会報バックナンバーVol.190/2007.4


レッスン概要

■レッスン録[200508] by Ei
福島英の講演やレッスンのリライトからダイジェストしています。

○絞り込む

ボリュームが出て、艶が出てくる。もう艶はあるのですが、それ以外の声に関しては、上のほうがきちんと焦点を持って響いていない。今のファのところでやったところは、そこに焦点、ひとつのまとまりがあるわけですね。それから、もう一つはのどのほうに少しかかっている。両方の焦点がぼけているから、それは程度問題です。今のがあっているというよりは、今のでも、もっと絞り込んでいける。あなたの中において、いいほうに近づいているのが今やったものです。普通はそれから見たら、すごく広がっています。高いところになっていくと、これが集まらないから、力で持っていくと、力では、効率は悪くなってしまいますね。それと喉の調子も悪くなりやすい。

のどの調子が悪くなりやすいときや、声が出しにくいときは、今のをもうひとつ丁寧にやるしかないですね。のどの調子が悪いときは、高い音が出にくいとか、小さな声が出にくいかもしれない。レッスンの中でいくつか覚えた音で、出やすいのがあれば使ってください。たとえば「な」とか「が」とか、いくつかのメニューを使った。その中で、これが今日は出やすいと思ったら、それを使うのが一番いい。それは、今日やったもの以外でも、自分で見つけたら見つけたでよいのです。自分のメニューがあれば、その日によって変えてもかまわない。出ないところでやらないことです。ここは出しにくいとか、これを続けたらのどが痛くなるなというところは、あなたにとっていいメニューではないのです。

「が」や、「あ」のほうがいいみたいですね。「がぎぐげご」でも「ぎ」は上に響きがまだ集まらないのと、奥のほうがまだ開いていないみたい。「ご」はのどにはかかっていない。けれど上のほうに集まり方が、「が」ほどよくはないですね。「げ」も「が」よりは焦点がぼけてしまいますね。
力を入れないで歌うということは、歌のときにはどうなるかは歌しだいなのです。発声から言うのであれば、今の「が」でやっているところくらいが、力まずに力を入れずに歌っているところ。頭声、胸声のバランスが一番よかったところは、今のところです。「が」の中でも、このファのところです。発声から考えるのだったら、のどに力を入れない発声がいいです。大きな声でサビを強く出すというのは、強く出そうと思って、力で出そうと思っているのです。

音域を広げていくのも、今の中で、音域を安定してみていられる音域を取ろうとするとファの音しかない。他のところは、そこが崩れていく。その崩れ具合が顕著に、高いところになると出てくると思うのです。自分でチェックを厳しくすれば、たぶんわかると思うのです。「が」と「ぎ」の違いはわかりましたね。「が」と「げ」の違いも、それから「が」がひとつ上に上がったときにも、高さによって若干発声は変わるのです。でも、きちんとしたファのところで、発声が保てたらよい。今はあなたは音をとりに行こうとか、高く出そうと思ってしまうから、変わってしまうわけです。それから今までやっていたやり方が出てしまう。だから、ひとつでもそういうきっかけになる音があれば、いいと思います。

○体に通しておく

高いところになればなるほど、胸のほうはほとんど使えなくなります。ただ頭声のほうだけでやれることは、限度があります。そこに必ず体をつなげておいたり、息を通しておく。足の裏まで関係があるのです。全身を一体にして捉える。日常で使っている息というのは、浅くて、日本人の場合は、言語もすごく浅いところで出てしまいます。だからわざと深くします。普通の息ではないのですが、走ったり負荷をかけたりしたときに、こういう息が出ます。

酸素が不足すると、たくさん息を吸わなければいけない。そのときに肩が動いてしまう。それはそれで必要です。もう疲れた、「h−h―」と、このくらいの深さを知りましょう。体の使い方は、その形だと発声も崩れて、歌はとても歌えない。それとともに深いところは、体に結びついています。最初は雑にしかできないけれど、だんだんコントロールできるようになってくれば、浅い息よりもコントロールしやすくなってくる。それは体のひとつの原理です。体を部分的に使えば、最初はやりやすいが定まらない。本当の意味で、微妙なコントロールはできないですね。ピアノでも指先でいくらコントロールしても無理でしょう。力をきちんと保つ。それがフォームや姿勢といわれることです。感覚的に腰でやる。伝えるようとすると、響きが出てくる、口が楽器としての音の出口になっているから。

この肺をある意味ではコントロールするのは、横隔膜やこういうところしかないわけです。そこの結びつきを意図的につけていってください。
外国人の場合は、私が今しゃべっているみたいに、すでにしゃべっているときに、体から結構息を吐く。それを声に変換させてきているから、あまりそういうことを必要としていないのです。日本人の場合は、そういうのができないから、大きな声を出して鍛える。でもそれはのどを痛めて、効率が悪い。人によっては効率がいい場合もあります。大きい声が出る人は、そういうやり方からとって、繊細にしていってもいいのです。普通の人はできるだけ、自分の体が柔らかくて、息が深くなる状態というのも、声が響くし、大きくも出せる状態です。その状態がかなり日常から、かけ離れているのだけれど、その状態をトレーニングのベースにしてみます。そこの中で声をつくるということです。

○「ハイ」

「ハイ」という言葉で最初はやっていましたが、「ッ」でのどを絞める人がいる。なぜ「ハイ」でやったかというと、イの響きから深めたかったのです。お祭りで「ハッ」とやっているときは、日本人も腹から声が出る。ただ、一つ間違ってしてしまうと、のど声になってしまう。「ハイ」というのは、「ハ」は声門、声帯を一瞬開かせます。のどを開くということで使うわけです。「H」の音ですが、「ア」は口の前は大きく開くのですけれど、中は逆に狭くなります。どちらかというと、口は「イ」、あまり開かないのだけれど、この奥のほうが結構広くなります。だからクラシックには「い」や「り」の音で勉強させている人もいます。

うまくできている人と、全然できていない人との違いは、「い」や「う」の音が、普通の人よりもよりも響くかということです。彼らのとる「い」「う」というのは、日本語のところではないところです。「ハイ」の日本語の「イ」も、日本語にはない。「ハイ」と、「イ」では、つぶれてしまう。こういうところをすごく使うのです。そのままでは、歌にならないから、あごをひいて、のどの位置を下げています。これも無理やり下げさせている先生もいる。いろいろな教え方があります。

たとえば舌根、舌はずっと続いているので、これの後ろとか前が上がっていると、のど仏も上がってきます。高いところを歌ってもそうなります。舌が上がってきます。でも、舌の後ろのほう、奥のほうを下げなければいけない。一番基本の姿勢は、下の歯に、こういうふうに平らについていることです。これが盛り上がってしまうとよくない。先生によっては鉛筆を入れてしまったり、割り箸をくわえさせたり、指でこういうふうに、スプーンを入れなさいという先生もいます。

○響きを拡散させない

顎を出すだけで響きというのは、拡散します。声楽は徹底しています。ポップスでも、上は上できちんと響きをとらなければいけない。やたらと響かせればいいのではなくて、その焦点をきちんととっていかなければいけない。体は体のほうで、焦点をひとつとって、そのひとつの結びつきみたいなところを感じることです。これは別に理屈や理論があるのでなく、何か多くの人がそう感じているものです。

総じて頭声や、顔面の響きのほうからやるのですが、体のほうからやる先生もいます。日本人の言葉は、フランス人のように鼻にかかりやすいのです。だから、ここで響かせるというのは、そんなに難しいことではない。むしろないのは、胸の響きのほうです。深いところのポジションで声にする。太い声とか、音色のある声のほうです。とにかく音域なら、声がバランスがとれていて、両方に焦点が響いている。ところが上になればなるほど、このバランスがきちんととれない。上のほうでいろいろなところにぶつけて、声を拡散させてしまう。低くなっても、体に入っていかず、バラバラになってしまう。すると、声は焦点のないような広がるものになってしまうのです。そこでがなっていても、のどを使うだけで、効率が悪い。ただ、そういうタイプの歌い手もいます。何かやっていると響きが集まってきたり、勘の中でまとめていく人もいるので、一概にダメともいえない。

○抵抗感覚

ヴォイストレーニングは、声楽の考え方にある程度はのっとっています。効率ということで、焦点を定めていくようなことをします。体のほうの焦点で、あまり頭部や胸部と分けたくはないのです。日本人に特にないところ、深い息、それから体を使ったところで声にするという部分も大切です。「ハイ」のようなところです。体を曲げて、それで息を「ハイ」と出してみてください。

体に抵抗を感じますか。頭を下げすぎてしまうと、血がのぼってしまいます。床から平行にするとわかりやすいです。腰や足が痛くなったら、ほぐしてください。慣れていないから、そうなると思います。そこで息を「ハイ」と吐く。その息を深く吐けば、体に抵抗があるはずです。一番深く吐いたら、吐けなくなる。「ハッ」となってしまう。そこまで深く吐かなくていいです。その手前くらい、「ハイ」でも「ハー」でもいいです。

息でやってみるのは、のどに差し障りませんから、安心してできる。負荷トレーニングです。それで息が回りだしたらよい。今まで浅いところで吐いたのを、「ハイ」という深いところの息で、なるだけ深くやります。それを体を曲げてやります。今、体を曲げているのは、横、後ろ、息が入っているわけではないのですが、感覚と結びつける。「ハイ」と、なるべく深く、口の中であまりつくらずに、むしろ胸の真ん中や背中の真ん中くらいで、音が鳴っている感覚です。太くて、強く鋭い音です。のどにひっかからなければ、最初は頭に響かなくていい。「ライ」とか「ナイ」とかの方が、人によってはやりやすい場合もあります。いろいろ試してみてください。

要は、息と一致している声です。息だけが出てしまったり、全く抵抗を感じられない声ではなくて、若干、体の抵抗を感じられる声です。
ボールを手において、砲丸投げのように投げる感覚です。共鳴させていないので、体を使った以上に声は伸びないのですが、体を使った分だけは声が出るという感じです。そのうちバネが働いてきます。それがフォームです。声が全然のらなったら、かすってしまいます。もう一つの目的は体を鍛えるためです。腹筋をやるとか、いろいろな鍛え方があります。声を出すのだから、声を出すことに対してやる方がよいのです。それにもいろいろなやり方があり、これだけではありません。なるべく鋭い声で言ってみてください。のどにひっかけないでください。できたら背中や尾てい骨、背骨のほうに響くようにします。

○のどを開く

男性なら、大抵、胸のほうに入ってくると思います。できるだけやわらかく使って、のどにストレートにアタックしないことです。もう少し大きくやってみてください。かすれるようだったらやめたほうがいいです。「イ」もはっきり言い過ぎないことです。1音、1拍と捉えてください。できるだけ響かせないのは、のどの響きと間違う人がいるからです。のどは響かせるというより、焦点が定まらないから、響いているふうになってしまうのです。一番悪いのはのどをつめることです。聞いていて、危ない声ですね。響きが上がってくるのはいいですが、それは次の段階です。肩が上がったり、首に力が入ったりするのを止めます。

自分なりに焦点に定めてみてください。胸の真ん中くらいがいいと思います。同じ使い方で、まっすぐ立ってみてください。まっすぐ立つと、首や顎がじゃましたり、自由になる分だけ難しいでしょう。寝ころんでやると体が、半分固定されます。座ってでもいいです。最初は座ったほうが声が出るかもしれません。立つのは難しいです。座ると、半分固定されます、腰のところまで。頭のところもまっすぐなるから動きようがない。顎は気をつけてください。

顎の位置は、結構大きいです。響きが集まらないのには、いくつか理由があります。のどに響きが当たって、浅くならないように保つ。こうすることによって、奥が開いてのどが下がる。これがいわゆるのどが開いた状態です。姿勢に意味があるのではなくて、こうなることで顎が引く。変な声になったり、かすれてしまったり、焦点が集まらないようにならない。楽器ですから、空気の通り道が直角になるのが一番いい。言葉だけでやりましょう。単に「ハイ」だけです。それをもっと大きく、自分でコントロールしてみてください。ここでのどをつめないことです。できるだけ自然にします。

○体の力と声の対応

まだ少し、まとまりがない。上を出していくのなら、「ハイ」、顔側の響きです。口の中の動きで操作ができてしまうと、応用になります。その操作は間違いやすい。今やっているのは発声の部分です。次に発音に入るのです。今は、発音の部分にはまだ入らない。単純な楽器としての母音共鳴のところです。「ハイ ライ」、その2つにしましょう。まだ上が働いてきている。そういうときは体を曲げてみて、もう一度ポジションに戻ることです。トレーニングですから、口の中だけでできるところは、今はやりたくない。

だから、最初にやりたいことは、体から使われてくる声が全部変わるということです。結びつきのほうは、まだ、失敗してもかまわないのです。ただし、その結びつきがないのに先をやってしまうと意味がなくなってしまいます。口内というのは、発音への応用です。要はそれでは何も変わらない。形は変えられるけれど、力というのはつきません。こうしてやっても、発音はクリアになっても声は、そんなに変わらない。言葉の扱い方はうまくなるでしょう。今、やりたいのは、そこのベースです。声のほうです。声を出そうというところと、それを支えている部分です。横隔膜も含めた調整です。

○呼吸法

息を吐くと上がってしまう。それをへっこませないで、保つ。息を吸うと、自然とこういうふうに下がります。下がると、横とか後ろが広がるわけです。その下がった状態から、すぐに息を吐き切ったら、すぐに崩れてしまう。歌は伸ばさなければいけないから、それを自分でコントロールできるようにします。このくらいのところでは息はあまり使わないのです。呼吸は、「ハーッ」でなくなるのでは保てません。歌おうとすると、体に用意があって、空気がたまる。そこで歌いだしても、保っておかないとなりません。高いところではどうしようもなくなってしまいます。

理想的にいうと、息を入れて膨らんだ分、そのくらいの範囲の中で使うことです。ポップスなら、ポーズとしてかなり吐き切って使ってしまう場合があります。そのときにはもう支えは崩れてしまいます。発声ではそういう練習はしません。実際の現場でそうなってしまうのは、その意味ではパフォーマンスになってきます。もう一度やりましょう。体を曲げて「ハイ」、できるだけ体に、上半身、下半身に響くように。頭に響くことはあまり考えなくていいですが、頭に響いてきたら、響きをまとめることです。

○声ことば

歌ってしまわないことです。「かなしい」、「ララーラー」、こういうところではなくて、「ハイ」「ライ」「かなしい」と声を保つ。たぶん日本語でやるのが一番難しいですね。「かなしい」あたりがわかりやすいかもしれません。「つめたい」というのは、難しい。「レミファミ」「つめたい」と言ってみます。「つめたい」は、普通の歌ではここにきます。「つめたー」「たー」「たー」、これは響きにもなっていないし、体もついていない。安定の悪い声です。特に「つ」や「め」というのは、弾いてしまう。「つめたい」と、言いにくいわけです。それを「ハイ」と同じところで、「つめたい」とします。

