日発行 第23号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

発声法とは何か・・・

○何をトレーニングするのか

 呼吸法については、体や息が少しでも間違っていたら、我々は生きていませんから、何も新たに覚える必要はないと思っています。しかし、声が小さい人や不安定なことなど、およそ声に関する問題の根本的な原因が、呼吸の機能が弱いことにあるのです。まして、歌うためには、少しでも強く、体と息を鍛えておく必要があります。
 それにはまず、その必要性を強く感じることからスタートしなくてはなりません。うまくならないのは、歌が全身を叩きつけて体から息を出すスポーツのようなものだというイメージに欠けることからきます(特に欧米の感覚では、ボクシングに近いといえます)。パワーとインパクトなしに、表現の世界の創出と伝達は、あり得ないのです。
 そこで、一流のヴォーカリストのDVD、VTRを先にみてからトレーニングすることをお勧めします。

○声たて

 さて、体と息が間違っていないなら、これは、よりよい条件に鍛えられるまで待つしかありません。問われるのは息を声にするところです。これを「声立て」といいます。効率よく息を声に変えるのですが、このときにすぐにひびかすところにいってしまうから、だめなのです。発声を教わると、のど声をはずすために、そのようにもっていくことが多いはずです。しかし、あなたのしっかりとした声は、きっとそんな声ではないはずでしょう。本当は、しっかりした声で、体から息、息から声、最終的には体から声という結びつきをつかむことが、発声法なのです。
 このように考えると、1)体と息の強化、2)体と声との結びつき、
の二つをトレーニングすればよいことになります。
つまり、1)の肉体トレーニングと、2)の感覚のトレーニングということです。


【メールマガジン・ヴォイストレーナー】 2004年11月5日発行 第22号 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

   本日のテーマ
    ◇呼吸の語源「スピリット」
    ◇自分の呼吸を意識してコントロールしよう
    ◇呼吸を大きくするイメージをもつ  です。

◆呼吸の語源

 呼吸は「スピリット」と同じ意味です。ギリシア人はプネウマ(pneuma)といって、身体に息の入っていくときの皮膚感覚を表わすことばでした。
ローマ人は、スピリタス(spiritus)、インド人はアートマン(atman)、
このことばには、「肉体に宿る神」という意識があったのです。
 聖書の創世記第二章には、神が人間をつくり、「その両方の鼻から生なる息吹きを吹き込むと、その男は生きた魂をもつ存在になった」と記されています。

◆自分の呼吸を意識してコントロールしよう

 声楽であれ、ポピュラーヴォーカルであれ、
すばらしい歌が成り立っているのは正しい発声を基にしているからです。
声や歌は、のどの巧みな調節によって生み出されます。
歌唱は、呼吸で成り立ち、正しい呼吸法に支えられています。
エクササイズを行なうときの基本は、まず呼吸からであることを知ってください。その動きの上にのっていない声では上達しません。

◆呼吸を大きくするイメージをもつ

 どんな緊張下でも深い呼吸ができるようにしましょう。
日常においても感情、不安とおちこみ、恐れ怒り哀しみ、感じたことを表現しようとすると、呼吸は押し殺されます。そういうときでも、本来大きな呼吸は悩みを解放してくれます。毒素が排出されるからです。
 痛みのあるとき、私たちは息をとめがちですが、本当は大きく呼吸する方がよいのです。
出産などは、意識的に呼吸することで乗り越えますね。妊婦または、赤ん坊になったつもりでやってみましょう。そして、1分間15回くらいの呼吸なら、8〜12回にしてみましょう。 歌では呼吸は自由なものでなく、制限されるようになります。
そこで、より大きなコントロールによって表現を再生しなくてはならないのです。

○呼吸のメカニズム

 横隔膜はドームのような半円形で、強い筋肉質でできた薄い膜です。
前後左右に伸縮します。上には肺があり、下の腹腔内には内臓があります。
息を吸うと、横に平らになります。
お腹がふくらむと腹腔内の内臓が動くスペースも広がり、血液の循環がよくなります。
 つまり、呼吸するたびに臓器がマッサージされるのです。
 頭をまえに倒すと、お腹は固く緊張しますね。内臓を外から守るためです。
急な音や恐怖に対してもこうなります。腹部のケガや手術などのあとは、お腹をかばうため呼吸がゆがみます。お腹の筋肉が緊張していると充分に息が入りません。
 足の裏をつけてひざを曲げます。尾骨の動きを感じましょう。
吸うと、尾てい骨にまで動きが伝わり、吐くときは逆順となります。息を吐くときにも強い力が働きます。ですから、吸うときに腹部もできるだけリラックスするようにしましょう。

○呼吸に関するチェック

次の事項を自分でチェックしてみましょう。

□深呼吸でお腹一杯、息が吸えますか。浅い呼吸に感じますか。
□ため息が多いですか。 
□むかつき、吐き気、めまい、息切れやどうきがよく起こりますか。 
□呼吸で胸が大きくふくらみますか。肩があがりますか。 
□呼吸数(1分間)が安定していますか。 
□寝起きがだるく、疲れやすいですか。

寝ころんで、自分の体を触ってみてください。
そして横になって、お腹から息を吐いたり吸ったりしてみましょう。
鎖骨、胸骨、肋骨といろいろなところに動きが感じられるはずです。


 【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】 2004年11月8日発行 第24号対応
−BREATH VOICE TRAINING LAB.−

  今日のメニュ・・・
  ◆ナ行音・ナ行のトレーニング
  ◆ハ行音、バ行音、パ行音、ハ行音のトレーニング  です。
  ぜひ、日頃のトレーニングにお役立てくださいね!

