集中力を強化する 60のヒント

(やる気の起きないときのモティベートのかけ方、テンションを高めるには)

 
(4)集中力アップの秘訣


35 段取り

 集中するための方法としては、段取りを考えることからです。これは、やるべきことと、順番をはっきりとさせておくということです。集中する対象があいまいなときに、集中力はそがれるからです。
 人の行動は、時間と空間の軸で押さえられます。つまり、「何月何日何時何分から、○○で、○○にとりかかる」これが、きちんと一日分、決まっていたら、とりあえず最低限の集中はできます。ですから、常に5W1Hを明らかにしましょう。

 大まかだった農作業と違い、工場での生産方式、つまりベルトコンベアーに、各人が決まった役割で、分単位の時間割にそって進めるようになって、人間の生産力は飛躍的に向上しました。それに習って、まず個人として、計画的生産方式を取り入れてみることでしょう。

 もし、仕事であなたの上に管理する人がいるなら、あなたは、その指示に従いますね。そこから、自分の裁量で自由に判断できることが多くなっていくのが、本当の力がついたということです。その自由裁量があればこそ、さらなる能力アップ、改善が行なわれていくのです。これは大そうにいうのなら、20世紀の最後で、共産主義に対する自由民主主義の勝利で証明されたのです。

 その自由を、プラスの方向に向けて使うことで、集中力を発揮できる条件との軸を一致させられるからです。この段取りは、他人が与えようと、自分で決めようと、スケジュール表には同じ形で表われます。しかし、その意味づけを自らが、どのくらい自分のものとして、動機づけできるかで、能力には大きな差がついてきます。「他人の仕事」か、「自分の仕事」かが決まってくるのです。


36 簡単なものから始める

 さて、何事も、取りかかりというのは、結構大変です。私も今でも大変に思っています。ですから、そこに工夫の余地が、常にあります。自分の集中ペースに早くもっていくためには、どのように集中するとよいのでしょうか。スポーツの選手は、とても簡単なプレーを繰り返して、心身をリラックスさせつつ、プレイへの集中力を強めていきます。つまり、考えるより、先に手足を動かして始めてしまえ、ということです。そのときに調子のよいときなら、何をやってもよいし、やらなくても、ストレートに集中していけると思うのです。

 しかし、そうでないときは、少しでも難しいものだと、入口の前で止まってしまいます。また、やり始める時もペースもうまくつかめません。そのように集中できないときには、集中するための準備で使うものをおきます。それは、スムーズに入り込めるものでなくてはなりません。受験勉強などでは、単語の書き取りとか、漢字の読みなどから始めるというのも、一つの方法でしょう。

 もっとよいのは、すでにやったこと、できていることを繰り返すことです。一見、無駄のようでもかまわないのです。前にやっているのですから、簡単です。あなたの得意なものから始めるのもよいでしょう。つまり、プラスにならなくてもよいのです。アクセルをふかしておくということです。入口では、集中できないのを集中できるように、つまりマイナスをゼロに、クリアできたら充分だからです。

 先の、時空の設定でも使えます。時計をセットし、その時間になれば、自動的につまり、無意識、半強制的にスタートするのです。場所も決めておいて、そこに移動するのです。すると、集中してくるのです。職場というのは、こういうことをうまくシステム化しています。


37 仕事に気がのらないとき

 
やるべき仕事の好きなところから手をつけるのは、よい方法です。(荒治療法としては、もっとも嫌なことを先にするのも、強力な押しの一手ではありますが…。私は案外とそれで一気に集中していくのが好きです。)電話をたくさんしなくてはいけないとき、もっとも楽な相手から、まずダイヤルしてしまうのです。漫画を一話、読んでから始めるというのもよいかもしれません。

 私もときに、難解な書類を読まなくてはいけないことがあります。眠くなったり、具合が悪くなりかねないとき、好きな本の一節などでペースを取り戻します。心身を整えたりします。自分の書いた文章を読むことなども、案外と使えます。もちろん、一生懸命に書いたものや、とてもよくできたものに限られますが…。そのときの力がよみがえるのです。すると、目が醒める、つまり、脳が覚醒されるのです。趣味などから入るのも、一つの導入法です。大成果をあげたり、嬉しかったシーンを思い浮かべてやるのです。

 ただし、気をつけて欲しいのは、次にくる仕事に近いものを選ぶ方がよいということです。これから接客するなら、気のおけない同僚などに挨拶して、体を動かし、声を出してから客のところに出ましょう。書類をつくるなら、前の書類を読んだり、直してから始めましょう。それが苦手な分野であるときは、好きなことで集中します。そしてそのまま、その集中の対象を切り替えてみることです。