一音ずつ区切ると、アナウンサーのようになります。それを「つめたい」と、胸でとって、そのままの体で支えていく。そこのベースの声が、早くできていく人もいるし、トレーニングをしても、時間がかかる人がいる。そこは急がないことです。歌を歌っているだけでもそうなる人もいます。役者は結構早いです。いろいろ役の世界にいるだけでもそうなってきます。役者も一人ひとり、声が違うし、歌い方も違います。しかし、たぶん他の人たちと違う共通点がある。そのベースに声があるのです。しゃべっている声にも、それは表れているはずです。普通の人のしゃべりとちょっと違うのです。役者も声優もやっていると、その共通の部分に近い声が用いられます。いわゆる鍛えたプロの声です。

ただ、人によってはそうではないタイプもいます。もっと違うオリジナリティがある人もいます。特に高いところできれいな伸びがあるような声の人は別のタイプです。違う響きを持っているとかいうような人にも個性があります。女性も本当にいろいろですね。クラシックの歌手では、日常の声とは全然違うように歌っている人も少なくないので、一概にはいえない。喋り声は変わっていかないが、歌声だけはよくなっていく人もいます。いろいろな人を見ていくと、全部が同じではないのです。

○イメージのフレーズ

1オクターブ下げてやっている、「ラドド」、「アディオ」の「ディオ」のところです。一番出やすいところでいい。あまり高めに持っていかないようにしてください。「ディ」で潰さないことです。 「アディーオ」「アディオ」、「ア」が深くないとだめですね。そこに体をつける。「ハイ ララ」と同じです。それが、「ラーラーラー」と3つにならないで、「ハイララー」、と1つのフレーズにする。「アディオー」であって「アーディーオー」ではないわけですね。イメージが違うと、そういうふうにフレーズにならない。イメージのフレーズを持つことです。「アルディラ」も「アルディラー」(ドレミ♭)のところです。

もう一度「ハイ ラオ ララ」でやってみてください。そして、同じところで声を発する。そのままフレーズにしてしまうという考え方です。「ガギグゲゴ」というのも、そのまま声にします。のどを使ってしまうと、のどに負担がいってしまいます。子音で、胸のほうに入っていく。「ゲゲゲゲゲ(ドレミレド)」でやってみましょう。響かすよりも、胸の共鳴をとってみてください。「ガガガガガガ」、「ギ」、「ゲ」。

○セッティング

場の設定というのは、私はあまり何とも気にしません。相手が100人であろうが、1人であろうが、偉い人であろうが、小中学生であろうが、あまり関係ない。研究所だから研究をやるだけのことをやってきた。今は、人と会うのに忙しい。力が入っている声とそうではない声とはどう違うとか、体を使った声と使っていない声がどう違うのかということです。客観的にグラフで違いをはっきりと見ましょう。声のことをビジュアルで見られたら、その違いは確かにある。いいものはいいという、指標がある。声の場合は、かなり複雑だから、歌を基本に入れるのは諦めたのです。声でよしあしというのは難しいというより、好き嫌いになります。ところが歌の場合は、バイオリンやトランペットと同じように、物理的現象としての音の中で、よしあしというのは、ある程度判断できるのでしょう。ところが日本人の耳の聞き方はそうではない。私が聞いているのとは違うのですが、そこが、タイムアップで埋められなかった。

○物理的現象

たとえばバイオリンであれば、その人がどんな格好をしようが、どんな人であろうが、バイオリンという楽器を通して聞こえてくる音がどういうふうに、物理的な現象から心理的な働きを与えているかで、優劣はわかるわけです。会場や、マイクの性能もあるかもしれません。うまいのか下手なのかというのは、すぐにわかります。同じバイオリンを使ってみたときに、中学生や高校生が弾くのと、プロが弾くのというのの差は、物理的な現象です。聞くほうが、すごいレベルの耳を持っているからではなく、心地いいか心地悪いでわかるものです。

ところが歌の場合は、技術だけで図れない部分があります。ただ同じ技術があるのにかかわらず、同じレベルの声を持って生まれ、声の使い方をしているのにかかわらず、片方のほうが働きかけがある。そのときに、それが何なのかいうことは、図れない。測定と録音は、笑った声、怒った声など100パターンくらいやって、それを分析した結果を世の中に出しました。発声をやっている人に、計測器をつけてのどを開けると、発声がどう変わるかということです。クラシックにしか通用しない基準とは思わないのです。ポップスで響きが出たからといって、それがどういう影響を与えるのかというのは、必ずしも音響的な意味になりません。声量も必要とはしていません。

○基礎で見せる

日本人ということもあるし、声楽の世界がどこまでポップスにリンクするのか、みていく必要もあります。私がのどとか深いポジションとか、あまり言わなくなったのはそのせいです。現実的には、社会、世の中は、次の時代に対して向かっているわけです。それに対して、ハードにおいてクラシック的な考え方を持ち込むというのは、一歩、古いことになってしまいます。もちろん、クラシックということをベースにするのはいいことです。私もそこに基礎をみるのです。いうならば、ひとつのことを長期的にやっていくために、あるいは短期にハードに重ねてやるときに、のどをどこまでケアするかという問題になります。

たとえばタップや、コンテンポラリーをやっていても、実力はわかる人にはわかるでしょう。発声が正しくできないが、歌を歌ったらうまい。踊りもすごいわけではないけれど、即興性として、その場の瞬発力と集中力でみせられる。ただ、そこでクラシック的なことをやっておかないと、長持ちしません。役者が、演出家の言われたとおりにやっていくと、ミュージカルでのどをこわしてしまう。自分がどこまでできるのかということがわからないなら、打ち込めません。

役者は、役者としての声の使い方に関しては、わかる。たとえばどのくらい台詞を言っていたら、どうなるかということはわかるのです。歌を歌ったときには、特に高音で、無理をかけます。すると、崩れてしまうのです。ところが声楽をやっている人というのは、自分の限度を知っているから、声で持っていかない。声を勉強したのに、それは声を使うために勉強したのではなくて、声を見せないで、声で持っていかないで、もっと大きく、もっと迫力あるように歌えるように、見せる術を知っているのです。というのも、声はそれ以上に使ったら、自分たちが調子が悪くなるのを知っているからです。

○声がでなくても歌になる

声は調子が悪くなったら、役者のように根性論ではいかないのです。役者の場合は、声がかすれても、そこで表現することが可能なのです。そのほうが、真に迫って、いい演技になったりする。ところが、歌の場合は、音の高さがある。語るように歌えばいいと言っても、そうはいかない。発声のやり方をそのまま通していく人が多いので、却って失敗します。声にならなくても、歌にならなくても学ぶべきでしょう。

○声を鍛えるときの注意

スポーツクラブ出身などで、歌に入って、失敗してしまうケースは、そういうものが多いですね。力ずくでやっていく。スポーツというのは、あるレベルまで力ずくでやれてしまうのです、といってもそれゆえに一流になれない。力ずくでやれるところまでやると、使えなくなります。筋肉が麻痺します。腕立て1000回といわれても100回200回になったら、骨が折れたり死んだりする前に、筋肉が疲れて止まります。それ以上できないのです。

走るのでも、いくら気力だといっても1キロしか走っていない人が20キロ走ろうとしたら、倒れてしまいますね。それで体が守られるわけです。それ以上に無理に鍛えて使うと、腕相撲で骨を折ったというようなことが、起きてしまいます。ところが声帯はそういうふうにはいかない。声量をカバーするために、声量をやっていくというやり方は、元々、違っている。ましてそこで力を入れてというのでは逆効果です。一発勝負芸くらいでやれてしまう人からこわれていく。声の状態が悪くても、力でやれてしまう人が日本にも少なくはいるというのは、いい発見にはなりました。でも声楽の人にはかなわないのです。個性やオリジナリティがある。最近演目が変わってきたので、それで需要はあるのです。

○演出のバックグランド

言いたいことは、どういうふうに見えるのかがすべてなのです。そこの部分の演出的なことを考えなければいけない。そのバックグラウンドですね。これは、もういろいろなものを見るしかない。私も研究所をやって、私が世界中で聞いてきたり、自分で判断してきた音の聞き方から得たものを与えています。そこで聞いたら、日本のものくらいはしっかり見られるようになります。でも、より問題なのは、やっていくためのバックグラウンドをもつことです。それはトレーナーの耳ではありません。それは自分に対して、どこまで価値を特化させるかということです。それが難しいのです。合唱のセミナーでいろいろ話していたら、ハモネプとかアカペラは、需要がある。高校生です。それが一方にあって、バンドをやる人と、合唱団という世界があって、合唱を請け負って、成績を上げてきた先生とも会いました。

ファシズム的でマゾっぽいものにはなってはいけないというような考えで、どんどん歌が嫌いになっていくと、面白いことを言っている人がいました。中学校で優勝したチームは、高校ではやらない。高校の合唱団は、中学校のときの優秀な人がいないから。また高校で一からやっていく。それで高校で優勝するようなところは、また大学に入ったときには、続けないらしいです。日本らしい。要はコンクールをメインにしてしまうから、おかしな話になってしまいます。クラシックもそうですが、ポップスも、デビューを目的にしたら、難しい。

それはプロセスであって、続けるということはその先の目標に対して続けるわけです。ところが、それがどんどん下がってくるというのが、経験別です。一時、高いレベルのところにいると、モチベートが上がるのですが、それは他人がやっていることであって、そこを出ても、何が自分でやれるかというのが問われるのです。続かないことが多いのです。

○個人として考える

グループというのは、案外とそれをわからなくしてしまう。個人レッスンはいろいろです。昔なら、絶対にこられなかった、グループに入るようなことがなかった人も来るようになりました。フラメンコ、バリの舞踏など、エスニックな関係をやる人は、声に対して、関心を持って、深めようとするのでしょう。最近は国籍が関係なくなっています。ラップやレゲエの人が来たときと同じですね。何をやればいいのかというと、その分野のことはわからないのですから、そんな分野を知らない人が、客のひとりとして、聞いてみたときに、どういうふうに考えるかということを言います。

発声も歌も教えられない、わからないものです。ただ、それのどこがおかしいのかいいのか、そこには普遍性はあると思うのです。音楽というようりも、人間が声と息を使って、相手に対して与えるということに対して、芸に耐えうるのか耐えうらないのかということです。元々、プロという考えがないところで、民族音楽というのは成り立っています。むしろ芸能界やショービジネスの世界のほうが、よっぽど特殊です。ゴスペルも一般の人たちのものだから、そこの中で長く続けてできることが幸せです。プロになる、うまくなるということを考えて歌うから、おかしくなる。テクニックばかりでやっている人もいる。

○詞の成立

谷川俊太郎さんという詩人と対談をしました。たくさん歌になっています。「声ことば」など、私の本に引用させてもらってもいるのです。合唱曲から現代音楽まで、50年、第一線にいる方です。今、息子さんと朗読や音楽のステージ活動をやられています。彼も日本の合唱や音楽教育はおかしいのではないかと、いろいろな形で打ち破ってこられたのです。歌は、そのときに起きることが成り立てばそれでいいのです。

勉強の方法としては、国語のテストみたいなところまでは、我々はさかのぼりません。自分で解釈をした歌詞の意味は書かせています。ステージでは不要でもレッスンという実験の場では、プロセスは欠かせません。それは自分のスタンスをとれということです。この詩の解釈があっているか間違っているかということではない。言葉の抽象的なのは自由に自分で解釈できる。彼の詩は、わかりやすい。、詩は読まないです、読むものではなくて、つくるものだと思っています。

○研究の体制

いろいろな方に会っているのは、研究所だから研究しなければいけない。研究はひとりではできないのです。最初にやりたかったことを、ようやくできるようになってきている気がします。15年くらい前、京都は発足したときが5人でした。ノリキは四条のほうを使っておりました。続けているというのは、偉いことであって、皆辞めてしまう。私は少数人で育てる体制に組み変わっています。50人くらいのときが一番よかった。ただ、あのころの時代ほど、私の時間も、一人に対して見られる時間がない。そのかわり、本当にいい先生がいらっしゃっています。

ただ、いい先生がいらっしゃって成り立つのなら、成り立っていたと思います。そういう問題ではないと思っています。ただ、考えてみれば、昔、新入懇V検L懇は18人以上で、5クラス、私がやっていましたから、きつかった思いだけがあります。2曲ずつ歌っていました。京都も合わせて、月に200曲は聴いていたわけです。

グループを組んでいたら、それがいつの間にか膨らんでしまって、日本はそんなものなんだろうと。サークル好きというか、人数が多くなると多くなる。日本での、成功失敗というのは、なぜか質ではなくなるのです。日本のレコードも同じ、ビジネス、売り上げということで考えたら、そうかもしれないが、そのことと質がいいことは、必ずしも一致しないわけです。人数が多いから、そこがよくて、人数が少なくなっているから、だめと言ってしまうと、目的がおかしくなります。私が今、一般の人向けに書くのは、日本の歌に音楽の耳と声の耳の不在を感じているからです。

昔から、ある先生のところは、年配の人ばかりで、若者が来てもすぐにやめてしまう。そういうところでやっていたものがブームにはならなかったけれど、認められてきちんと残っている。本物は、人数にかかわらず影響を与えられているものなのでしょう。だから、常に自分のことを高めていくことをやればいいのです。研究所では群れるなと言っていましたが、サークルはどうなるか、結果もわかっているわけです。お互いがすぐに仲良くできてしまうのは、結局ポリシーがないからです。ポリシーのない人はやれない。やれる人はそれぞれにポリシーを持っています。すると必ず、本気になった時点でぶつかって終わってしまうのです。仲間というなら、本気の仲間、才能にめぐりあうことです。

年に一回のイベントだからやれるのです。排他的になります。自分と合わない人に対して、今度は悪口を言ったり、非難をしはじめたりする。何もやれていないのに保身のほうにエネルギーが行ってしまうのです。強力なライバルや敵がいるうちは、団結力があるのです。それは、それがあるからやれているだけなのです。だから身近に敵がいなくなると、またぶつかりあって、解散してしまうのです。もったいないことです。
いろいろな意味で、人間は一人ひとり才能があると思っています。それを特化して自分に使えばいいのに、周りのものにかまう。あまりに周りのものにふりまわされている。