○ナ行音……ナ[na] ニ[ni] ヌ[nu] ネ[ne] ノ[no]

 ナの発音は、舌の接する位置はタの発音の場合と調音点が同じであることが
わかります。しかし、タ行音が破裂音であるのに対して、
ナ行音は、舌を歯茎に密着させたまま、息を鼻へ抜く鼻音になります。
 ナを発音する舌の位置のまま、声を出さないと、
ただ鼻から息が静かにもれているという状態です。
しかし、鼻に手をあて声を出してナを発音すると、声が鼻に響いて振動するのが
わかります。「ナ、ネイ」は、ハミングの練習にもよく用いますね。

〈ナ行のトレーニング〉

(ナ)何が何でも夏がいい/なし崩しに成し遂げることはない/
  泣き顔なのに涙がない/なんとかならないものなのか/海原の七不思議

(ニ)煮込んだ肉のいい匂い/ワニが庭から逃げた/兄さんを二度と憎まない/
  二人三脚で荷造りして逃げた/「忍者」で人気、日系人

(ヌ)濡れたような絹を縫う/沼でぬかるみ足ぬけない/
  汗をぬぐい、濡れたシャツを脱ぐ/ぬるぬるぬめる/塗り薬が塗れぬよ

(ネ)寝るに寝れない熱帯夜/ネオンの熱に猫逃げねえ/
 年々きれいになる姉さん/来年を念じながら眠る/寝て願いが叶うなどありえねえ!

(ノ)このノート誰の?/ノックののち覗く/納期でノイローゼの農民/
  野はのどかでノスタルジイ/のびが伸びて野に実る

−−−では、次はハ行音にいきましょう。

○ハ行音……ハ[ha] ヒ[hi] フ[Fu] ヘ[he] ホ[ho]

 ハーと息をふきかけることがありますが、[h]の音はそのときのような音です。
共通語のハヘホは、この[h]音と母音[a][e][o]でつくられます。
 ヒ[hi]はシの発音に近い口構えです。シよりも、もっと舌の中ほどを盛り上げて
発する弱い摩擦音です。[h]が喉頭からの音であるのに対して、
これは舌と口蓋でつくられる音といえます。
ヒとシ・キをくり返し発音して、その違いを確かめてみましょう。

○ヒとシの区別
 ヒとシは調音点が近いため混同しやすく、地域によってヒとシを逆に発音する
ところもあります。「日比谷」と「渋谷」、「質店」などよく出る例です。
また、このヒをフィのように発音することはありません。
両唇をあまりまるめないように注意してください。

○フ[Fu]
 熱いお茶をフーフーと吹いてさまそうとしたときなどに出る両唇を用いた音です。
ただし、英語などの[f]音のように、下唇を上歯で噛んだ状態で出す音とは違います。
 日本語のフと英語の[f]音の違いを確かめましょう。
 また、ハヘホの[h]音と[F]音の違いも確かめておきましょう。

○バ行音……バ[ba] ビ[bi] ブ[bu] ベ[be] ボ[bo]
 [b]の音は、両唇を使って出す弱い破裂音です。語頭ではかなり強く感じても、
語中での]b]は両唇がほんのわずか接するかどうかという程度で、
ほとんど摩擦音に近くなります。
 ウーと発音しながら、だんだん両唇を近づけてみると、ハチのうなり声のような音が
聞こえますが、このような音が語中であらわれるブの音です。

○パ行……パ[pa] ピ[pi] プ[pu] ペ[pe] ポ[po]
 [b]が有声音であるのに対して、[p]は無声子音です。
 この[p]音は、外来語や擬声語(パタパタ、ピカピカなど)に多く用いられるほか、促音
をつくるときにあらわれる音でもあります。

〈ハ行のトレーニング〉

(ハ)離れて気づく母心/箱を博物館へ運ぶ/羽根をはがされた羽アリ/
  華やかではかない花火/蜂に刺されて鼻はれた

(ヒ)広い額の人にひるむ/昼間はひとりで暇だ/光る瞳にひかれる/
  ひらめき、開き直り、引きつける/昼寝する人に昼飯広げる人

(フ)不平不満がふくらむばかり/不意にふたりが振り返る/
  不快不安感が心をふさぐ/工夫をこらした豆腐のフライ/不意に触れ合う二人の心

(ヘ)塀や兵器のない平和な世界/ヘリウムの変化量計算に辟易する/
  へとへとにへたばる/平気で変な返事する/ヘラヘラ笑う蛇

(ホ)星が微笑む豊作の村/放課後に放火された放映/
  本当のほたるが欲しい/頬のほてりは惚れてる証拠/本を翻訳したのは本当?


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】 2004年10月25日発行 第22号
−BREATH VOICE TRAINING LAB.−

  今日のメニュ・・・
  ◆サ行音・ザ行音
  ◆シとサスセソの違い・∫iとsiの違い
  ◆サ行のトレーニング です。

◆サ行音……サ[sa] シ[∫i] ス[su] セ[se] ソ[so]

 舌の先を上歯茎の裏に近づけると、舌先の下の部分は、下歯の裏に密着し、
上歯茎の裏と舌先の上面との間にわずかなすき間ができます。
 このままの状態で息を吐くと、狭い空間を通って押し出される空気によって
音が生じます。このような音を摩擦音といいます。これが[s]の音です。
 舌先が上歯茎に密着すると、空気が通らなくなりますから[s]の音にはなりません。
 サ行音のサスセソは、この[s]の音に母音アウエオが結びついて発音されるものです。

◆シとサスセソの違い

 支社(シシャ)と示唆(シサ)の発音を比較して、空気の通るすき間の位置を比べて
みてください。ものさしのサシを発音して、サとシの違いを確かめましょう。逆にスシを
発音してみてください。
 サは舌先が上歯茎の裏に近づくのに対して、シは舌の上面の前のほうが、上顎の
前方の硬口蓋に近づき、舌先の下面がサと違い、下歯の裏から離れた状態で発音
される音です。このような音を[∫i]であらわします。静かにシー! というときのシです。
 近頃、このシの代わりにスィ[si]と発音する人が多くなっていますが、
共通語ではシにこの音は用いません。

◆∫iとsiの違い
 この二つの音は、伸ばして発音するときに違いが出ます。
 [∫i]を無声音で伸ばして発音すると、シーといつまでも摩擦音が聞こえますが、
[si]を伸ばすと、あとには母音のイの長音だけが聞こえます。

◆ザ行音……ザ[dza] ジ[dzi] ズ[dzu] ゼ[dze] ゾ[dzo]