 私は、難解な本を読むときによく使っています。眠くならないために、眠くなったら漫画、というように、交互に読むことがあります。この場合、目的と手段、つまり、やるべきこととそのためのサポートを、混乱しないことが大切です。好きなことにズルズルとはまってしまっては、本業は遅れてしまいます。漫画ばかり読み進んでしまう、疲れて寝入ってしまう、それでは中毒です。この切り換えがまあ、難しいですね。自制心と自省の心。

 趣味などは、会社にもってこれないし、まして勤務中に小出しにもできないものが多いでしょう。そういうときは、実際にやらなくても、イメージで入り込めばよいのです。
 私の近くにも、釣り好きで、魚のキーホルダーをいつも触ってニヤついている奴がいます。釣りバカ日誌の浜ちゃん気分でリラックス+集中です。あなたの場合、それは何でしょうか。


38 五感を磨く

 これは、まずはストレートに感じ取るセンサーを掃除するに限ります。目を洗う、鼻や口をゆすぐ、耳の掃除、手先を洗う、このようなことによってセンサーは、また刺激を新鮮に捉えることができるようになります。朝起きたら、顔を洗って切り替えますね。昼に眠いときにも、やってみたらいかがでしょう。ぬれティッシュやおしぼりでも充分です。
 集中を取り戻すための行動というのは、改めて述べるまでもなく、誰でもいろいろと、気づかぬうちに、すでにやっているのです。その人なりに、いろいろと工夫したり、取り入れたりしています。もちろん、あなたも、です。なくて七癖、癖になっている人もいますよね。

 たとえば、あくび、のび、深呼吸、立ち歩き(散策)、お茶、コーヒーを飲む、軽い体操、柔軟、屈伸運動。首や肩を動かす、コリの解消、おやつを食べる、窓の外を見る、指でペンをまわす、などといったこともそうでしょう。
 もう一度、五感のそれぞれの感覚ごとにいろんな刺激、リフレッシュの方法を思い出してみましょう。今度は、結構たくさん、書き込めるのではありませんか。

 それとともに、他人の方法、アドバイスでよいと思うものも加えていくとよいでしょう。理論や理屈に基づいたものの方が好きという人は、そういうことも学ぶよいでしょう。何事であれ、信じられてこそ、効果が出るからです。そうでもない人は、わけがわからなくても、よく他の人がやっているようにやってみてください。それでよければ、特に理由もいらないと思います。

 1.視・・・目
 2.聴・・・耳
 3.嗅・・・鼻
 4.味・・・舌
 5.触・・・皮膚


39 トイレ禅

 「ストレスで息詰ったら、深呼吸」と述べましたが、昔から、私が行き詰まると駆け込んだのが、トイレです。胃腸が強くないので、お腹が痛くなることも少なくありません。本当に用を足したくなることもあります。でも、そこで、すっきりしたら、集中力が増します。これにもいろんな理由がつけられそうです。

 もともとトイレは、身を守るのには、極めて危険なところです。一人隔離され、戦いにくく逃げにくいでしょう。暗殺のシーンとして、トイレ、入浴、寝床は定番です。散髪のシーンなどの殺害も映画などでは、使われていますね。(マフィアものくらいかしら。)加えて、動物も眠っているとき、食べているとき、産んでいるとき?は、狙われやすいようです。トイレ、これは、時間のチェンジ、場のチェンジに向いています。かつては、狭い、暗い、汚い、臭いでしたが、今はとても快適な場ですね。

 集団から孤独になる空間へのチェンジは、集中をもたらします。寒いというのも、とてもよかったのですが。そして、排出快感、これは生理に根ざしたもので、かなり、生命力を刺激しますね。出すものは、出せなければ苦しいし、死んでしまうのですから。汲み取り式の頃は、匂いも刺激的でした。それは、性感にも関わります。
 毒の排出イコール、マイナスの排出ともいえるでしょう。最近、毒出し(デトックス)もブームですね。
スッキリしたら、集中力が高まります。もちろん、出さなくても、行って座ってみるとよいでしょう。私が言いだしっぺなのかわかりませんが、これは、トイレ禅です。職場で集中力が欠けたら、座ってきなさい。


40 声を出そう

 私のライフワークは、声の研究ですが、声を出すことは、自分の生きていることを確認することでもあります。また、声をかけることは、他人を意識し、人間社会に働きかけることにもなります。
 仕事のうまくいかない人の大半は、コミュニケーション能力の不足に原因があります。なかには、うまくいっている仕事さえ、その能力に欠けている、もしくは発揮できないがために不当に、低い評価しか得られないこともあります。

 集中できないときに、上司が声をかけた、取引先の電話がきた、それは最悪の状況ですね。しかし、それをきっかけに一気に集中していたという経験はありませんか。つい、うとうとしていても、パッと目が覚めるほど、他の人の声に私たちはとても敏感です。
 それは、ことばとしての情報だけでなく、声のニュアンスを聞き取り、読み取ることがうまく生きるコツでもあるからです。だからこそ、若い人やOLは、あんなにも、ことばの意味内容としてはほとんど無意味に等しいような長電話や、茶のみ話をするのではありませんか。すいません、おばさんやじいさん、ばあさんの方が長いですね。そこでのほうがよほど集中していませんか。あなたも?