自分が会うのが嫌な、何か一分野をつくっている人と会っていたら、そういうことを考えなくなります。私もいまだにそういうのは努力をしています。どんな話もきたら受け入れるように努力しています。それは人間に差があるわけではない。何事か成してきた人は、必ず思想があるのです。その考え方、思想において表現している。そこで判断して、人生を歩んできたから、その地位がある。一人で、勝手にやって、何かになったという人はいません。

谷川俊太郎さんは、代々木まで一人で歩いてくる。また歩いて、電車に乗って帰られる。それを50年以上、やられているということです。
そういう人がいることを考え、はやく自分をプラスにできるようにしていったほうがいいと思います。もったいないと思います。プロになりたいといって来る人が多い。では、プロといわれる人は、一体どういう活動をしているのか、何をきっかけでそこに入ったのか。調べれば、何にでも出ているのです。歌1本というのは、今の世の中ではあまりいない。いろいろな意味でのコラボレーションだったり、他の分野のベースと重ねるとやりやすいのです。師匠が場を持っている。そこが第一のきっかけで、第二にそこにみにきた人の目にとまったわけです。オーディションでデビュー、CDでデビューといっても、皆、次の年にはいなくなってしまうのです。それ以上のものがないからです。師から学ぶことも、またバックグラウンドなのです。そういうことをちゃんと考えていくべきだと思うのです。それがある人というのは、めげない。結実させていくからです。


■声優入門トレーニングの使い方1 by トレーナー
テキスト「声優入門トレーニング」使い方のアドバイスです。

○気持ちを作る(1)P88

「いやっ、こっちへ来ないで。しっし…あっちへ行って!来ちゃだめだったら…しっし」
(恐れ…苦手な犬が近寄ってくる。)
犬が苦手ではなくて「恐い」という気持ちが作れないという人がいます。そういう時は苦手なものをイメージしてみます。かえる、ゴキブリ、なんでもいいです。想像してみましょう。
もしくは犬のことが好きであったとしても、犬が嫌いなんだという気持ちを即座に作ってしまうことです。心の針を合わせてしまうことです。何度もイメージトレーニングして、何度も読んでいたら慣れてきて、良くなってくるとは思いますが、今は即座に気持ちを作る練習をしていきましょう。これは慣れの問題もあります。即座に気持ちを作ることが苦手であるのならば慣れてしまうことです。何度も何度も練習していくことです。徐々に即座に気持ちを作れるようになってくると思います。
あとは集中力です。集中して一つの気持ちに心の針を合わせていけば、必ずその気持ちになれるはずです。今その気持ちになれないのは、読み方であるとか、人の目だとかに集中しているからなんです。その集中している方向を気持ちにしていくのです。集中してリアルな自分の気持ちを作っていくのです。

○気持ちを作る(2) P92 会話文の音読練習

(1)「オーイ、待ってくれ」(大声でよびかけて)
このセリフを使って練習していきます。まずは指示どおり読んでみます。
大きな声でしっかり腹から声を出していくこと。その上でよびかける。
次に誰によびかけるのか、イメージしてみましょう。友人なのか兄弟なのか見知らぬ人なのか。イメージを具体的にしてよびかけてみましょう。映像的、視覚的に具体的に人物をイメージすることも大切です。
次に(大声でよびかけて)この部分を変えて、より具体的な気持ちを作ってしゃべってみましょう。例えば(あせって)とか(あわてて)など、気持ちを具体的に作っていきます。
(あわてて)にした場合、どんな状況、どんな設定、誰に対して、(あわてて)「オーイ、待ってくれ」と言っているのか、そこまで考えた上でセリフをしゃべっていきたいです。「遅刻しそう、なのにバスに乗り遅れてしまう。あ〜〜会社での大事な会議に間に合わない。どうしよう。運転手さん、待ってください!」ここまで考えてセリフを言えたら、リアルなセリフになるはずです。

○気持ちを作る(3)

(1)「オーイ、待ってくれ」(大声でよびかけて) 
ひとつのセリフを言う前に、必ずそのセリフを言わなければならない気持ちというものがあります。気持ちのないところに言葉はありません。
普段の会話でもそうです。なにか人に伝えたい、この気持ちをわかってほしい、この思いを受け止めてほしい、等々。思いがあって初めて言葉として口から出てくるのです。思いがないのに言葉が出てくることはないのです。
セリフを言う際も、その自然の摂理に忠実にしゃべることでリアリティーが出てくるのです
まずは思いがあって言葉になる。この過程を大切にしていってください。このことについては事あるごとに言っていくことと思います。
その他の「会話文の音読練習」2〜19を今の要領でやってみてください。
普段の習慣として練習文や台本を初めて手にした時は、まず口に出して読む練習をする前に、ひとつひとつの文に対しての気持ち作りをすることです。もちろん、そこに直接書いていってもかまいません。すぐしゃべりたい気持ちを抑えてこの作業をすることで、より深い表現ができるようになっていきます。

○伝わる声(1)

普段しゃべっている声に自信がなく、相手に伝わっているか不安になります。言葉もはっきり、声も大きくなってしまいます。この声って聞いていてどうですか?確かに声は大きいので耳には入ってきますが、無機質な感じがします。
今ってどんな気持ちですか?声を出すことに必死になってませんか?ボリュームのみにこだわりすぎてませんか?
人はもちろん表面的に大きく聞こえてくる声を聞きますが、それ以上に、あなたの思いを、気持ちを聞いています。まずはリラックスして自然にしゃべれるようにしていきたいですね。意識を変えていってください。極端に言えばヴォリュームがなくても充分言葉は伝わります。これを信じてください。その上でよりいい声、よりいい響きを求めてトレーニングするのです。

今こうして話しているとき、少し悩んでボソボソ話してますよね?その言葉って本当によく伝わってきますよ。悩みの言葉が聞こえてきます。もし自信に満ちた声でしゃべりたいのなら、まずは自信を持つこと。それから強く息を吐けるようにトレーニングしていくこと。そしてその気持ちと息を吐く体との接点を見つけていくことです。セリフもこういう意識でしゃべっていくと自然にしゃべれるようになっていきます。参考にしていってください。

○伝わる声(2)

相手に意識を向けていますか?ひとりごとのようにしゃべってませんか?実際に音として聞こえていても、意識されていない相手には伝わりません。演技のエチュードでこのようなものがあります。5メートル先に人を3人立たせておいて、ある一人に向けてことばを投げかけます。その一人に向けて、集中して呼びかけます。投げかけられたほうは、自分に対してだと思ったら振り向きます。実際やってみると、後ろを向いていて、声しか聞こえないのですが、呼びかけられているのがわかるのです。これは呼びかけている人の意思がしっかり伝わっているからです。思いをその相手に向けているからです。

普段でもそうです。声が大きかったり、はっきり正確にしゃべっていれば伝わるわけではないのです。もちろん音としては伝わりますが、相手の心には届きません。相手の心に届かせるためには、相手の存在を意識して、相手を理解し、相手に向けて気持ちを届かせようとすることです。ただそれだけでいいのです。もちろん相手の話をよく聞き、コミュニケーションのできている状態であれば、お互いにもっともっと理解しあえるようになります。

○伝わる声(3)

もちろん深くいい声で話せば、音としては伝わると思います。しかしそこだけに焦点をあてるのではなく、相手に対して自分がどれだけ関心を持ち、話を聞いてあげているのか、ということも考えていきたい。相手も人間です。興味を抱かれていない人の話は頭に入ってきませんし、興味を持たれていると思えばこそ、その人の話を聞くのです。そういった前提で「伝わる声=いい声」で話していかなくてはなりません。一方的なコミュニケーションではダメなのです。

またいい声でも、自分勝手に話していたり、相手のことを考えずに一方的に話していたりしては、こちらの意図通りに伝わらなくなってしまいます。常に相手があってのコミュニケーションであることを忘れないでください。声のトレーニングをすると、このことを忘れがちになります。声をよくすることはあくまでコミュニケーションの手段であって目的ではありません。相手に関心を持って、伝えたいことが相手にストレートに伝わること。伝えること。それを忘れないでください。

○伝わる声(4)ゆっくり話す

基本的にゆっくり話せていますか?自分の伝えたいことを、矢継ぎ早に話してしまってませんか?相手への思いやりをもって、ゆっくり話してみてください。子供やおじいちゃん、おばあちゃんにはゆっくり話すではないですか。ゆっくり話すだけで、今まであなたのことばを聞き返していた人たちが、聞き返さなくなってくると思います。また早口よりも、ゆっくり話すことで、声自体のトーンが低くなります。トーンが低くなることで声が深くなり、いいひびきになり、聞き取りやすくなるということもあります。

次にゆっくり話している時の心境と、速く話している時の心境を比べてみましょう。ゆっくり話している時の心境は、落ち着いていたり、安心感があったり、余裕があります。早く話している時の心境は、焦っていたり、緊張していたり、余裕がありませんね。ゆっくり話すことで安定した心境も作り出せます。また逆に、安定した心境を作り出すことで、ゆったりと聞きやすいことばが話せるようにもなってきます。心身両面から取り組んでいきましょう。

○内容理解(1) P78「速読のトレーニング」

まずひと通り読んでみてください。内容を把握できましたか?どんな内容でしたか?内容を理解できる余裕がありましたか?なかなか難しいかもしれませんが、最終的には一度読んだだけで、表現として成り立たせたいです。さらに瞬間瞬間に自由に表現できたらより素晴らしい。練習段階では内容が把握できるまで何度も読んでいきましょう。徐々に理解できてくるはずです。最初は5回で理解できたものも、練習していくうちに4回3回と減ってくるはずです。

そしてこの文章だけではなく、その他いろいろな文章を使って慣れていってください。文章に慣れること。まずはこれが第一です。同じ文章を何度も読み込むことも大切ですが、違う文章を片っ端から読んでいくことも大切です。文章に慣れることを第一目標にしてください。そこから理解力が生まれてきます。

○内容理解(2)

日々意識して文に触れる機会を作っていきましょう。初見で読む文章に対しては集中して臨みます。一回一回大切な本番だと思って読んでいくこと。その集中力が大切なのです。集中していない状態で何度読んでも意味がありませんし、もちろんそれでは初見で読むことさえできません。違う文章を使って回数を重ねていくと集中力もアップしてきます。口に出して文を読むという行為を当たり前のものとしていってください。

もちろん正しく読むとか滑舌よく読むなど意識してしまいがちですが、まずは内容理解に重点を置いて読んでいくことです。それ以外にも小説、戯曲本を読んだり、文章を書いてみたり、映画、演劇を見たりすることも理解力アップになります。特に読書は習慣としたいですね。 

○内容理解(3)

ある文章を10行ぐらいのかたまりで読んでゆく。詩を使ってもいいかもしれない。どのような内容なのか考えながら読んでゆく。その後すぐにどんな内容だったのか言えるように。そしてその内容だけではなく、自分はどう思ったのかまで言えるように。まずは作者の意図、内容。その次に自分はどう感じたか。ここまで突き詰めて読んでいくこと。この積み重ねが内容理解力を上げ、イメージ力も育てる。どれだけ読んでいる言葉にイメージを加えられるか、これが表現になってくる。

まずはじめは黙読してもいいかもしれない。その場合でも口に出して読んでいることを想定して、戻ったりしないで読んでいくこと。そして大事な箇所には線を引いてゆく。書かなくとも頭の中で線を引いてゆくこと。いづれはこの作業も、声を出して読んでいるときに即座にできるようにしていきたい。日々の練習あるのみです。この練習の際はこちらに集中して、発音、滑舌等は気にしないこと。

○母音発声(1)

「アイウエオ、イウエオア、ウエオアイ、エオアイウ、オアイウエ」
これをひとつの文章だと思って一息で読んでいきます。
「、」は意識しないで、ないものと思って読んでいきます。

(1) 「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」・・・ひとつひとつの言葉をはっきり読んでいきます。ひとつひとつ、つぶ立てて読んでいきます。のどに力を入れすぎることなく、しかし言葉ははっきりと発音していくこと。この母音がクリアーに発音できることで、この5つの母音で構成されている日本語も正しく発音できるようになってきます。

(2)次に、つぶ立てず、流れで読んでいきます。言葉はあいまいでかまいません。この文章がひとつのかたまりだと思って読んでいってください。この5つの母音すべてが等しく発声できるためのトレーニングです。まずは「アイウエオ」「イウエオア」「ウエオアイ」「エオアイウ」「オアイウエ」と5つのかたまりとして読んでいってください。慣れてきたら「アイウエオ、イウエオア、ウエオアイ、エオアイウ、オアイウエ」をひとかたまりとして読んでいけるようにしていってください。

○母音発声(2)

「アイウエオ、イウエオア、ウエオアイ、エオアイウ、オアイウエ」
この文章を2つ続けて読んでみましょう。
慣れてきたら3つ4つ5つと増やしていってください。だんだん息も体も辛くなってきますが、これによって体も鍛えられていきます。楽器としての体作りにもなります。そのつもりで増やしていってください。いずれ5つぐらいは楽に言えるようになります。その際も「発音」を意識するバージョンと「発声」バージョンと2種類で練習していきます。
このトレーニングを言葉を変えてやってみましょう。
「カキクケコ、キクケコカ、クケコカキ、ケコカキク、コカキクケ」
タ行ハ行ナ行などでもしゃべってみましょう。
子音がつくと少し難しくなってきます。しかしこれも慣れです。日々練習していってください。基本は母音だけのア行です。いつもこの基本を忘れないことです。

○母音で読む(3)

「時を忘れて語り明かす」この文を「母音」だけで読んでみましょう。
「オイオアウエエアアイアアウ」一連の流れで読んでいきます。このカタカナの部分を何度も読みつつ、慣れてきたら、頭の中では「時を忘れて語り明かす」だと思って読めるようにしていってください。
次に「時を忘れて語り明かす」と「オイオアウエエアアイアアウ」を交互に読んでいきます。この際に意識したいことは声の響きです。自分が出している声をよく聞き、ふたつの響きをあわせていきます。できたら「オイオアウエエアアイアアウ」の響きにあわせていってください。また母音だけで読んでいるので口は開けたままになっていると思います。だからこそ流れが感じやすいのです。その流れの中で深い響きを作っていきましょう。普段のしゃべり声よりも、深い日本語にしていきたいです。
同じように「優しい気持ちで満たされる」「あなたと私のこの違い」でもやってみましょう。
また普段から目につく言葉を「母音」だけで読むということもやってみましょう。感覚として慣れていけば、声を出すときに集中できるはずです。そうすれば母音だけで声を出しているときに意味まで考えられるようになります。 
「状況をイメージする」
「まぁなんてきれいな夕日でしょう」
状況設定と気持ちを考えてきたと思います。
読んでみましょう。どんな状況を考えてきましたか?
「家族で旅行に出かけ、3日間天候が悪かった。3日目にようやく晴れて、やっと美しい夕日が見れた。」そのときに言った言葉です。
気持ちは伝わってきます。感動であったり、感激であったり。さらに踏み込んで考えていきましょう。その言葉をひとりごととして言っているのか、家族に対して言っているのか、具体的に父親に向かって言っているのか。
さらに言えば夕日の色、真っ赤、ピンク、オレンジ、どんな色なのか、ここまでイメージできたら、さらにわかりやすくなってきます。
その上で自分自身の気持ちの「感動」「感激」でしゃべりたい。
しゃべる前の気持ちを作ること。さらにどうしてこの気持ちになったのかの状況をイメージする。「状況」→「気持ち」→「誰に」→「話す」この過程を大切にしていってください。たった一文ですが、この中でもドラマがあることを忘れないでください。