 サと違い、舌先がまず上歯茎の裏に接するのがわかります。
 その接触でふさいだ気道を押し破って、呼気が出るときに破裂音がつくられます。
 続いて、そのときできたすき間から呼気が流れるときに生じる摩擦音が加わって、
[dz]の音をつくります。このように破裂音と摩擦音の組み合わさった音を破擦音と
いいます。
 ザ行音の中で、ジはシの場合と同じく口蓋化した音で、[z]の音をつくる位置より
舌が硬口蓋に近いところで発音されます。
(地域によっては、ジ[dzi]とヂ[di]、ズ[dzu]とヅ[du]を区別して使っているところも
ありますが、共通語では区別しません)

<サ行のトレーニング>

(サ)さざなみのささやき/サメとサバとサンマ/さっさと財布を探さなきゃ
   /さすがの寒さに目覚めた/五月雨のなか、盛り場を探す

(シ)シタールの静かな調べ/白く四角い城/知ったら嫉妬、知らぬが花
   /椎茸と塩を仕入れる/獅子舞ショー

(ス)透き通る素肌へキス/すべてを捨てて救う/炭火を入れるのが済む
   /すれっからし、心のすさんだ末娘/酢はすっぱいすよ

(セ)背骨を矯正する先生/せせらぎと船頭の声/聖母は戦争を責める
   /世界を背中に背負ったぜ/背伸びする制服の生徒

(ソ)そばでそっと添い寝する/食欲をそそるソウル/外の掃除が騒々しい
   /空にそびえる壮大な富士/そうたいそうなことではないそうだ


このほか、日本語・音声・ことばなどに関心をお持ちの方は、
ぜひ研究所ライブラリーの[参考図書一覧]をご覧ください。↓
[日本語] http://www.bvt.co.jp/library/sankotosyo/book16.htm


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】 2004年10月18日発行 第21号
−BREATH VOICE TRAINING LAB.−

  今日のメニュ・・・
  ◆カ行音・ガ行音
  ◆キの音は他のカ行音と舌の位置が違う
  ◆カ行のトレーニング です。

◆カ行音……カ[ka] キ[ki] ク[ku] ケ[ke] コ[ko]

 現代語の中で、最も語数が多いのがこのカ行、ガ行で始まることばです。
 カ行の子音[k]は、奥舌と軟口蓋でつくる破裂音です。
 まず、奥舌を軟口蓋につけて息の出口をふさぎ、息をはき出すとき、
この閉じた部分をつき破ることによって起こす破裂音です。
 アカアカをくり返し、鏡でのどの奥をみると、のどの奥(軟口蓋)の“のどびこ”
(口蓋垂と言う)のところに舌が盛り上がって、呼気の出口をふさぐのがよくみえます。
 カクケコはこうして発音されます。

◆キの音は他のカ行音と舌の位置が違う

 カキカキと発音をくり返しながら、鏡で口の奥をみてください。
 カでは軟口蓋がよくみえたのが、キでは舌の手前が盛り上がって、
よくみえなくなります。
 キ[ki]の音だけは、母音イの発音ちつられて、舌の接点が他のカ行音よりも前よりの
硬口蓋に近いところに移動します。この現象を口蓋化とよんでいます。
 口蓋化は、他の行にも出てきます。

◆ガ行音……ガ[ga] ギ[gi] グ[gu] ゲ[ge] ゴ[go]

発音のしくみ
 [g]の音は、[k]と同じ方法で発音する子音ですが、[k]が声帯を振動させない
無声音であるのに対して、[g]は声帯を振動させる有声子音です。
 [g]は強い破裂音で、強く発音すると耳ざわりになります。このガ行音も、
ガグゲゴの音に対して、ギはカ行と同じく口蓋化した音ということができます。
 ガ行音は、共通語などでは用いられる場所によって、鼻濁音になることがあります。
 たとえば、音楽(オンガク)などのガ行は、濁音ではなく、
呼気を鼻へぬく鼻濁音となるのです。

◆「カ行のトレーニング」をやってみましょう。

<カ行のトレーニング>

(カ)金で母さん、悲しませたか/固まった価値観を変えろ/
噛んだら噛むだけ辛いカラシ/階段の壁にかかった消化器/重ねて確認、確実に

(キ)きっとキミは来てくれる/気さくで気がつき器量よし/傷跡が消えた奇跡/
今日のキリンの気持ち/地球の危機きっとくる

(ク)黒い鯨の口/曇ってくすんだクリスマス/空想の中の百済の国/
熊本の空港にくる/ひゃっくり、びっくり、くりくりの目

(ケ)経験は人間を形成する/今朝すごいけんまくで喧嘩した/
過去の経験にけりをつける/やけ酒のわけ/剣道のけいこはけっこうつらい

(コ)子供の心に入り込む/今度、近藤さんと来よう/苔むした小石の小径/
濃いコーヒーよりココアが好み/行楽地で孤独な子供


【メールマガジン・ボイトレ】 2004年10月11日発行 第20号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

○母音「アエイオウ」の輪

 アエイウオにしたがって、発音してみると、最大の口の開きのアから、開きの小さいイ・ウ、そして再び口の開きの大きい母音へと、自然な口の開閉の中で各母音が発音されることがわかります。
 また、唇の形、あごの開閉、舌の位置の関係をみると、
1.唇の形は、アからエ・イへ横開きを保ち、イからウ・オへかけて横開きから円形に移動。
2.あごは、アからイへ、開から閉へ。ウからオ・アへ、閉から開へ移動。
3.舌の位置は、アからイへ、手前下から前上方へ。イ・ウからオ・アへ、前上方から手前奥、
そして手前下へと、ボートの櫓をこぐように回転しています。

<イとエの区別>

 母音の輪で、エはアとイの中間音であることがわかります。イとエの区別がはっきりしないの
は、エが中間母音で、発音にゆれがあるためとみられます。
 コエ(声)→コイ エド(江戸)→イド

 次は、話すときにいつもリラックスして思う存分自分の実力を発揮できるように、口慣らしのための簡単な発声、発音のトレーニング法を紹介します。これで、自信をつけてください。
 これを参考に、自分の課題をつくってみてください。あるいは、気に入った文章を抜き出してください。それぞれに、同じ音が3つ以上、入っています。苦手な音をなくしましょう。