 ガソリンスタンドや工事現場では、始業まえに大きな声を出します。これは、危険防止のためでもあります。今、若い人がバイトで最初に戸惑うのは、流通、販売、小売、飲食業店などで、大きな声で挨拶をさせられることのようです。ファーストフードやファミレスだけでなく、居酒屋、さらに理髪店、コンビニでも、声を出すことは一般化してきました。小さい頃から、声を出すことの少なくなった今の若い人には、一苦労のようですが…。

 これも、顧客サービスであるのとともに、仕事へのやる気、そして、仲間としての一体感を促すものです。さらにそれだけでなく、声を出すことで集中力が発揮できるのです。まあ、私から言わせてもらうと、「声は出しているが、客の心に声をかけてはいねえじゃないか、まだまったく、もう」となるのですが。

 声を出して集中することは、一部の武道やスポーツでは、昔から使われています。重量あげ、テニスのサービス、剣道、などは、肝心のときに声を出します。何よりも、試合前に皆で声を合わせたり、練習中や試合で声を掛け合っていますね。声を出しながら、自分の耳にも外内両方から、体にもことばと声の振動が伝わるのですから、集中効果は高いといえます。


41 新鮮な空気を吸う

 私は他社に伺ったり、セミナー会場に入って、空気がなんとなくよどんでいると感じると、窓を全開してもらいます。いわば、空気を入れ替え、気を流すのです。自分でやるよりも、参加者にやってもらい、動いてもらうと、さらに効果があがります。人間、動くと集中するからです。体、特に手足を使うのは、大切なことです。暖房が効きすぎていると、途中でやってもらうこともあります。少なくとも休み時間は換気してもらいます。集中力も取り戻せるからです。

 逆に、私が席に座っている立場のときは、こまめに廊下に出たり、トイレに用はなくても立ちます。歩いて体を動かすのとともに、体内の空気を入れ替えるためです。
 集中力と切り離せないのが、呼吸です。誰しも疲れたら、大きく伸びをしたくなるでしょう。屋上や外に出たくなりませんか。それは、体が新鮮な空気を欲しているのです。


42 まず動こう

 体を動かしてみましょう。これは、体を動かさない状態が続いているときに、リセットするときの基本です。少なくとも、30分に1回、できたら10分に1回、大きく動かしましょう。できるだけ、体の動かない状態を続けないほうがよいのです。エコノミー症候群にならないためにも?いつも動かします。
 仕事によっては、難しいこともあります。そういうときは、どこが負担になるのか知って、そこをこまめにもみほぐします。その人の体のくせによっても、個人差があるでしょう。そして、自分の姿勢、態度、体のくせについても知っていきましょう。


43 手足の末端神経を動かそう

 ピアノを弾く人は、長生きするといわれます。ピアニストには、実際、長生きする人が多いそうです。芸術家としての情熱に加えて、音楽演奏にはバランス感覚を統一する、強い意志、強い集中力を必要とするからでしょう。それに加えて、手や指をよく使うこと、これはボケ防止にもとてもよいらしく、いろんな形で取り入れられています。

 もちろん、楽器の演奏、ワープロでも裁縫でも、習字、そろばんなどもよいと思われます。両手両指、末端神経を使うことで、脳が刺激されるのです。手足は、第二の脳といわれます。そこには脳のあらゆる部位と、ストレートに関わる場所も特定されています。つぼや径路といわれるものです。足裏もよいそうです。集中するのに、くるみやゴムボールなどを握る、青竹やつぼ竹を踏むなどもよいでしょう。健康用品売り場には、さまざまなグッズがありますね。


44 表情筋を動かそう ボディランゲージを使おう

 手足と別に、もっとコミュニケーションの力に、ストレートに対応している筋肉があります。顔面の筋肉です。これは、あなたの顔の表情をつくるとともに、ことばの発音や声のトーンなどの調整にも関わっています。寝起きの声がはっきりしないのは、声帯とともに、体や呼吸も休んで、鈍くなっているせいですが、顔も起きていないからです。寝ぼけ顔なのです。集中力の欠けた人は、顔と目をみるとわかります。

 他人に働きかけるには、口や口の中を引き締めたり、動かしたりしなくてはいけないので、顔面の筋肉が複雑に動きます。これも体から集中していくのに使えます。眼に力をもつこと、これも集中力の現れで、それゆえ、人の心を動かします。

<顔面の筋肉を動かすトレーニング>
<外国人のジェスチャー>

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