○イメージ力

「風?」「風よ」「風が…」「風か!」「風だ!」「風かい?」
この「風」のバリエーション練習をしてみましょう。まずは一通り読んでみてください。瞬間瞬間にイメージが湧いてきましたか?もう一度少し踏み込んで読んでみましょう。
例えば最初の「風?」ですが、最初に読んだ時は、単に疑問であるということだけを捉えていたと思いますが、二度目に読むときは、何に対して疑問が湧いているのか、そこまで考えてみます。風に対してお前は風なのか?という疑問なのか、ふっと頬をなでる感触がした、これは風なのか?とか。いろいろ想像してみましょう。
三つ目の「風が…」もいろいろ想像できると思います。特に「風が…」の「…」の部分にはいろんな意味が込められます。自分がイメージしたら、しただけ、あらゆる表現ができます。イマジネーションを湧かせてみましょう。
この練習をすることによって、実際具体的に場面や役設定が決まっているセリフを言うときに、より豊かな表現ができるようになります。一つのことばから幾通りものイメージ、気持ちを想像し、そこからそのセリフにあっている気持ちを選択していくのです。一つのセリフに対して一つの気持ちしか考えられないようでは、奥深い表現になりません。

○空間イメージ

常に空間イメージを持ちたい。今現在舞台の上に立ち、どのぐらいのお客さんの前でしゃべっているのか。どのぐらいのお客さんが入るホールなのか。100人なのか500人なのか。もちろん空間イメージを小さくしてもいい。小さな部屋で5人ぐらいの前なのか、それとも1人に対してなのか。まずはじめに大きくイメージすることから始めたい。大きな舞台、大きなホール、1000人のお客さん、このぐらいをイメージしたい。そのイメージの中でどのように体や気持ちが動くのかを感じたい。
このイメージの中では、普段のままではいられないはずです。テンションも上がるし、緊張感も出てくる。その中で自分の表現を見つめていきたい。大きな器を作っていきたい。そしてこうした環境を練習の段階で作り、試していく中で、気持ちも鍛えられ、さらには声自体も深く、いい声になってくるはずです。本番で人前に出た時でも、このイメージで鍛えておけば緊張することなく、表現に集中できるはずです。

○空間を感じる

舞台に立った時に空間を感じられるのか、感じられないのか、大きな違いです。
例えば横に立っている役者さんの存在を感じ、気配を感じ、思いを感じていくのです。自分ひとりで演技していればいいのではありません。もちろん個人としては最大限の努力をして舞台に立てるよう作っていきます。でもこれは当たり前のことです。その後が大切なのです。さきほども言ったように、自分以外の役者をいかに感じられるかなのです。自分と相手との関係や場所、距離感、さまざまなことを感じられる感覚を作っていかなければなりません。舞台上でその空間を感じていくのです。その感覚があってこそ、作品の中の自分の役割も見えてくるのです。 空間を感じるためにはダンスや踊りなどを練習に取り入れていくことが大切だと思います。ダンスは空間を感じる芸術ですから、体で感じ、体でまわりを見れるようになってくるのです。また空間を感じていなければ、たくさんのダンサーで踊ることなんてできません。だからこそ視線を送っていないにも関わらず、相手の動きが見えてくるようになるのです。極めていかなければ本当の意味でのダンサーの目はできないと思いますが、役者であってもダンスを学ぶことがどれだけ大切かがわかると思います。

○瞬間イメージ P72<5音>

もちろんことばにする前に思いがあるわけですが、その思いのほかにことばから思い描くイメージというものもあります。そのことばからどんなイメージがわくのか、自分の経験したこと、普段考えていること、思っていること、そことイメージがどうリンクしつながってくるのか。想像をふくらませてみましょう。今回は瞬間的にイメージを思い描き、次から次へと読んでいく練習をしてみましょう。
「純粋な」「物語」「なつかしい」「この思い」…この4つのことばに対してどうですか?瞬間的にイメージはわきましたか?どんなイメージがわきましたか?
「純粋な」…真剣に働く自分自身。「物語」…なにも浮かんできませんでした。「なつかしい」…子供の頃の田舎の風景。「この思い」…歌にかける情熱。
なるほど、なんどもやっていくうちに浮かんできます。そのためには普段からことばに対して敏感になってください。歌っているときもそうですが、ことばに対しての集中が足りません。そしてそこからの発想力、イメージ力、この力が物語を作っていきます。瞬間的にいろいろとイメージできる柔軟な感性を作っていきたいです。じっくり考えてイメージすることも大切ですが。今回のように瞬間的イメージも鍛えていきましょう。

○言い切る P72<15音>

「本当はその目に気づいていた」
この文章を読んでみましょう。自分の声を最後まで聞き、言い切ってください。声がなくなるその瞬間まで自分の声に責任を持ってしゃべること。息を流し続け、集中して言い切りましょう。気持ちを作ったり、ニュアンスをつけていくことも大切ですが、まず息の流れの中で文章を言い切ることが「体を使う」という意味での基本になります。しっかり言い切れましたか?
この「本当はその目に気づいていた」というこの文章ひとつで、ひとつの息の流れ、ひとかたまりだと思って話してみましょう。まずは息を流し続けることに集中です。
文末の「気づいていた」…この言葉を大切に集中してしゃべってみてください。文の後半に行けば行くほどテンションも上がり、集中も増してゆく。文末の「気づいていた」に息の流れを集めてゆく。そのことにより、ひとつの文章を、息でも気持ちでも言い切ることができるのです。細かいことにとらわれず何度も練習してみましょう。<15音>のその他の文でも練習してみてください。

○言い切る(2)

「素直に自由に表現できる」
まずは「できる」この<3音>を繰り返し読んでいきます。「で、き、る」と切れることなく「できる」と一つのかたまりで読んでいきます。「アー」と一つの音を出しているイメージで、一言「できる」と言います。
次にことばを増やし「表現できる」この<7音>を繰り返し読んでいきます。そして「できる」「表現できる」「できる」「表現できる」と繰り返し読んでみましょう。<3音><7音>と繰り返しよむことでこの感覚がつかみやすいと思います。
続けて「自由に表現できる」<11音>「素直に自由に表現できる」<15音>と繰り返し読んでいきましょう。最終的には「素直に自由に表現できる」<15音>を一つとして言い切れるようにしていきます。最初から<15音>を言い切ろうとすると大変ですが、このように徐々にやっていくとつかみやすいと思います。
どの文章でもまずは言い切れるようにしていきましょう。その上で強弱をつけたり、ニュアンスをつけたりしていきます。そしてこの一つの文章を次へ次へとつなげていき、長い文章を表現していくのです。基本は短い一つの文から始まります。息のかたまりとして言い切ることです。

○強調する(1)P99

「あなたが 愛した アカシアの花」
下線を強調して読んでみましょう。あなたがということばは聞こえてきましたが、音だけが大きくなっただけですね。もちろん音は大きくなりますが、機械的になってしまっています。気持ち、テンションが大きくなるというイメージで読んでみましょう。「あなた」ということばにどんなイメージを込めますか?自分との関係、その人の顔、表情を考えてみましょう。そして全体として「あなたが愛したアカシアの花」と読みつつも、「あなた」ということばへの思いで一文を読んでいきます。
また例えば「あなたが 愛した アカシアの花」この下線を強調する場合、アカシアの花に対するイメージを明確に持ちつつ、(アカシアの花に込められた思い出、花の色、におい、それらをイメージしつつ)一文を読んでいきます。
強調する文の前後のことばも大切にしましょう。息の流れが切れることのないよう、一連の流れの中で強調する、息の流れが強くなるというイメージで読みます。「あなたが」を強調したければ、ここの流れを強くする。
もちろん息の流れが強くなるということは気持ちも強くなるということです。いつも「息の流れ」と「気持ち」を連動させていきましょう。

○強調する(2)「強調のしかたのトレーニング」

ここでは下線部を「小さな声」「伸ばして」「速く」の3つのパターンで読んでいきます。
典型的な例は「大きな声」でしょうか。大きな声で強調していくということが一番わかりやすいかと思います。声を大きくすることで、はっきり聞こえますし、テンションも上がるため強調しやすいのです。
ここでは違うパターン「小さな声」「伸ばして」「速く」で練習してみましょう。大切なことは表面的にだけ捉えるのではなく、「小さな声」「伸ばして」「速く」という読み方をすることで、意味を強めていくことです。意味を強めるために読み方を変えていくのです。
次の文章「音もなく すうっと 消えたんです。」の「すうっと」の部分を声を低く弱く、つまり、「小さな声」で読んでみましょう。

(2)の「伸ばして読む」をみてみましょう。
「おおきな(オーキナ)犬がいたら注意してね。」次の文を読んでみましょう。
まず初めになぜ伸ばして読むのかを考えます。「おおきい」ということばだけでも、おおきさは伝わりますが、伸ばすことで、さらにおおきいんだということが強調されます。また聞こえてくる音声でも、音を伸ばすことで「おおきな」ということば自体の幅も広がります。時間的にも長くなります。そのために耳から入ってくる音によっても、強調されて聞こえてくるのです。

(3)の「速く読む」をみてみましょう。
「そうじを てきぱき 終わらせる。」次の文章を読んでみましょう。この場合はわかりやすいかもしれません。そうじをしている人の動きがすばやくて、本当にてきぱきと働いている姿がイメージできるのではないでしょうか。そのイメージのもと読んでいきます。

大切なことは表面的にだけ捉えるのではなく、そのことばから具体的なイメージを働かせ、そのことばの意味を強めていくことです。
まず初めに、なぜその部分を小さな声で意味を強めるのか、内容から考えていきます。
この場合、何かが「すうっと」消えていったその姿をイメージして、この部分を強調していきます。
例えば幽霊がすうっと消えていったとします。そこには「恐怖」であったり、「驚き」であったりという気持ちがあるはずです。その気持ちの部分を大きくしていきます。「恐怖」の気持ちを目一杯作って、そしてこの文章を読んでいくのです。その際に「音もなく すうっと 消えたんです。」という文の「音もなく」と「すうっと」、「すうっと」と「消えたんです。」のあいだに間ができないように、全体としての流れを損なうことなく、下線の部分を小さな声で読んでいくのです。一連の流れの中で、その部分の息の流れを弱くしていくのです。
もちろん「すうっと」ということば自体も強調していきますが、文全体としても「すうっと」ということばのイメージの「恐怖」で読んでいくのです。

○小さな声で強調する

「気づかぬうちに すうっと 消えたんです」
下線のことばを声を弱くし、小さな声で読んでみましょう。
「すうっと」ということばを小さな声で強調するのですが、意識しすぎて流れが止まってしまいます。前後のことばも丁寧に言えてません。そのことばだけではなく、文の最初から「すうっと」ということばに向かって意識をもっていきます。一連の流れの中でそのことばを小さくしていくのです。そのことばを強調していきます。息の流れが変わるというイメージでしょうか。もう一度、息の流れを切ることなく、流れの変化をつけて読んでみましょう。

この「気づかぬうちに すうっと 消えたんです」という文章から、どんな内容をイメージしますか?なにが消えていったのですか?幽霊でしょうか?イメージしてみましょう。そしてそのイメージのもとで、もう一度読んでみましょう。最初に読んだ時と「すうっと」ということばに対しての表現が変わってくると思います。それでいいのです。まずは技術的に声を小さくしたり、息の流れを弱くしたりして読み込んでいきます。その後で気持ちをつくり、技術的なことと合わせていきます。ことばを強調したい時、声を大きくして強めるだけではなく、弱くし小さくするという表現もあるのです。

○気持ちの変化

「ええっ、どうしてあなたがここにいるのかしら?実家に帰っていたんじゃなかったの?」
まずは(意外、驚き)の気持ちで読んでみます。点や丸はないものとして読んでいきましょう。体に入るまで読み込んでいきます。
次に二つの文として読んでみます。最初の文を(驚き)、次の文を(怒り)で読んでみましょう。息の流れとしては一息で読みます。もちろんブレスもしないでください。その中で気持ちの切り替えをしていくのです。その流れの中で気持ちだけ変化させていくのです。何度も練習してみましょう。
次に、最初の文(驚き)と次の文(怒り)の間でブレスをして気持ちの変化をつけてみましょう。ブレスで間がある分、気持ちの変化がつけやすいと思います。ブレスをしながら次の文の気持ちを作り、高めて、読んでいくのです。何度か練習したらブレスなしで一息で読んでみましょう。さっきよりの気持ちの変化がつきやすいと思います。

○体と気持ち…「語り」の練習

気持ちを込めて読んでみましょう。
気持ちを込めて読むと早くなってしまいますね。表面的な気持ちではなく、深いところから気持ちを作っていきたい。もっとゆっくりになってくるはずです。ゆっくりかみしめるように読んでみましょう。落ち着いてストーリーの中を生きていくイメージで。
そうです。全然違いますね。話し方ではなく、イメージしている内容が聞こえてきます。それはあなたが具体的にイメージできているから聞こえてくるし、見えてくるのです。どれだけビジョンを描けるかが勝負です。表面的な、なんとなくこんな感じという表現はしてはいけません。
またこうして気持ちが入ってくると言葉に集中しすぎて、文が切れ切れになってきます。体が使えてません。もう一度息をしっかり流すことを意識しましょう。ビジョンを描きつつ、体としては息をしっかり吐く。この2つを同時にできるよう何度も練習していきましょう。より自然な語りになってくるはずです。

○体で感じる P88

「だ…誰だ。一体何の用だ?…ついて来ないでくれ」
このセリフを「恐れ」の気持ちで読んでみましょう。気持ちを作り読んでみます。
確かに淡々とした感じはなくなり、セリフに聞こえますが、リアルさが足りません。読み終えた後に体にも恐怖が残るぐらいでなくてはいけません。口先ではなく、体の奥深くから恐怖を感じ、しゃべるのです。実際にリアルに自分が体験しているかのごとくに感じていくのです。そのぐらいでなくてはリアルなセリフにはなりません。
恐怖を感じている時を想像してみてください。実際、声が出ますか?声にならないのではないでしょうか。息声になってしまったりしませんか?
しゃべることに集中しすぎないことです。体で感じ、体から声を出していけば、声のヴォリュームの大小に関わらず、リアルな声が出てきます。
実際に舞台で動きながら、このセリフを言うのであればリアルな声になり、気持ちも体についてくると思います。その状態をいつでも作れるようにしていきましょう。いつでも体が動き、体から声が出て、体でしゃべれるように、セリフの練習をしていくことです。