<アイウエオのトレーニング>

(ア)甘い朝の挨拶/明日になれば雨もあがる/兄も姉も明るい/あした、あさって、しあさって/秋、愛は熱く燃える

<イ)胃の痛い犬/いたずらでいつも意気投合/以前、今以上の思いをした/イライラしている猪/一途なる意志とイマジネーション

(ウ)海辺でウニを売る/海鳴りを聞きながら腕枕でうたた寝/嬉しい噂は嘘だった/ウカウカしていると運が逃げる/歌を歌ってウサを晴らそう

(エ)絵描きの鉛筆百円/映画のあと、駅で笑顔で別れる/偉い絵師が選んだ絵/エネルギュッシュな演技に詠嘆/駅前で易者がカキエキスを飲んでいた

(オ)おもしろおかしく踊ろうよ/おいしいお菓子をおすそ分け/おいでをお待ちしております/お母さんの大きなおなか/お金を落として怒る人


【メールマガジン・ボイトレ】 2004年10月4日発行 第19号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

「日本語発音の弱点克服トレーニング」をどうぞお試しください。

◆日本語発音の弱点克服トレーニング

1.「ハ」行と「タ」行
ハタハチハツハテハト タハタヒタフタヘタホ
ヒタヒチヒツヒテヒト チハチヒチフチヘチホ
フタフチフツフテフト ツハツヒツフツヘツホ
ヘタヘチヘツヘテヘト テハテヒテフテヘテホ
ホタホチホツホテホト トハトヒトフトヘトホ

2.「ダ」行と「バ」行
ダバダビダブダベダボ バダバヂバヅバデバド
ヂバヂビヂブヂベヂボ ビダビヂビヅビデビド
ヅバヅビヅブヅベヅボ ブダブヂブヅブデブド
デバデビデブデベデボ ベダベヂベヅベデベド
ドバドビドブドベドボ ボダボヂボヅボデボド

3.「パ」行と「ラ」行
パラパリパルパレパロ ラパラピラプラペラポ
ピラピリピルピレピロ リパリピリプリペリポ
プラプリプルプレプロ ルパルピルプルペルポ
ペラペリペルペレペロ レパレピレプレペレポ
ポラポリポルポレポロ ロパロピロプロペロポ

4.「ダ」行と「ラ」行
ダラダリダルダレダロ ラダラヂラヅラデラド
ヂラヂリヂルヂレヂロ リダリヂリヅリデリド
ヅラヅリヅルヅレヅロ ルダルヂルヅルデルド
デラデリデルデレデロ レダレヂレヅレデレド
ドラドリドルドレドロ ロダロヂロヅロゼロド

◆発声の練習

 発声の確認をしてみましょう。
 1.アーと声を出し、声帯が振動するのを確かめる。
 2.首を手ではさみながら、共鳴を確かめる。
 3.調音点を確かめる。
 4.腹式呼吸を確かめる。
 5.五十音の拍を発音してみる。
 6.各音の発音を正しくするため、調音法を確かめる。


【メールマガジン・ヴォイストレーナー】 2004年10月1日発行 第17号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

「トレーニングのときの4つの基本姿勢」についての説明です。

A)仰向け姿勢
 仰向けに寝ます。お腹に手を当てると呼吸に応じて、お腹が上下に動くはずです。
この動きを意識します。さらに少し余計に吐いて、へこませます。
今度は逆にお腹が膨らむときに合せて、息を余計に吸って意識的により大きく膨らませます。呼吸とそれによって生じるお腹の動作に逆らわず、動きをひとまわりずつ大きくしましょう。
こうした動きが直立したときも、長くキープでき、息吐きがたっぷりできる姿勢がよいのです。

B)前傾姿勢 
 トレーニングするときの基本的な姿勢の一つです。
 野球の守備でショートを守る構えに似ています。バレーボールでの守りやサッカーのゴールキーパーも参考になります。四方八方に素早く広く移動できるような感じを保ちます。次に肩、膝、腰、股関節などの力を抜きます。体の力を抜いて膝を上下に動かして関節の脱力を確認し、その感じを保持します。そこで、声を出した経験のある人は、そのときを思い出してください。円陣になって「ファイトー!」「オー!」というときの声であり、姿勢です。
 トレーニングをして体が固まってきたらブレイクして体をほぐし、またくり返しましょう。常に体の余計なこわばりはさけるべきです。

C)イスに腰かけた姿勢
 イスの背もたれを使わないことです。浅く座るか深くすわるかどちらかにして、背筋をまっすぐにしましょう。両足の裏、体の重さを感じるようにしてください。

D)立ち姿勢
 ・ 肩幅に足を開きます。
 ・ 10m前方を見据える。
 ・ 背筋を適度に伸ばす。
 ・ 首、肩、胸、腹部、腰、大臀部、足、膝など体の各部に意識を当て、力を抜きます。

それでは、各部分をチェックしてみましょう!

□足……重心を低くして、全身で歌い上げる感覚をとらせるため、最初はやや広めに足を開かせています。女性は足を前後にずらすこともあります。上達するに従って、自然な幅にしていきます。大きな力を出すときの体の感覚を参考にしてください。たとえば、重いものを持ち上げようとすると、内股になりますね。そして筋肉は内側に働き、両親指に力が入ります。肩は下がり、腰も入ります。やってみてください。

□背中……背を丸めると、お腹が圧迫され、息が吸いにくくなります。そりすぎても、よくありません。背筋をピンとまっすぐに伸ばしましょう。上体を倒したときは、地面と平行になるようにします。一度、両手を床につけて、そこから腰を固定し上体をまっすぐにもち上げるとよいでしょう。

□あご……あごはひきます。しかし、のどを圧迫しないようにしてください。息が通りにくくなっては困ります。首が前に出て斜めになるとまっすぐにならなくなります。そういうときは、カベに後頭部をつけてやってみてください。

□肩、ひじ……脱力します。腰に手をあてて動きをみてもよいですが、肩は上がらないようにしましょう。

□目……目はかっと見開きましょう。前方やや上にひっぱられるような感じで視線を集中します。過度のまばたきやキョロキョロするのはやめましょう。


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】  2004年9月27日発行 第18号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

◆「パワフルに伝える」
◆「シャウトのトレーニング」 

ぜひ、日頃のトレーニングにお役立てくださいね!

◆パワフルに伝える

 日本人というのは、パワフルな声を出すのが苦手です。
出し続けるのは、もっと大変です。
日頃からあまり大きく出さないために、いつまでたっても声がしっかりと、
魅力的なものにならない人も少なくありません。
大きな声でというより、鋭い入り方でパッと音にできないことには、
インパクトに欠けてしまうのです・・・・。

 外国人がシャウトするときに使っている声は、ひびく上に、とても深く、
かつのどに負担のない(子音が多いなど)発声をしています。
それに対して日本人の声は、すぐにのどにかかってしまいます。
体や息が充分に使えないまま、無理に浅い息で大きな声を出そうとしているからです。

ですからトレーニングでは、腹式呼吸でしっかりと声がお腹から出るように結びつけていきます。
あまり、お腹の力を使って押し出すとは考えない方がよいともいえます。
次に、強い声で言葉が前に飛ぶようにしていきます。
そして最後に、言葉を大きく話すときにも、のどにかからず、
お腹で支えて声を出せるようになることです。

◆<シャウトするトレーニング>

(1)ヤッホー、オーイ
(2)(自分の名前)!
(3)もお いいよお、まあだだよ
(4)あんたに あげええたあ
(5)さよならは あいのことばさあ
(6)はるばるきたぜ はこだてえ


【メールマガジン・ヴォイストレーナー】 2004年9月17・24日発行 第15,16号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

ぜひ胸筋・腹筋強化トレーニングの参考にしてください!

●腰と腹筋のトレーニング

 立ったときに腰がひけて、アゴのあがっている人が多いのですが、これは腹筋が弱く、体を前に保てないからです。これは、ももの後ろにある筋肉にも関係するので、日頃からたくさん歩くことです。階段を降りるのもよいトレーニングです(筋力そのものを鍛えるには、上がる方がよいのですが、降りるときには膝がまえに出ないように支えられるからです)。

 発声トレーニングでは、足が痛くなったり、つるようになったりする人がいます。これは、足がつっぱってしまうからです。膝をやわらかく使うトレーニングをしましょう。膝のバネでその力をうまく逃がしましょう。膝の屈伸運動をやることです。

 仰向けに寝て、両足を20〜30センチ、持ち上げます。
 つま先は伸ばした状態で上にあげます。片足ずつ、10回やりましょう。
 次に片足ずつ、胸の方をひきつけてください。(10回)
 両足を一緒にやってみましょう。(10回)
 これで、下腹の筋肉が鍛えられます。

●ダンベルトレーニングで胸筋を鍛える

 ダンベルがなければ、ペットボトルに水を入れたり、重いカンを使えばよいでしょう。これは、胸筋を鍛えつつも、血管の通りをよくして、うまく柔軟に体が働くようにするためです。

ストレッチングや柔軟体操のメニュです。トレーニング後のクールダウンにも使えます!

○リラックスと柔軟体操の目的
 @ 体の調子を整える。
 A 深い息を吐くための体の準備になる。
 B ラジオ体操などと一緒に行なうことで習慣となり、よりよい効果が期待できる。
 呼吸のトレーニングを用いて、お腹と肺のまわりについている筋肉を中心に、柔軟運動をしましょう。歌ったり発声練習をしたりするためには、呼吸器官が柔軟に動くよう、ベーシックな動きをしっかりと取り戻しておく必要があります。すべてのトレーニングの準備体操だと思ってやってください。

○体のクセをとる
 発声したときの体の悪いクセをとります。お腹や胸を中心に、特に首や肩の余計な力を抜くようにします。自然な体の状態において、自然な発声を身につけていくわけです。(日常の声でも、うまく使えているとは言い難い日本人の場合、歌うに足るだけの体の力をつけるには、かなりのトレーニングを必要とします。)

●首と肩の柔軟体操
 @ 肩を上げたり、落としたりします。(10回)
 A 肩を後方引きます。肩の力で後方へ引き込むようにします。胸を拡げる感じとなります。(10回)

●首と肩の余計な力を抜くトレーニング
 @ お腹をくぼませ、背の肩もくぼますように動かします。
 A 脱力して元に戻します。
 B @Aの動きを、息を吸ってくぼませたりします。
 C @Aの動きを、息を吐いてくぼませたりします。
 D @〜Cのとき、肩に力が入らず、胸が不必要に動かないようにします(やや胸を高めにキープしましょう)。

○ラジオ体操を利用する
 ラジオ体操などでの調整が自分の体に合っているという人は、毎朝やってみましょう。ラジオ体操第二も、続けて取り組んでみるとよいでしょう。
 NHK第一放送 毎日・午前6時30分/第二放送 月〜土・午前8時40分、午後0時、午後3時
 (時間等、変更になっている場合もありますので、お確かめください。)

●肩の力を抜く
 水泳の肩関節運動 両腕をまわします。左右、それぞれの手を逆方向にまわします。両手が、胸の前の背の後ろで2回、すれ違います。

○股関節をしこでやわらかくする
 相撲で仕切りに入るまえに向かい合うときのそんきょの姿勢をとってみましょう。上体は脱力して背中がまるまらないように、腰骨の上あたりの張りを保ちます。腕もだらりと下げておきます。バランス、リズムは上体でとっているようでも、その支えは腰と股関節です。太ももの内側がくすぐったいのは、感覚に鋭くなっているからです。股割りをするのもよいでしょう。


【メールマガジン・ヴォイストレーナー】 2004年9月10日発行 第14号対応
−BREATH VOICE TRAINING LAB.−

ぜひ、体のトレーニングメニュ、ウォーミングアップ等にお役立てください!