○感情を込める(1) P88

「だ…誰だ。一体何の用だ?…ついて来ないでくれ」
(暗闇、誰かがずっとあなたの後をついてくる。)
まず暗闇をイメージします。その暗い場所とはどんな場所なのか、そして夜なのか、真夜中なのか、明け方なのか。それとも室内なのか。室内ならばどんな場所なのか。次に暗闇に対しての「恐れ」を感じてみます。暗いことによってなぜ怖いのか、どのぐらい怖いのか。まずは自分自身の中だけで「恐れ」の気持ちを作り出してみます。そしてその状況の中で誰かが後をついてくるのです。恐怖心もますます増えてくるはずです。その誰かとは正体がわからないから怖いのか、正体がわかっていて怖いのか。また正体がわかっているのなら誰なのか、それとも人ではないのか。そこまでイメージし、気持ちを作った上で、この文章を読んでみます。
気持ちを込めると言っても、やみくもに気持ちを込めても仕方ありません。表面的なことばに左右されることなく、具体的にリアルな環境、設定、思いを作り出してこそ、感情が伝わってくるのです。
その他の「情感を込めるトレーニング」もここまでしっかり考えた上で練習していきましょう。

○感情を込める(2)

「恐れ」「怒り」「おどろき、悲しみ」「喜び」「共感」
この5つの気持ちで読んでみましょう。
「怒り」や「悲しみ」という、感情的にマイナスな気持ちというのは作りやすいのです。普段でもこういった感情的にマイナスな気持ちにはすぐなれるはずです。というかなってしまうのではないでしょうか。何か相手に働きかけられ、マイナスな気持ちになることは受け身であるため、テンションに関係なく、相手に影響され、そうなってしまうのです。だからセリフをしゃべる際も気持ちに入りやすいのではないでしょうか。
逆に「喜び」や「共感」はこちかから働きかけなければならないので「怒り」や「悲しみ」よりも難しいと思います。テンションを作り、気持ちを作り、働きかけていくためには、そのためのパワーも必要です。受け身の状態ではいけない。相手に影響を与えなければならないのです。積極的に気持ちを出していくことは、お芝居では重要です。普段から外向けの表現は意識したいです。外人さんなんか久しぶりに会っていても、すごく喜びを出すし、抱きあったりもします。それだけ外に向けて気持ちを出せているのです。そこは見習いたいですね。

○リアルな思い

表面的な言葉から、なんとなくこんな感じ、こんな風にというように、あいまいな気持ちでセルフをしゃべらないことです。
例えば「ありがとう」という言葉一つとってみてもそうです。言葉としては「ありがとう」なので感謝の気持ちであったりするのですが、そうとも言えない場合もあるのです。「ありがとう」と言っていて実は「憎しみ」を込めていたり、まったく違った気持ちだったりもします。文脈や役の気持ちを把握していく中で、そのリアルな気持ちをつかんでいくことです。
またその気持ちをつかむ過程で悩んだり、答えが見つからなかったり、混乱してしまったりすることもあるかと思いますが、そういった一見マイナスに思えることでも、その過程を経てつかんだ自分自身の気持ちというものはとても大切なものとなります。悩んだあげくにリアルな思いが見つからなくても、悩んだ分だけセリフに真実味がでてくるものです。だからこそ考えに考えてほしいのです。安易に話してほしくないのです。そしてこのリアルな思いこそ、お客さんは感じ、聞きたいのです。

○心を開放する

「私はあの人が大好きです」
気持ちを込めてしゃべってみましょう。
声は出ているし、音もはっきりしていますが、何も伝わってきません。どんな気持ちを込めたのですか?抽象的に考えてませんか?もっと具体的に考えてみてください。誰なのか?自分の思いはどのぐらいなのか?相手のどこが好きなのか?顔?性格?雰囲気?思いを発していくことです。
恥ずかしさもあるかと思いますがやってみましょう。実際に日常で生活していて、ことばを発している時は、必ず気持ちがあるはずです。気持ちがあるからことばになる。この原点を思い返してみてください。今も「今」の気持ちに忠実でいいんです。恥ずかしかったら恥ずかしく、緊張しているのなら緊張してでいいんです。さぁやってみましょう。そのままの気持ちを出してみましょう。
また「大好き」ということばが恥ずかしければ「私はあの人が大嫌いです」という文にして読んでみましょう。少しは言いやすくなりましたか?「大好き」よりは言いやすそうですが、やはりリアルな思いにはなってません。まずは心を開放させること、自由にすることです。そして気持ちに忠実に。何かに縛られている気がします。ここを解き放たないかぎり、自分の気持ちを相手に伝えることはなかなか難しいです。

○テンション

いつも「テンションをあげろ」と言います。気持ちの高ぶりがなくてはセリフはしゃべれません。最終的には自然なしゃべり、普段なしゃべりが理想ですが、そこに至る過程ではテンションをあげてしゃべれるようにしていきましょう。

ただ普段通りにしゃべってみてもセリフとして成り立たないのです。自然にしゃべれば自然なセリフになると思うのですが、訓練を重ねたうえで自然にしゃべるのと、ただ普通に自然にしゃべるのとでは、セリフの重みや深み、真実味が違ってくるのです。トレーニングを始めたばかりであれば、もっともっとテンションを上げ、集中してセリフをしゃべっていくことです。
テンションを上げるとは集中力を高めることです。集中して内容に入っていく、集中して役に入っていく。大きな気持ちを作り、大きく表現していく。そうすれば必ずテンションも上がり、表現も豊かになってきます。そうして大きな器を自分の中に作っていくのです。大きな器があれば、あらゆる表現に対応できます。この器を作るよう努力していきましょう。そのために集中力を高め、テンションを上げていくのです。

○テンション(2)

テンションを上げようとすると呼吸が上がってしまうことがあります。上げるという言葉のイメージから上の方にハイテンションな感じをイメージしてしまうのではないでしょうか。これでは息が浅くなってしまうのです。テンションが上がるどころか、薄く、嘘っぽい話し方になってしまいます。
こういうテンションの上げ方ではなく、深く、奥底に広がっていくイメージでテンションを作っていきます。深く深く広がっていく、そしてその奥底から気持ちを出していく。その気持ちを息に乗せて話していくのです。
テンションを上げるのではなく、テンションを、気持ちを深めていくというイメージです。
またテンションを上げるとは集中力を高めることです。集中して内容に入っていく。内容に対して深く深く集中していき、深く深く気持ちを作っていくのです。

○テンションとトーン

セリフをしゃべろうとするとテンションが上がってトーンが高くなります。もちろんテンションが高い状態でしゃべることはいいことですが、いつもトーンが上がってしまっては表現が一本調子になってしまいます。もともとの声は低いのですから、その自分の声を生かしていきたいですね。
セリフになるとセリフをしゃべるためのスイッチが必ず入ってしまいます。トレーニングを通して自分の声をしっかり聞き、普段の声とセリフの声を一致させていきましょう。また普段しゃべっている自分の声こそ、一番リアルに気持ちを表すことができるのです。その気持ちの乗った自分の声をセリフに生かしていきたいのです。
テンションが高い状態でトーンを低くして、セリフの練習をしてみましょう。最初は慣れないかもしれませんが、徐々に感覚がつかめてくると思います。自分の声とセリフ時の声のひびきが同じになってくるように何度も練習してみましょう。
実際にテンションが高い状態でトーンを低くセリフをしゃべることはあると思います。同じトーンで一本調子にならないように、気持ちの内容によって幅広いトーンでしゃべれるようにしていきましょう。

○大きな声(1)

ある劇団では新人に対して「大きな声を出せ」としか指導しないところがあると聞きました。だから新人はひたすら叫び続ける。新人公演ではお客さんから、そんなセリフまわしに苦情も来るという。劇団の方針だから仕方ないといえばそれまでですが、そこには何か意味があるように思えます。
大きな声を出して喉を痛めてしまっては、元も子もありませんが、ある程度言っている意味はわかります。つまり大きな声を出すことを目的にしているのではないということ。
最近レッスンの中でも大きな声を出せない生徒もいます。出せないというより出したことがない様子。だから大きな声を出してみると叫んでいるように思えて違和感があるらしい。セリフをしゃべるのにこんなにも頑張らなければならないのかと。
スポーツの経験がある生徒はこのあたりの感覚は優れています。常に体から大きな声を出して動きまわっていた経験があるからです。それも勝負というテンションの高い、緊張した中で声を出していたのだから、体に染み付いているし、その感覚が当たり前になっている。しかし経験のない生徒はその感覚がわからない。

○大きな声(2)

大きな声を出すためには、ただボリュームを上げればいいということではなく、それにともなったテンションも上げなければならない。それだけの気持ちでもって声を出していかなければならない。
先ほど紹介した劇団でも、そういったテンション作りのために、そのようにさせているのだと思います。役者として舞台に立つために最低限身につけなければならない気持ち、テンションというものを。
もちろん理論的に頭でわかっていても、体に染み付いていないことには実践で使えません。セリフも覚えなければならない、動きもついてくる、周りの役者の動きも把握しなければならない。舞台上ではあらゆることを一斉に感じ、演技していく。そんな中で役者として舞台に立つためのテンション作りのためには、大きな声を出すということも大切なことになってきます。最終的には強弱のある声でしゃべっていきたいのですが、そういった意味では、大きな声を出すことの重要性もわかるのではないでしょうか。大きな声が出るから、たくさんのお客さんに負けない大きな気持ちが作られていきます。
大きな声を出している時の自分自身のテンションを大切にしていってください。

○息から言葉 P72<5音>

(1)ひとつずつ読んでみてください。「息づかい」…この言葉をひとつのかたまりとして「息づかい 目を覚ます もう一度 あの時の…」と丁寧に読んでいってください。声を出す前に息をたっぷり吸ってください。

(2)次に言葉と言葉の間に、息吐きを入れて読んでいきます。「息」→「言葉」→「息」→「言葉」の順で。常にその息の流れで読んでいることを意識します。同じ体の使い方をして、繰り返していくうちに「言葉」と「息」の壁がなくなってゆくイメージで。

(3)次に2つの文を続けて読んでいきます。「息づかい目を覚ます」「もう一度あの時の」…と読んでいきます。このときはあまり意味を考えなくてもいいです。2つの文をつなげることに集中してください。息でつなげていきます。ひとつの流れで言えていますか?

(4)次に(3)を(2)の要領で「息」→「ふたつの言葉」→「息」→「ふたつの言葉」と読んでいきましょう。息の流れから言葉になってゆく、言葉を発する前に息の流れがあるんだということを体で覚えていきます。

○一息でしゃべる P88

「いやっ、こっちへ来ないで。しっし…あっちへ行って!来ちゃだめだったら…しっし」
(恐れ…苦手な犬が近寄ってくる。)
この文章を読んでみましょう。今聞いていると点や丸で流れが切れてしまってますね。ブツブツ切れてしまっています。とても聞きづらいです。
まずはこのように「いやっこっちへ来ないでしっしあっちへ行って来ちゃだめだったらしっし」と、一息で読んでみましょう。できるだけコンパクトに早く読みます。一つのかたまりとして捉えていきます。
次に今のスピードをもっとゆっくりにして読んでみましょう。短く読んでいるときと同じ感覚で読んでいきます。ゆっくりにしてもひとつのかたまりです。
最初読んだときと全然違います。すごくリアルです。息の流れの中にことばが置かれていて、「恐れ」という気持ちの流れが良く見えます。この気持ちの流れをいつも大切にしていってください。点や丸で無意識に息の流れを切らないことです。もちろん息の流れが切れるところもあるかと思いますが、それでもテンションの流れはつながっているはずです。息、気持ち、テンションの流れをいつも意識してください。実際にこの方がリアルで深い声で話せています。

○息のトレーニング

まずは全身リラックスして仰向けに寝ます。軽く体を左右に揺らしてみましょう。リラックスしていないと体は揺れません。深くゆったりとした呼吸で体を揺らしていきます。そして徐々にリラックスしていきます。そのまましばらくゆったりと呼吸を続けてください。
その状態での呼吸を少しづつ大きくしていきます。少しづつ少しづつ吸う息、吐く息の量を増やしていきます。
一度たっぷり息を取り込んだら30秒息を吐き続けてみましょう。細く長く息を吐いていきましょう。吐く息の音も聞こえているのかわからないぐらい小さな音で細く細く吐いていきます。体に力が入っていないことを確認しつつ、リラックスして吐き続けていきます。この呼吸を数回繰り返しましょう。息を吸う際はたっぷりゆっくり吸っていきます。
次に20秒で息を吐き続けます。30秒の時よりも少し息の量は強めで吐いていきます。この呼吸も数回繰り返します。

○息のトレーニング(2)

次に10秒で息を吐ききっていきましょう。息の量も強く吐いていきます。10秒で吐ききれるくらいの強い息を吐いていきます。この呼吸も数回繰り返しましょう。上半身、特に胸に力が入らないようにリラックスした状態で強く息を吐いていきましょう。このトレーニングの前に30秒や20秒で息を吐くトレーニングをしているのは、この10秒で強く息を吐くときに、できるだけリラックスした状態で息を吐きたいためにやっているのです。お腹の深いところから息が流れているというイメージで強く吐いていきます。
基本的にこの呼吸が歌ったり、しゃべったりする時の基本の呼吸となります。強く息が吐ける体を作っていけば、繊細な弱い息は吐けるし、いろいろな息の流れを作れ、応用がきくのです。
また息を吐きつつ、セリフをしゃべっていたり、歌のワンフレーズを歌っているつもりで強く息を吐いてみましょう。こういうイメージのもとで息吐きトレーニングをすることで、実際にしゃべるときに息の流れが体からつかめるようになっていきます。息の流れの上にことばを置いていくイメージです。

○息のトレーニング(3)