●感覚のウォーミングアップ
1.歩く
2.はねる、ステッピングする
3.リズム重心を移動をしてみる
4.跳躍感を感じる
5.上昇感と下落を味わってみる
6.スピードを上げる
7.圧力(足や頭に感じるもの)を強める
 動きに統一性を感じてください。その上でバランスがとれていることが必要です。
 まずは、体を動かしやすくしましょう。

●姿勢づくりのストレッチトレーニング
1.首の運動をする
2.胸をそらす
3.胸の位置を高くする
4.つま先立ちする
5.両手を高く伸ばす
6.肩を思いきってあげて、下げる
7.ひざの屈伸をする。

●背筋のトレーニング
 腹式呼吸には、腹筋のなかでも背筋が大切です。
呼吸法とは、背筋によって、ふくらまし、下げた横隔膜を腹筋でキープするようなものです。
お腹のまえの方の筋肉は、あまり鍛えられないので、固くしないことです。

●腰を入れるトレーニング
1.相撲の鉄砲(両手で柱を押す)
2.水泳のビートトレーニング バタ足(畳の上でできます)
3.腕立て伏せ
4.上体起こし

●体の感覚を敏感にするトレーニング
1.人の動きのものまね、振りつけ
2.パントマイム
3.ダイナマイト(ニトログリセリン)を運ぶまねこう
こういう動作で、体の奥行き、体のすみずみの皮膚の感覚を感じてみましょう。

●体の調子を整えるトレーニング
@両腕を回す
A首を軽く回す
B股関節を動かす
C膝の屈伸
D両足首を振る
E手首を振る
F気になる関節を回転運動で慣らす


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】2004年9月6日発行 第15号対応 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

◆感情を入れて、せりふを読むトレーニング
歌詞や小説等にでてくるセリフを、人にきかせるつもりで、感情を入れて読んでみましょう。

《十音》のトレーニング
もうすぐ夏がくるね
右手を握りしめて
ずっと目を閉じたまま
傷ついた心さえ
一人でどこへいくの

《十一音》
何度も星を数えて
いつもと違う眼をして
流れてゆく星の下
こんな街の片隅で
あなたが訪れたところ

《十二音》
今だけはそばにいたいの
時の流れが早すぎる
おまえが聴いてたメロディー
秋がまた近づいてくる
一人旅立つときがきた

《十三音》
泣かせるセリフを吐きながら
君のとこまで駆けだしたい
留守番電話にときめいた
ことばだけでは足りないから
君に熱き想いをこめて

《十四音》
今も想い出忘れられない
一度冷めたら、もう戻れない
遠い日々に過ごせた幸せ
帽子を持つ手がふるえている
肩をおとしてうなだれたとき


○過去メルマガ「ボイトレ」(ことばのトレーニング)が中心です。

【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】2004年8月9日発行第11号分
−BREATH VOICE TRAINING LAB.−

今日のメニュは、
◆「ことばをはっきりさせるためには」
◆「口のトレーニング」
◆「言葉をはっきりさせるトレーニング」 です。

◆「ことばをはっきりさせるために」 〜口を大きく開けすぎない〜

 言葉がよくわからないといわれる人、もごもごと口のなかでこもったり、
言葉がはっきりとしていない場合、
これを直すには、まず口をしっかりと動かし、大きく開けることです。
そうしないと、声は前に飛んでいきません。
 でもだからといって、言葉をはっきりいおうとして、むやみやたらに
口を大きく開けすぎてもよくありません。
かえって平べったい口先だけの、実際には使いにくい声になってしまいます。

 声はお腹から出すのが基本です。
試しに、口先はあまり開けずに、口の中を開ける感じで「AIUEO」と、
お腹を意識しながら声を出してみてください。
少しこもった感じになるとは思いますが、口を開けているときより、
口の奥の方でしっかりと共鳴しているのがわかるでしょう。
 始めから、すべての言葉をはっきりと発音しようとしすぎると、
口がパクパクするだけで、本来の声の持ち味を生かせなくなります。

 個々の音の訓練をするときには、できるだけ深い息、深い声を意識して、
言葉のトレーニングをするようにしましょう。
体から言葉が言い切れるというのが基本ということを忘れないようにしてください。
早口言葉や滑舌のような練習も、それをふまえた上でなければ効果はありません。
まずは深くひびきのある声を出すことに重点を置いてやりましょう。

<口のトレーニング>
 1.口を大きく開ける
 2.あくびをする
 3.「ウ」の口の形から「イ」の口の形へ 「ウ→イ」×4
 4.同様に、「ア」から「イ」の形へ    「ア→イ」×4
 5.同様に、「ウ」から「ア」の形へ    「ウ→ア」×4

<言葉をはっきりとさせるためのトレーニング>
 (1)アエイオウ
 (2)ハマヤラワ
 (3)アカサタナ
 (4)アオイソラ
 (5)トオイウミ

言葉のトレーニングをやる前は、顔の表情をよくほぐしてからやるようにしましょう!

この他、台詞・ことば・音読の練習本などに興味をお持ちの方は、
ぜひ研究所ライブラリーの[参考図書一覧・台詞]をご覧ください。


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】2004年8月16日発行第12号分 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

今日のメニュは、
◆「発音をクリアにしよう 〜何を言っているのかをはっきりさせよう〜」
◆「声の切れをよくしよう」 です。

◆「発音をクリアにしよう」 〜何を言っているのかを、はっきりさせよう〜

 他の人に正確に伝わる明瞭な発音が必要です。
それは、唇、あご、舌、そしてのど(声帯)、この4つの運動能力のためには、
スムーズに作動していなければなりません。
 しかし、話すときに、これらに注意しているのでは、頭が重くなってしまうでしょう。
明瞭な発音をしようとするほど、ふしぜんになってしまいがちです。
余計な部分に力が入ってしまい、しぜんに動かなくなるためです。
 そこで、それぞれを別々にトレーニングしておきます。
発音をクリアにするために、次のトレーニング方法をやってみてください。

<唇のトレーニング>
 自分の好きな詩を黙読します。
このとき、唇・舌・のど・あごなどは、大きめに動かしてください。
唇・舌・のど・あごの動きを感じましょう。
詩の意味を考えながらメリハリをつけて読むと、効果的です。

 口の動きがつかめてきたら、今度は声を出します。
少し遠くにマイクをおいて録音し、チェックしてみましょう。
あとは、音読、録音、チェックをくり返し、不明瞭な部分を改善していきます。