10秒で吐くトレーニングに慣れてきたら、息、セリフ、息、セリフというように交互にしゃべる練習もしていきましょう。例えば「夢に向かって進み続ける」という文を息を挟んで何度もしゃべってみるのです。一つの文を一つの息の流れで読んでいるんだという意識が持てるようになるまで何度も読み込んでいきましょう。
次に5秒で息を吐ききるトレーニングをしていきましょう。かなり強い息を吐くことになると思います。息を強く吐くことで声を出すための筋肉が鍛えられます。息の筋トレだと思ってやっていきましょう。強く息を吐き切り、すばやく息を取り込んでいきます。躊躇することなく思い切り息を吐ききりましょう。吐ききった分だけ息もたっぷり吸えるようになってきます。
この際、気分が悪くなることもあると思いますが、その際は休憩して気分が良くなった状態から、またトレーニングしていきましょう。こういうハードな息吐きトレーニングは慣れていないうちはそうなってしまうこともあるかと思いますが、慣れてくれば大丈夫になってきます。徐々に徐々に体に覚えさせていきましょう。

○息のトレーニング(4)

次に1秒で吐いて1秒で吸ってというトレーニングをやってみましょう。かなりハードなトレーニングですが、上半身の力をできるだけ抜くことを意識してやっていきます。この際、吐くことと吸うこと両方を意識するのではなく、吐くことに集中していきます。しっかり吐ければ自然に息はお腹に入ってくるはずです。
最初は吸うこと吐くこと両方に力が入ってしまうと思いますが、徐々に慣れてきてリラックスしながらできるようになってくると思います。慣れるまでは辛いかもしれませんが、それがトレーニングなんです。ある程度辛いことをしなければ体に入ってこないのです。頑張ってやっていきましょう。
次に1秒で吸って1秒で声を出していきましょう。「アー」「マー」「ラー」もしくは自分の出しやすい声で出していきます。一気に吸って、勢いよく腹の底から声を出していきましょう。体の中から声のかたまりがドーンと出てくるイメージです。
まずはこのひと声を鍛えることからすべてが始まります。体からしっかりとした声を出していきましょう。

○呼吸〜リラックス(1)

仰向けに寝てみましょう。全身リラックスさせて、自分の呼吸に集中します。そしてそのまま呼吸を繰り返してください。吐く息、吸う息、すべてに集中していきます。
そのままの呼吸で、いろいろなイメージを使い呼吸をしていきましょう。
まずは足の裏から息が体に入ってきて、頭のてっぺんから出ていくイメージで呼吸を繰り返してみましょう。足の裏から入ってきた息は、体を通って頭に抜けていきます。体を下から上に向かって息が通り抜けていくイメージです。この流れを感じてください。実際そのような息の流れはしていないのですが、イメージすることでそのように感じられてきます。体は常にリラックスさせて、水に浮かんでいる、または宙に浮いている、また自分の体が透明になっているイメージで繰り返します。体を貫く息を感じられると、自然と深い呼吸になっていると思います。
普段ここまで意識して呼吸をしていないと思います。無意識に呼吸をしている。そして無意識に浅い呼吸になってしまっています。
しゃべったり、歌ったりするためには強く息を吐ける体が必要になりますが、まずはその前に呼吸している自分というものを感じてほしいのです。意識的に呼吸を感じてほしいのです。

○呼吸〜リラックス(2)

リラックスした状態で呼吸を繰り返していくうちに、今まで気づかなかった感覚が生まれてくるはずです。呼吸も深くなり、気持ちも落ち着いてきます。ここからすべてが始まります。しゃべりも、歌も、生きていくということも。
またトレーニングをする際も、まずこの感覚までリラックスしてから、徐々に強く吐いたりという肉体トレーニングに入っていってください。
このリラックスして「体を下から上に息が貫く呼吸のイメージ」を別のイメージに変えてみましょう。
口から入った息がお腹の深いところまで入り、お腹が息でいっぱいになったら、その深い場所からまた息を吐いていきます。一方的に息が入ったり、出たりしているイメージではなく、ぐるぐると循環している、なめらかに息が体を出たり入ったりしているイメージでこの呼吸を繰り返してください。体の余分な力が抜けてくるはずです。
息のトレーニングについてはこの後説明していきますが、このリラックスした呼吸を本番前の緊張した際に使うと、必ずリラックスできます。吐く息に集中、吸う息に集中していくと、実際に体の中にたくさんの酸素が送りこまれてきて、落ち着いてくるはずです。

○呼吸〜リラックス(3)

このリラックスした呼吸を音楽をかけながらやってみましょう。穏やかなクラシックや瞑想曲がいいです。
歌や芝居を始めたばかりの人よりも、何年も舞台を踏んでいる人にこそお勧めです。日々緊張した中で舞台に立っていると、体の繊細な部分を見つめる余裕がなくなってきます。その日の舞台をこなすことで精一杯、疲れもたまってきます。たまってくるというレベルではなく、体が固まってきてしまうのです。気持ちもいっぱいいっぱいで、少しでも動揺することがあると、すべてが崩れてしまう、そんな状態で舞台をこなすことになってしまいます。
だからこそ意識して体と心をリラックスさせるのです。長く仕事をするためにも意識的にそういう時間を作らなければいけません。これも仕事だと思って、呼吸とともにリラックスする時間を作ってください。
もちろん穏やかなクラシックや瞑想曲でなくても構いません。自分の好きな音楽を聴きながら、リラックスして呼吸をしてください。
いったんフラットな状態に体と心を戻してあげることで、また厳しい環境でやっていけるパワーが湧いてきます。

○腹式呼吸(1)

体、特に腹筋に力が入りすぎですね。胸にも力が入ってます。
まずは仰向けに寝てみてください。この姿勢でゆっくりゆっくり呼吸を繰り返してください。実際に寝ていることをイメージしてみましょう。どうですか?腹回りだけが動いていると思います。それに腹筋も硬くなってませんよね?これがある意味、自然な呼吸です。この呼吸を発展させて、セリフのため歌のための呼吸にしていきます。
このリラックスした状態から徐々に、吐く息、吸う息の量を増やしていきます。この時、力が入らないように胸に手をあてておきましょう。大きく呼吸を繰り返したら、またリラックスして寝ているイメージの呼吸にします。この2つを繰り返しましょう。
何度か繰り返したら、大きく呼吸して吸い込んだ時に、止めてみましょう。このお腹の張りを覚えてください。決して腹筋で大きくなっていないはずです。
次にこの状態に瞬時にしてみましょう。一気に吸ってみましょう。この際も胸に力が入らないことを確認しながらやってみましょう。お腹に息が入るというイメージがつかめると思います。そしてまた大きく吐き出します。そしてまた瞬時に大きく吸い込みます。「お腹で息を取り込む」というイメージでさらに繰り返しましょう。

○腹式呼吸(2)

(1)立った姿勢でやってみましょう。両手を両横腹に置きます。
まず息を吐き切ってください。すべて吐き切ります。
そして、しばらく息を止めてください。
辛くなってきたら息を吸ってください。この時、自然に息が体の中に入ってきませんでしたか。人間の本能として息を取り込む機能がついているのです。だから息を吐き切り、息を止めた後に、吸おうとすると自然に体の中に息が入ってくるのです。
10秒で息を吐き切り、30秒息を止め、その後息を吸います。これを繰り返してみましょう。お腹で呼吸をするという感覚がつかめると思います。

(2)…しばらく息を止めてください。ここまでは前のトレーニングと同じです。その後息を吸う時にお腹をゆるめてみてください。リラックスして力を抜く感じです。ゆるめると同時に息を軽く吸うと、思った以上に息が入ってくるはずです。ゆるめた場合でもお腹に息が入ってくる感覚がつかめると思います。

この2つのトレーニングでお腹を中心に呼吸をしていることをつかんでいきましょう。お腹を中心にしゃべり、歌っていきたいのです。

○自然に話す P87
「日常的なことばを意識的にこなすトレーニング」

日常的なことばを自然に話すことって意外と難しいものです。普段のまま話しても自然にならないし、意識しすぎると逆にぎこちなくなってしまいます。トレーニングを積み上げて積み上げていって、その上で自然なしゃべりにしていきたいものです。次の文章を読んでみましょう。
「やあ、君、藤井君じゃないか!いや、びっくりしたな。ちょっと、どこかで見たような、とは思ったんだけど。まさか藤井君とは思わなかった」
まずは状況、場面設定、そして藤井君との関係、時間的にどのくらいぶりに会っているのか、そのあたりを具体的に考えていきます。もちろん気持ち作りをすることはいうまでもありません。そして一番大切なことは、実際に今会っている藤井君との距離感、しっかり藤井君に向けてしゃべっているのかを大事にしてください。目の前にいる彼に向かってしゃべること。相手に向かってしゃべることが大切なのです。相手の存在を意識していくことで、自然なことばになってきます。

○自然に話す(2)

舞台上でお芝居をする時も、必ず相手に向けてセリフを話していきます。そして相手に伝わった気持ちが、また相手から発することばで、こちらに返ってくるのです。こうしてことばの、気持ちのキャッチボールができている時は、お客さんにとっても、本当に自然なやり取りとして聞こえてくるはずです。自然に話すためには、自然な気持ち、自然なことばのやり取り、自然な相手との距離感が大切です。相手との信頼関係があるからこそ、そこにリアルな、自然なセリフが生まれてくるのです。たとえ一人で練習するときでも、このイメージをもって練習していくことです。相手に向かって自分の気持ちを伝えようとしていくことです。
声優を目指す方は、この距離感が大切になってきます。画面に合わせて自分の声をあてていくわけですから、画面上での自分の役と、相手の役との距離感を感じながら、しゃべっていかなくてはなりません。この距離感が感じられなければ、セリフも不自然なものになってしまったり、セリフの意味が変わってくることさえあるのです。だれに向かってしゃべっているのか、どのぐらいの距離にお互いがいるのかを、常に意識してセリフの練習をしていきましょう。


■トレーナーズ アドバイス〔2007〕 
レッスンの中での概要です。これらのメニュが必しも誰にでもあてはまるものとは限りません。参考にとどめておくようにしてください。


<Lesson>

○レッスンの中では、いかに集中して新しい発見ができるか。その場を作れるか。その場を支配できるか。このポイントに集中していくこと。時間ではない。時間をかけるのなら、自分で時間を作って、自分で練習していけばいい。だからレッスンではレッスンでしか学べないことを学んでいってほしい。本番のテンションで臨んでほしい。その場で吸収できるものを、すべて吸収し、すべて感じていこうという意識があれば、最初の10分で充分。その10分の中で、いかに多くを感じることができたか、いかに集中することができたか、いかに絶対的な時間を送ることができたか、その中身を各自充実させていってほしい。時間ではない。中身。(♭∞)

○自分で発声や曲のトレーニングを行う時、皆様はどういう「意識」を持って練習に取り組んでいますか?
ただなんとなく…、声を出していればその内何とかなるだろう…、
といった無意識的な練習ではあまり功を奏しません。
どんな小さなことでも、
・この「1フレーズ」にこだわってレガートに歌いたい。
・(自分にとって)苦手な音を外さずに出すには?
・あの曲の弱点を必ず克服したい。
どうしたらレッスン同様、自分でも声がコントロールして出せるか?など、変えたい部分・向上させたい部分を明確に「意識」して練習に取り組んでみて下さい。意識的な練習と無意識な練習では、声の変化のスピードは明らかに違ってきます。(♯Ψ)

○レッスンで生じる誤解
レッスンを行っていくなかで、私が一番問題だと思うことは、1,2度のレッスンで「先生の言っている発声が分かりました」と言う人です。トレーナーは30分という限られた時間の中で生徒の声をよくしようと皆思っています。しかし現実問題としてそれだけではすべてを伝えられないのも事実ですし、物事には順番があって、この生徒さんにはまずこのことを教え、これが身についたら次に進もうとプランもあります。それなのに一つのことで全てができたと勘違いされては困ります。その生徒本人も後々困ると思います。
声をよくするということは、右利きを左利きにするような訓練を延々とくりかえして、意識しなくても訓練された声がしぜんに出るようにならなければなりません。1度や2度のレッスンでは不可能です。
音大生などは最低4年間は勉強します。何か問題が無い限りは、4年間一人の先生で勉強していくのです。私自身もう11年間勉強していますが、未だに新しい発見や自分の未熟さを痛感することが多々あります。トレーナーとして皆さんのレッスンをさせていただくことになっても、週1回のレッスンはかかしません。
プロの歌手になってもレッスンに通っている歌手は大勢います。この毎回のレッスンを大事にして下さい。一人よがりの考えに走らず、トレーナーと共によい声を作っていきましょう。(♭Σ)

○沢山の生徒さんを見ていると、1回1回のレッスンを生かして、がらりと上手くなる人は稀である。残念ながら、多くの人は1週間経つと前回マスターしたことを保てないまま来る。それはなぜか?以下のどれかだろう。
・単純に復習してないから
・復習してもトレーナーと勉強した状態に戻れなかったから
・復習する過程で自分で思いついた方向に進めたか、他のトレーナーと掛け持ちしていて新しいことを始めたから
教える側には、進むべき方向は見えている。だから、結果がすぐ出なくても、もっと信じてほしいと思う。でなければ、トレーナー・生徒の両方にとって、レッスンの意味がなくなってしまう。(♯Θ)

○上達の秘訣
上達への最大の近道は『違いを知る』ことだと思います。もちろん努力することは言うまでもありませんが、ただ闇雲に練習をしたからといって上達するわけではありません。自分の出している声や音色、強いてはプロの声の出し方、など違いを知ろうとしてください。味覚音痴は料理下手というように、音楽をしているからには音を聞き分ける耳・感覚・感性にもっと敏感になりましょう。(♭Π)

○レッスンを受けるにあたり、日々の練習や、コンディションを整えることは、とても大事なことだ思います。それと同時に、先生のアドバイスを、イメージすることができることも、とても大事なことです。歌は、体が楽器です。
体の中を開いて「ここの筋肉をこうして!」と、実際に見せたり、見て、レッスンすることができません。その分、ほとんどの先生は、かならず、イメージで、教えているはずです。
お腹の中に息をためて、とういこと一つにおいても、実際は息は肺に入って、肺から出るものだから、その表現はイメージなのです。
どれだけ、想像力があるか、そこに、習得の違いが出てくると思われます。その想像力は、例えば、本を読んだり、映画を見たり、いろいろな経験を積むことで、できることだと思います。
ここに通われている生徒さんは、本当に勉強熱心です。
声を出す練習だけでなく、一見、まったく別のことのように思われますが、そういった肥やしも必要なのではないでしょうか。(♯Ω)

○まず頭でしっかり理解すること。
各自、様々な思いを持ってここに来ていることと思います。カラオケが上手くなりたい人からプロになりたい人まで。
音楽も、予習・復習など、自分一人で確認する時間を作ると上達が早いので、「考える時間」を少し作りましょう。
なにも声を出して歌えというのではなく(しっかりできればもちろんそれも大事)、レッスンで何を言われたのか、楽譜を見ながら確認をしたり、次のレッスンで、新しい曲や課題をやるなら、歌詞の内容はもちろん、発声に特に気をつけなければいけないようなところ、伴奏を聞かなければいけないところ、音がとりにくそうなところ、など、自分で考えてみるのもいいと思います。
歌わないで、楽譜を見ながら確認をしていく作業はとても大事です。頭でしっかり理解ができていないと、歌えません。ただ繰り返し何度も歌うのでは意味がないので、予習・復習のような時間をとってみてください。(♯Б)