1.唇を閉じて、パ・バ・マを発音します。
  パピプペポ・バビブベボ・マミムメモを繰り返す(これは、呼気圧の高い順です)
2.唇を閉じて、上唇と下唇を交互に前に突き出す
3.歯を合わせたまま、歯並びがすべて見えるように開き、閉じる

◆言葉の切れをよくしよう

<語音の明瞭度チェック[声とことば]>
 ここでは、発音の明瞭度をチェックするために、次のメニュを使ってみましょう。
まず、録音機器を用意して、各語を四秒ずつかけて、読んでみます。
それを書きとって、どれだけ当たっているかチェックしてみてください。

1.ペピュ チベン ミャド ミラ  アムティ
2.ビョチ カソ イチェ ゴン  ピョロ
3.ミャル ニュゼ ギョヘ ピョリエ  ミュジン
4.ナラ オリュゾ ショコ ジャンネ  ゾシュ
5.ヒャレ ヒュホン ガリャ ノピノウエ  リョウ

どうでしたか?普段、英語など、外国語の発音には気をつけても、
日本語の発音の明瞭度はあまり意識していないものですよね。

この他、台詞・ことば・音読の練習本などに興味をお持ちの方は、
ぜひ研究所ライブラリーの[参考図書一覧・台詞]をご覧ください。


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】2004年8月23日発行第13号分 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

今日のメニュは、
◆「舌っ足らずを直そう 〜舌を器用に使おう〜」
◆「舌のトレーニング」 です。

◆舌っ足らずを直そう  〜舌を器用に使おう〜
 舌足らずで声が不明瞭に聞こえると言われたことのある人、
それ以外にも、たまに舌がうまくまわらないときがあったり、
舌足らずのような感じになる人には、舌のトレーニングが効果的です。

まずは、唇のトレーニングを充分に行なってから、舌のトレーニングをやりましょう。
前回の唇のトレーニングを復習してみてください。

<唇のトレーニング>
1.唇を閉じて、パ・バ・マを発音します。
 「パピプペポ・バビブベボ・マミムメモ」×4回
2.唇を閉じて、上唇と下唇を交互に前に突き出します。

◆舌のトレーニング
舌のトレーニングの基本は、腹話術の話し方です。
あごと唇を使わずに、舌とのどの運動だけで発音します。
これは、舌足らずを直すのに効果があります。

(1)鉛筆か指などを歯で軽くかんでください。唇は、力を抜いて開いたままにします。
(2)自分の好きな詩、文章を、唇・あごを動かさずに発音してみてください。
  唇を閉じなければ発音できないB・F・M・P・Vの子音は、d・h・b・t・dなどで
  代用してかまいません。その他の音は、できるだけ正確に発音するようにしましょう。
(3)慣れてきたら何もかまずに、同じことばでトレーニングをします。

声を出せないときは、舌の運動のみでよいでしょう。
これは、舌根、舌背、舌先の連結運動です。

<舌の運動>
1.舌を口から勢いよく出す
2.舌の先を閉じた唇のうしろにあて、唇を押してふくらます
3.舌を口の右側左側に交互に大きく出す
4.口を大きく開き、舌先を上の歯の後ろのほうに、次に下の歯茎の後ろのほうに動かす
5.舌を歯と唇の間に入れて、上、下の歯の外側内側にそってまわす
6.ナ・ン・ダを大声で叫ぶ
7.ガ・ヤ・ダを大声で叫ぶ


【ボイトレ(ボイストレーニング略)レッスン録】2004年8月30日発行第14号分 −BREATH VOICE TRAINING LAB.−

今日のメニュは、
◆「滑舌をよくしよう」
◆「言葉のトレーニング」 です。
ぜひ、日頃のトレーニングにお役立てくださいね!

◆滑舌をよくしよう
 早く口がまわらず、いつもかんでしまう人、言い間違いをしやすい人、
うまく言えているときも、なにか急いで言っているように聞こえてしまう人がいます。
 たとえば言葉を話すときに、口を開けすぎたり、あごや舌に力が入っていると、
唇やあごの運動にエネルギーが使われてしまうのです。
そうなると、言葉にするときに、のど、舌が追いつかず、気持ちもついていきません。
バランスよく、のど、舌、唇、あごの4つの運動機能が働くように整えていくことが大切です。

 さらに体の筋肉が硬直していては、声はうまくひびきません。顔も同じです。
日頃から大きく表情を動かすトレーニングをしておきましょう。
表情豊かなことが、声の表現力を高めることにつながります。
以下のトレーニングを自分で組み合わせて、メニュを作ってみるとよいでしょう。

<あごのトレーニング>
1.口を閉じたまま、下あごを左右に動かす
2.口を開いて下あごを左右に動かす
3.下あごを大きく下げて、もどす
4.下あごをすばやく下げて、もどす

<頬のトレーニング>
1.両頬に呼気を送り、ふくらませ、その後、両頬を吸い込む
2.頬の左右、上歯茎の上方、下歯茎の下方と4方向を部分的にふくらませる

<眼のトレーニング>
1.力強く眼を閉じ、開く
2.眼の多摩を左右、上下、左回り、右回りと動かす

<眉毛のトレーニング>
1.思いっきり眉毛をつりあげる
2.しかめっつらをして、眉毛を下げる

◆言葉のトレーニング
 ここでは、アナウンサーや役者の基本トレーニングをやってみてください。
単に早口言葉のように速くしゃべるのではなく、ゆっくりでよいから、
お腹から声を出し、言葉にメリハリをつけて発声します。
慣れたら、少しずつテンポアップしていきましょう。

<五十音のトレーニング>
 あめんぼ赤いなアイウエオ 浮藻に小えびもおよいでいる
 柿の木栗の木カキクケコ きつつきコツコツ枯れけやき
 ささぎに酢をかけサシスセソ その魚浅瀬で刺しました
 立ちましょラッパでタチツテト トテトテタッタと飛び立った
 なめくじのろのろナニヌネノ 納戸にぬめってなにねばる
 鳩ぽっぽほろほろハヒフヘホ 日向のおへやに笛を吹く
 まいまいねじまきマミムメモ 梅の実落ちても見もしない
 焼き栗ゆで栗ヤイユエヨ 山田に灯のつく宵の家
 雷鳥は寒かろラリルレロ 蓮花が咲いたら瑠璃の鳥
 わいわいわっしょいワイウエオ 植木屋井戸がえお祭りだ

                     〔あいうえおの歌/北原白秋〕

どうでしょうか。どこにも引っかからずにいえますか?
ぜひ一度録音して、チェックしてみることをおすすめしますよ!