○練習の時に鏡を見て歌うようにしましょう。体に力が入っていないか?変な癖がついていないか?(手が不自然な動きをする等)表情が怖くないか?チェックしてみて下さい。よく歌えていても、辛そうに見えたり、とても情感たっぷりに歌っているのに無表情だったりすると、そこでマイナスになってしまうのでもったいないと思います。また癖は知らないうちについてしまうので、鏡を見ての練習は予防策にもなりますので、是非取り入れてみて下さい。(♯∬)

○声にエネルギーを

発声練習のときにクレッシェンド・デクレッシェンドを行っています。さらにコンコーネや曲集においてもクレッシェンド・デクレッシェンドは必ず出てきます。これらを歌うときに、大きな声を出そうという先入観からかのど声になっていませんか?または逆に、慎重に歌いすぎてしまい、単調なものになってはいませんか?
何かで感動を覚えるときには、必ずそのものにエネルギーが宿っているのです。CDよりはライブ、ドラマよりは舞台、と生身の人間が表現しているときの方がずっと多いのです。発声にしても短い曲にしても、出した音の一音一音に何かを感じ、伝えて欲しいのです。
こういった小さな積み重ねが、いざ実際に歌う時に必ず体に身に付いています。誰かのマネごとで、ここはピアノで歌う、ここはフォルテで歌う、など小手先の考えでやってもその歌声は何の味気もありません。体の中から生まれ出る声にしましょう。(♭Π)

○支え

今、シンコペーションの練習をしていますので、アクセントなどがついてきて、曲らしくなって歌いやすくなっていると思います。できないところを、中心に練習していると、他の部分がおろそかになってしまいがちですが、何度か歌っているうちにまんべんなく歌えるようになると思います。
音域のある曲が多くなってきました。基本的に、音の高低にかかわらず、支えをもって歌うことが大事ですが、音が跳躍するときは、前もって準備するようにしてください。また、高い音から低い音を歌うときは、響きが落ちないように気をつけること、逆に、低い音から、高い音に移るときは、支えを忘れないようにすると、音程が安定します。
タイでつながった音を歌うのは、とても、歌いづらいと思います。まずは、リズム読みをしてから、音をつけるようにしてください。
「人前で歌うことは、レッスン10回分の価値がある」という人もいるくらい、人前で歌うことは、勉強になります。たくさん、機会をもうけて、経験を積んでください。(♯Ω)

○言葉のレッスン(1)

言葉のレッスンを行ってみて気付いた点を書きたいと思います。
日常会話をもっとスムーズに話したい、自分の声にコンプレックスがあるといった方々が来られます。
皆さんの声を毎回聞かせて頂くと共通点が多く見られます。まず第一に顔の表情が硬いことが挙げられます。普段は何も感じないのですが、教科書の例文を読むと顔の表情が強張りだし、かつぜつも悪くなってしまいます。第二に歯が開かないことです。歯と歯に隙間が無いのです。歯を食いしばった感じの方もいらっしゃいます。アやオは指摘すると直っていくのですが、イ、エは中々難しいようです。小学校の音楽室などにある口の形をした「あいうえお表」がありますが、あの影響もあると思います。あの表ではイ、エは口を横に開くように指示してありますが、結果として歯が開かないためにイともエとも聞こえてしまう発音がよく見られます。
そこでまず言葉でレッスンに来られる方は、自然な無駄な力の入っていない表情で、口を縦にはっきり話すことを心がけてみたらいかがでしょうか。日常会話や普段使われている声をよくすると言うのは歌をよくすることよりはるかに大変です。あせらず気長にやることが大事です。(♭Σ)

○言葉のレッスン(2)
 
言葉のレッスンをしていくなかで皆さん共通して言えることに、声帯がちゃんと鳴っていない、声がこもって聞こえるの二点があります。
人間は声帯があるから言葉を発することができますが、これがしっかり鳴っていないと、ふらついた声に聞こえたり、言葉が不明瞭になったりします。この声帯が鳴っていない原因として母音が鳴っていないことがあげられます。しっかり喋ろうとすると、子音を立てられることが多くありますが、それは間違いです。子音が明確なことはよいことですが、言葉の最も大事なことは母音がしっかり鳴って母音の粒がそろうことです。母音が鳴らずに子音ばかりたてても根本的な解決にはならないのです。子音を必要以上にたてるのは舞台俳優ならありえますが、日常会話ではそれほど気にしなくても大丈夫でしょう。
次に声がこもって聞こえる点ですが、これは理由が多くあると思いますが、大きな理由として自分に聞こえるように喋っている点があると思います。自分の唇よりも前で言葉を発しようとしてみてください。どの方も早口言葉ははっきりしゃべるのに、台詞になるとこもってしまいます。これは早口言葉はしぜんと唇より前の口先だけでしゃべっているからです。もう一つの原因には舌根がのどの奥に引っ込んでいることがあげられます。舌根が引っ込むと、母音も奥に隠れて不明瞭な暗い声になります。舌の力も抜いて楽に声を出してください。(♭Σ)

○【発声】

・鼻ハミング 
口ずさむ様に行うのではなく、鼻腔(びくう)を響かせるように行う。鼻筋を縱に&上に、意識して声を通していく。
(※鼻から上に、ピアノの鍵盤がのびていて、そこを声が辿っていくイメージ)
口は閉じていてもよいし、軽く開いていてもよい。但し軽く開いた場合、響きが口に落ちないように!
♪ドレドレド〜/♪ドレミレド〜/♪ドミソミド〜/
♪ドレミファソファミレド〜 etc
比較的、音域の幅があまり無いものを中心に行うとよいでしょう。
発声前のウォーミングアップにもなります。余分なエネルギーを使わず、息漏れも少ないので”焦点の合った”声が出し易くなり、声帯も動かし易いと思います。(♯Ψ)

<声、せりふ、歌のアドバイス>

○声の職業

声を使った職業はたくさんあります。代表的なものではアナウンサー、芸人、舞台人、声優、歌手もそうでしょう。また一般的なものとしては、接客業、オペレーター、教育者などが挙げられると思います。さまざまな業種がありますが、日本独特なもといえば落語があります。しかし、この前テレビ放映していた落語を見ていましたがとてもひどかったです。私は落語の専門家ではないので、作品の内容については分かりません。ひどかったというのは、声の質です。一言でいえば、聞き取りにくい声なのです。もともと悪声なのか、稽古のし過ぎで声を潰したのか分かりませんが、理由はともあれ、声を使って人に言葉を伝える人が、あんな声でよいのでしょうか?身振り手振りが激しくお客さんは笑っていましたが、やはり、分かりやすい、聞きやすい、という声が一番だと思います。ラジオではどんな反応になるのかな、と思った番組でした。声は一生ものです。のどを壊さないよう正しいトレーニングをして下さい。(♭Π)

○プロを目指す方々へ(3)
 
プロの歌手として活動していくためにはライブ、リサイタルといった人前で歌うことは絶対に避けられない道です。ステージでの立ち方、歩き方、手振りなどの一つ一つがお客様の目に触れる場です。いくら歌が上手くてもステージマナーが悪ければ、お客様は満足しないでしょう。我々、舞台人はお客様に育ててもらうことも多くあるのです。その点からいけばプロを目指す方々は、人前で歌う機会を多く作ることはとても大事なことです。人前で演奏し、お客様の反応や色々な意見を素直に聞いて成長していって欲しいとおもいます。
人の意見を聞くときに大事なことですが、「いいよ」とか「素晴らしい」「カッコいい」などと言ってくれる意見は半分位で聞くことです。自分に否定的な意見や注意をしてくれる意見こそ、積極的に耳を傾けた方がいいでしょう。
人が自分を褒めてくれる時には、本当にいいときとお世辞のとき、そして他に何も言うことがないときがあります。とりあぜず「よかった」といっておくことが無難だからです。褒めてくれる人よりも自分に注意してくれる人のほうが、自分のことを考えてくれているのではないでしょうか?プロとしてステージに立つ以上、色々な人の目にさらされることは仕方がないことです。
お客様はお金を払って来てくれているのですから、自分にできうる最高のパフォーマンスをしなくてはいけません。結果、どのような意見を頂いてもグッと我慢して素直に耳を傾けてみてください。(♭Σ)

○プロを目指す方々へ(4)
 
皆さんは人前で舞台に立つとき何を考えて立っていますか?発声のことですか?歌詞のことですか?ステージマナーのことですか?もし仮にそのような考えがお金を払って見にきたお客様に悟られたら、プロとして失格だと思います。
実際舞台に一度立ってしまえば、後はそれまでに自分が勉強してきた積み重ね、経験、だけがものを言う世界になります。舞台に立った人間はそこにたどり着くまでのスキルが何よりも大事なのです。直前であわてても後のまつりです。
舞台に立ってしまえば自分が冷静でいれる範囲でその場を楽しむことです。歌い手が緊張しててはお客様も緊張しますし、何よりもお客様はそんなステージを見に来たわけでは無いからです。
しかし、この「冷静で入れる範囲」というのはとても大事な部分で、自分が楽しみすぎて独りよがりなパフォーマンスになっては絶対に駄目です。自分が楽しければいい、歌えればいいでは目立ちたがり屋で歌いたいだけの素人と同じです。それはカラオケボックスでやることで、お金を払って見に来る人にやることではありません。
周りが見えなくなっては事故にもつながります。舞台は歌い手一人で作っているわけではなく、バンド、照明、衣装、メイク、大道具、小道具、音響、舞台監督、受付、警備などの多くの人が関っています。その方々にまで迷惑がかかることにもなるのです。
そのような事態を防ぐためにも、「冷静で入れる範囲」を自分で見定めて下さい。そしてそれを見定める余裕を作るためにも、舞台人としてのスキルを高めていってください。(♭Σ)

○プロを目指す方々へ(5)
 
ここまでプロとしての内面的なことについて書いてきました。スキルをもっと磨きなさい書きましたが、それに関連してここでは「経験」ということについて書きたいと思います。私は経験に勝る武器は無いとおもっています。私自身、まだ若輩者で今現在も勉強している身ですが、諸先輩がたの演技、歌声、知識などにはいつも敬服してしまいます。 
デビューする前にどれだけのスキル、経験を積み重ねていくかで、今後の皆さんの道が開けていくかと思っています。
人間の声には自分が聴いている声と、人が聞いている声の二種類がありますが、自分がよいと思った声は大抵、人には下手に聞こえていたりします。この二つは全く違う声なのです。これを区別するには人に聞いてもらう、録音して自分で聞く以外無いのです。これを怠って自分よがりにだしていると、ただの歌自慢で終わってしまいます。トレーナーに自分の声を判断して、よい方向に導いてもらい、これをまず基本としてください。その上でステージに立つ機会を増やして下さい。人前でどんどん歌い、ステージマナー、パフォーマンスを勉強してください。結果として人には好き嫌いがありますから、否定的なことを言われこともあるでしょう。しかしそれも経験です。アマチュアでいれる時に思いっきりミスしてください。声を潰したとしてもそれも経験です。以前よりのどを大切にし、無理のない声の出し方を自分から求めていくとおもいます。そして歌えることの素晴らしさを再確認できるでしょう。声を潰したことの無い人にのどを大事にしろと言われても、全く説得力ありません。私も半年近く潰して歌えない時期があり悩みましたが、その経験が今、役に立っています。無理することはよくありませんが、経験できる時にできることはやったほうがよいとおもいます。(♭Σ)

○プロを目指す方々へ(6)

このブレスヴォイストレーニング研究所では、主に声楽家がトレーナーをしています。それは世界中でこの声楽のトレーニングが国や人種を問わず一定の成果を挙げているからです。私自身この考えには賛成していて、個人的な意見ですが、声楽家ほど日常から声のことばかり考えている人たちはいないと思っています。現在、日本でもっとも大きくメジャーなミュージカルの団体「劇団四季」の主役級のキャストは、ほとんどが音楽大学の出身です。オペラや歌曲などを主として勉強してきた人がミュージカルに行くのは本人の苦労があるのでしょうが、ベースとして声楽の訓練の力はかなり大きいと思っています。現にオペラ団体に所属しながらもミュージカルに出演している人は多くいます。
しかし皆さんは声楽家になろうとこの研究所に来ているわけでは無いと思います。(声楽家になろうという人は尚さら大丈夫です)声楽とポップスの大きな違いにマイクを使うことが挙げられます。マイクは声を大きくするための機械であり、ドラムやギター、ベースの音にも負けないためにマイクはあります。このマイクを使ってプロになるのに、やたらと大きな声を出そうとする人を多く見ます。マイクを使っても小さければスピーカーの音量を上げればいいのです。声を出そうとするあまり、レッスンでも大声を張り上げるのでピアノの音を聞けない、音程が定まらない現象が多々あります。音程が定まらないということは、お客様から言えば「音痴」なのです。自分が冷静でいれる声を出してください。プロのアーティストのライブはマイク、スピーカーを使用しているから大きく聞こえるのです。トレーナーは声帯に負担がこずに声域を広げたり、聞いてる人に心地よい声に導いてくれます。そこをベースとして自分が目指す方向に向かってください。(♭Σ)

○呼吸法から発声へ

皆さん呼吸法はほぼできているのですが、それが発声で活かされていないのでが残念です。呼吸法で意識するのは、腹式呼吸、横隔膜、丹田、および背中のふくらみ(上級者)が主なところです。しかし、歌に入るとこれらが伴っていないことが多いです。
歌のときに呼吸法を意識できないのであれば、無意識のうちにできているようにしておくのです。呼吸法がしっかりできていれば、必ず腹式で声は出ます。のど声など浅い声になってしまうのは、呼吸法と違う息の流れで歌っていると思ってください。
特に顕著に現れるのが出だしです。富士急ハイランドのアトラクション『ドドンパ』のように急発進で声を出す方がいますが、呼吸法ではそういう息の流れで行っているでしょうか?すべては呼吸法が原点です。息の流れをもっと感じましょう。(♭Π)