【その他メルマガ関連・声のしくみ〜Q&A】

♪参考[通りやすい声とは・・・]

 発音するときは、喉頭と気管の境にある声帯という二枚の粘膜のひだが、原音をつくる役割をします。声を出すとき、この粘膜のひだは緊張し閉じた状態となり、呼吸流により断続的な振動を起こします。ちょうど、ちょうどハーモニカのリードが震えて音が鳴るのと同じ原理です。これにより発生した声を声帯原音といいます。
 男声の場合一秒間に一〇〇〜一五〇回、女声の場合二五〇〜三〇〇回程度振動します。この振動数がピッチ周波数(あるいは単にピッチ)と呼ばれ、声の高さとなります。
 声帯で生じた音(喉頭原音)は、声道および口の中を通り、響きがつけられます。発声する母音に応じて形を変え、共鳴の特性を変えています。
 この共鳴周波数をホルマント周波数と呼びます。低い周波数から順に第一、第二、第三…ホルマントと名付けられ、第一および第二ホルマントの周波数の組み合わせで、どの母音かが決まります。

 アナウンサーは、第三ホルマント(F3)の周波数が高く変動も大きいそうです。三〇〇〇〜四五〇〇ヘルツ域は、人間の耳にもっとも働きかけやすいのです。そこに大きな違いがあります。アナウンサーのよく通る声の特徴は、この付近で特に変化する幅が大きいのです。これは口を充分動かし、正しい口の形を作って発声した結果、得られた声です。

♪[参考]
 音声の分析には音響スペクトログラフという装置が使用されます。これが「声紋」と呼ばれるものです。色の濃い部分はその周波数の成分が多いことを示しています。これでその人の声の特徴を示せます。声紋は指紋と同様に個人特有のものなので、警察などで犯人を識別するのに利用されています。

○声の出るしくみ

 声を大きくしたり、音色をつくりだすのは、管の部分にあたります。ここが、共鳴腔と呼ばれる部分です。体の共鳴腔は、口腔、咽頭、鼻腔などの声を共鳴させたり、拡大させる空洞のことを指します。そこを利用して、声をうまくひびかせることが大切です。
 ただし、弦楽器や打楽器は、原音と共鳴の説明にはよいが、声の発生のしくみには不適当です。それに例えると、弦の長さや太さ、張り方も変化するし、さらに声道や声帯質量、声門のしめ方、呼気圧まで、複雑に関係してくるからです。
 まずは、楽器としてのからだの構造を知り、そこで発声、呼吸のメカニズムを捉えておきましょう。次にからだとともに成長する声の成長についても理解しておきましょう。

○呼吸のしくみ

 呼吸は、肺がそれ自体の力で膨らんだり縮んだりして行なうものではありません。肺を取り囲む胸郭(きょうかく)が、横隔膜、肋間筋(ろっかんきん)などの働きによって拡張したり収縮したりして、肺に作用して行なわます。

○[ヘーリングの模型]
 呼吸のメカニズムを、ヘーリングの模型で説明します。これは、びんを胸郭に、底に張ったゴム膜を横隔膜に見立て、気管に見立てた二股のガラス管の先には、肺に見立てたゴム風船がついています。
 底のゴム膜を下に引っ張ると、びんの中の気圧が外圧よりも下がり、ゴム風船にはしぜんに空気が入って膨らみます。そして、底のゴム膜を引っ張っていた指をはなすと、びんの中の気圧が上昇してゴム風船は縮み、空気は外へ流出します。
 つまり、胸郭の拡張と収縮による吸気と呼気に相当することを理解してください。

○横隔膜のしくみ
 横隔膜は胸腔と腹腔の境となり、ふだんはお椀をふせたような形をしている筋肉質です。この筋肉が収縮すると、膜全体が平らになって下がり、胸郭の容積が増します。


Q.太った方が声が出やすいとか、首が太い方がよいとか、鳩胸でっちりがよいというのは、本当ですか。

A.日本人が理想的なフォームをイメージするときのわかりやすい例えとしてよく用いられるのが「鳩胸でっちり」という表現です。歌うときのよい姿勢は、足腰はしっかりと体を支え、背筋を伸ばし、顔は心もち上向きです。これを実行すると、極端に言えば、鳩胸でっちりの姿勢になるともいえます。誰かに「あなた、鳩胸だねぇ」とか「でっかい尻だねぇ」などと言われたら気持ちのよいものではありませんが、歓迎すべきことかもしれません。ただし、トレーニング時にあまり意識しすぎると、背筋に力が入ってしまうので要注意です。
 太っていることや首の太さも確かに有利な要素の一つかもしれません。しかし、そうでないから不利だということは全くありません。無理に体型を変えようとするのはナンセンスです。

Q.腹式呼吸は、お腹を鍛えるの?

A.よく腹式呼吸をお腹の前ばかり動かして鍛えている人がいます。これは内臓器官を圧迫するだけで、あまりよくありません。(横隔膜は、肺の下にお椀をふせたような形でついており、特に、前を鍛えるのでなく、均等に動かす。使いにくい背筋や側筋を使いこなしたいのです)事実、本格的に腹式呼吸を身につけた人は、腰のまわりに空気が入るかのようにふくらむのです。

Q.声はどのようにしてひびかすのでしょうか。

A.人間の元々の声は、喉頭原音と呼ばれる、ひびきのない鈍い音にすぎません。この喉頭原音をひびかせて、はじめて話し声や歌声となるのです。
 ヴォイストレーニングでリラックスしなくてはいけないのも、このひびきを邪魔して生かせないからです。
 特に加えておくなら、首から上だけで出していると、声がキンキンとひびいてしまいます。言葉が聞きとりにくく、相手を不安にします。

(以上、「中経」より)

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