○テンションと集中力

レッスンの時のテンション、集中力も上げておいて本番に臨むと、人前に出てレッスンするよりも10倍の効果が得られるといわれていることが(底上げされて)100倍になる。プロも通っているが、上手い人ほど謙虚にアドバイスを聞く傾向がある。そういう姿勢でいること自体で、上手くなると思わせるものをもっている。若い人のパワーがなくなっている。40,50代の人々(社会人や趣味でやっている)の方がうっとうしいくらいやる気がある。レッスンも毎回きちんとくるし、確実に上手くなっている。
若い人は声出すので精一杯な感じ、高年層の人は声出してきている世代なので、声が出る上での歌唱力の指導ができる。音楽やっていると、声を出す、音を出すことばかりやって、文字として記録することがおろそかになる。しかし、書くことで(トレーナーでも)次のレッスンの課題などが見つかったり、積み重なっていくので、大事だと思う。(♭∞)


<音楽基礎Wのテキスト>

○音程の跳躍

発声練習の際、3度音程(ド→ミ)や5度音程(ド→ソ)の跳躍練習をしていますが、これは単に発声練習の一部と考えるのではなく、曲のときにも応用するものと捉えて欲しいです。中音域では楽に声が出てしまい自己流に歌ってしまいがちですが、こういった音の跳躍があったときに、プロか素人か分かってしまいます。
中音域では楽に歌うのではなく、声帯を充分に振動させ、たっぷり声を響かせるのです。その時に重要なのは音の響きなのです。音が上がったからそれと一緒に声のラインも上がってしまったら、浅い声で子供っぽい素人の声になってしまいます。やはり、深い声を持って欲しいです。特に注意が必要なのが、2度音程や3度音程の何でもない音の跳躍です。簡単に歌えてしまうため気が緩んでしまい、声が浮いてしまいます。楽譜があるときには、音の上がり下がりに注意を払ってみてみましょう。(♭Π)

○4分の3拍子と8分の6拍子の歌い分け。

ヴォーカル基礎入門編にでてくる課題です。
ここで、大事なのは3拍子系と2拍子系を歌い分けるということ。
強拍になる拍がそれぞれ違うので、まずそれを意識しましょう。
4分の3拍子なら、1拍目をしっかり歌います。
8分の6拍子なら、1・4拍目をしっかり歌います。
(注:拍子記号の分母にきている数字が、基準となっている音符の種類をあらわしています。その音符の数を数えて何拍目かを考えます。
=4の拍子は、4分音符で数えて1拍目が強拍。
 8分の6拍子は、8分音符で数えて、1・4拍目が強拍。)

手拍子をしながら、最初はゆっくりやってみましょう。
できない小節は、そこばかりを繰り返し何度もやること。
同じメロディーでの歌い分けは難しいのです。
8分の6拍子の課題から先に歌うほうが易しいかもしれません。

何拍目を叩いているのかわからなくなるような場合は、
左手で1・4拍目を叩き、他は右手で叩くというように分けてやりましょう。
スムーズにできるようになったら、拍子は頭の中だけで考えて
歌を聞いただけでちゃんとその拍子に聞こえるようにやっていきましょう。(♯Б)

○横の流れ・滑らかに歌う

「滑らかに歌って」「縦割りになってるよ」と、注意を受けた経験はないでしょうか。
「縦割りになっている」というのは、1音符歌う度に、勢いをつけていたり、全部の音符にアクセントをつけて、必要以上に強く歌っていたりする状態です。言葉に置き換えると、怒鳴っている感じに近いでしょうか。
「ドー!!レー!!ミーッ!!」と歌っていては、聞いているほうも疲れてしまいます。

音符が2つあれば、それはフレーズになります。音が並んだことにより、その間に関係が生まれます。その関連性を感じて歌っていくと、心地よく聞こえます。言葉と同じです。「は」と「な」が並べば、「はな」という言葉になります。そこから何を思って「はな」と言うかによって、聞こえ方が変わります。「黄色い花」「春の花」「ユリの花」もしかしたら、「鼻」のことかもしれません。
音符も同じです。これが歌にでるようになると、「滑らかに歌って」とは言われなくなるはずです。
声の音量から考えると、全く同じ音量で歌うと、ゴツゴツした感じは薄れます。しかし、実際そこだけに注目して歌ってみると、これではむしろベターとしてしまい、心地よくは聞こえません。そこから先は、歌う各自が考えていくものです。人間だからできることがここから先です。これは機械音にはできないことなのです。(♯Б)

○強拍・弱拍について

課題の中で意識をして歌うような練習をたくさんします。
強拍部だけ、わざと強く歌ったりしてきたと思います。しかし実際、歌を歌う時、このことが目に見えて使われていると実感することはあまりありません。では、これはなんなのかというと、音楽の基礎の知識であり、体の中に当たり前のように入っていなければいけない要素の一つです。
ドレミを間違わずに言える、拍子がわかっている…というものと同じようなものです。そして音楽をする時、誰でも自然とこれをやっているものなのです。やっている人の音楽は、音楽として聞こえてきます。それを体にいれるために大げさに取り出して練習しています。

実際の歌の曲では、言葉に対して、これらを前提にしてフレーズがつき、曲になっていきます。例えば、ブレスの位置を考える時、言葉のこと・フレーズのことを考えて決めますが、それでもまだ決めかねるような時には使うことができます。(♯Б)

○Wの課題

少し長いものがいくつかあります。課題が長くなると、集中することが難しく、間違えが多くなってしまう人がたくさんいます。1回目に歌う時は、初めてですからいろいろ間違ってしまっても仕方がないかもしれません。しかし、2回目からは、少なくとも、1回目より間違うところは減っていかなければいけません。そして、どうしてもできないところを何度か練習して完璧に歌えるようになります。大抵、全部で3つ間違えれば本当に理解できずに間違ったところはその中の1つくらいです。後の、2つはうっかりミスの場合がほとんどです。そうしたうっかりミスを少しでもなくせるように、歌う前にできることは完璧にしておきましょう。

ドレミを間違えないように、何度も口ずさんでおく(音程はつけなくていい)。拍子の確認。休符の確認。何拍目が休みなのか、次はどうなっているのか…すぐ歌いだすのか、4分音符で始まるのかなど。どのくらいのテンポで歌うのか。このくらいを確認しておくだけで、今までよりもスムーズに歌えるはずです。同じところを2回間違えたら、間違ったところにしるしをつけたりして、目からしっかり注意が確認できるようにしましょう。

段の変わり目は、非常に間違えやすいところです。歌っているとわかると思いますが、目が右から段を変えた左にいくまでに時間がかかります。その時間差を埋めるために、歌っているときに、楽譜の少し先をみているというクセがつくようにしましょう。
歌うまでにできること、歌っているときにできること、予想がたてられることにより、気持ちが安心して、歌いやすくなるはずです。(♯Б)


<トレーナーのメッセージ>

○トレーニングしていて感じたことは、生徒の皆さんが自主的に息吐きの練習や、コンコーネの予習、程度の差があっても、一人ひとりが真剣に上達しようと意欲的であることです。
先日東京マラソン大会が初めて開催され、雨の中を3万人もの市民ランナーが東京の名所を一生懸命走っている姿をTVで見て、スタートの光景など思わず感動してしまいました。ランナー一人ひとりの力の差があったとしても努力してゴールまで走る意気込みというのは、ヴォイストレーニングの上達と通じるものがあると思いました。一人でトレーニングしていると、きついのは自分だけではないかと思ってしまうこともよくあります。しかし視野を広げて外に出てみると、自分以上に目標に向かって頑張っている光景を目の当たりにします。ですから、常に音楽に対するアンテナ(知識、好奇心)をたくさん立てて、貪欲に学んで欲しいと思います。気が付いたことはレポートに書き留めてどんどん質問してきて欲しいと思います。(♭Φ)

○先日の東京マラソンに触発されて、とりあえずウォーキングを始めてみました。いきなり走り出すには 体もついていけなさそうですし、気候もまだ寒かったり、花粉が飛んだり、とさまざまな障害があるので。歩いてみると歩くことで目にする光景や気づくもの 感じられるものがあることを知りました。徒歩以上のスピードでは気づかずに通り過ぎてしまうことが沢山あるのです。時々、夜健康のために歩いている人を見かけますが、せっかく歩くのだから陽の光を浴びて様々な景色をみて歩かなくてはもったいないと思うのです。そして、歩くことによって体温も一度ほど上がるのだとか。暖かくなるこれからの季節がますます楽しみです。(♯Λ)
                             

〔トレーナーの一言アドバイス〕

<発声>

○下半身を意識していくこと。歌っている時に、体が前後に動きすぎる。まっすぐ立って、重心を下に感じて歌えるように。つま先立ちで歌うことで、そのことが意識できる。

○息を吐ききること。胸に力が入ってしまうが、取り込むことを意識できるという意味では、今はいいかもしれない。リラックスして下半身で呼吸していきたい。

○心身ともにベストコンディションにすることで、声にもとてもいい影響が出ている。自分の中で自分の声を判断できるポイントを作っていくこと。頑張りすぎないこと。

○下半身を意識していくこと。重心を感じていくこと。口、あごの力を抜いていくこと。腰を痛めやすいとのこと。姿勢を正したり、腹式呼吸をやっていくことで、改善されていくのではと思う。

○安定していない。うまくできないことに焦点を当てすぎる。まず顔に出さない。失敗した、できないという表情をしない。なぜその表情をするのか?もっと集中していくこと。声を出すことよりも、その集中力のなさがネック。

○上半身で頑張りすぎる。しっかり息を吐き切ることで、上半身に力が入らずに、お腹に息が取り込めている。息が続くのかということを考えすぎないで、しっかり吐いていっていい。

○高音の力が抜けてきている。高音こそリラックスしていくこと。体を固めないこと。上半身で声を出していくのではなく、もっと下半身を意識していきたい。

○声を出そうとしすぎないこと。痛めているのどを使いすぎないこと。息を流して、つなげていくことに集中していくこと。このほうがバランスもよく、力も抜けているので、声の効率もいい。

○フレーズの頭をしっかり入ること。中途半端に入らない。自分の声が聞けていないので、毎回録音していくこと。そのテープを予習復習に使っていくこと。

○胸を少し張る。姿勢に注意。あごを前に出さない。あご、口の力を抜いていくこと。その上で息を遠くへ遠くへ流していくこと。ひびきが暗くなりすぎないように明るく歌っていくこと。

○縦のひびきを意識すると、のどの力も抜ける。今は口を一所懸命開けてもらっているが、いずれ体が覚えてくれば、奥を開ければいいようになってくる。そうすれば口も自由に使えるようになる。

<せりふ>

○自分の世界に集中して入ること。その集中力を鍛えていくこと。セリフももっと自然に。そのために自分のリアルな思いをはっきりつかんでいくこと。

○表面的なことばに左右されないで、もっと違う意味があるのではないと、深く考えていくこと。ひとつのことばから、たくさんイマジネーションを湧かしていくこと。深く考えていく習慣を身につけていくこと。

○少しづつ気持ちの入ったことばがしゃべれるようになってきている。ひとつひとつの文章、セリフを大切にしていくこと。無駄なセリフはない。大切に扱っていくこと。

○体的に落ちてしまわないように、定期的に発声レッスンを行うのもいいかもしれない。とにかく自分のやることを、目の前のことを集中してトライしていくこと。

○気持ちが外に出てこない。話し方で処理しようとしてしまう。発音や話し方にこだわりすぎずに、もっと自由に自然に話していっていい。こらからの課題は気持ち作り、表現にしていくこと。

○設定、気持ち作りが甘い。もっともっと深く考えて、その気持ちでもって練習していくこと。なんとなくではなく具体的な気持ち、あいまいではなく、しっかり気持ちを作ること。考えることをもっと大切にしていくこと。

○立ち稽古をする。動きをつけようとしすぎて、不自然。手の動きでセリフを説明しない。もう一度台本と向き合って、声だけで表現できる練習をして、そのレベルを上げていくこと。そのうえで意味のある動きをしていくこと。

○息を吐ききること。吸うことを意識しすぎるので、吐ききったうえで、自然に息を取り込んでいきたい。ことばのかたまりを遠くへ投げてゆく。自分の体から離していくこと。

○もっとなめらかにしゃべっていくこと。息の流れを大切にしていくこと。その流れに気持ちを乗せていく。流れが切れてしまっては、気持ちもつながってこない。

○気持ちが弱い。普段の自分を変えてゆくこと。大きく表現していくこと。

<日本語曲>

○声のボリュームに左右されずに、テンションが上げられるように。繊細に歌いながらも、テンション高く歌えるように。丁寧に繊細に表現していくよう心がけていくこと。

○まずは息の流れを感じて、なめらかに歌っていくこと。その上で、次に体でリズムを感じていく。徐々に高音も頑張らなくて出てきている。

○声を深くしようとして、暗くなってしまうので、内容に合った声で歌っていくこと。曲は明るく、前向きに。明るく歌うことでのどの力も抜けてくる。

○点でとらえないこと。線だと思ってつなげていくこと。次のフレーズをイメージして歌っていくこと。自分が普段聞かないジャンルの音楽を聞いていくこと。

○きれいにまとまっているが、伝わってこない。リアルな思いを作り、歌の世界にしっかり入ること。人の曲でも自分のオリジナル(リアルな思い)として歌っていけるように。

○いい声が出ている。最初のワンフレーズはいい流れで歌えているが、最後まで続かない。常に息を流し続けることと、呼吸をたっぷり取っていきたい。意識の持続がほしい。

○歌詞の読み込みをしておくこと。セリフだと思って何度も読んでおくこと。内容が説明できないようでは歌えない。

○ひとつひとつの音を深く取りすぎてしまう。もう少し息の流れでさらっと歌っていい。のどをリラックスさせて、息の流れの強弱でフレーズを作っていきたい。

○声が出る出ないに意識を持っていかないこと。それは練習でやっておくこと。だから表面的なことばしか聞こえてこない。発声と気持ちを込めて歌うこと、メニュとして分けて練習していくこと。

○セリフと歌の接点を見つけていくこと。セリフ時の息の流れ、自然なことばのアクセント、これらのことを歌いながらも感じていくこと。気持ちが高ぶってきても、お腹を中心に思いを出していくこと。

○自分が思っている以上に、気持ちが出てこない。自分の中にある思い以上に気持ちを出していくこと。多少おおげさでもいい。とにかく大きく出していくこと。心の壁を取っていくこと。

○フレーズ間のテンションを抜かないこと。テンションをキープして、物語をつなげていくこと。フレーズを大きくとらえていくこと。意味を大きくつなげていくこと。

○歌いすぎないこと。深く声を取りすぎないこと。軽く歌う感じでちょうどいい。サビだからといって頑張りすぎないこと。前半の繊細な歌い方のまま、いける。

○流れがなめらかになってきている。歌うこと自体に力を入れすぎないこと。もっと内容に入っていって、テンションをキープできるように。叫んでもいいが、内容に伴った叫びであること。

○今のフレーズだけではなくて、先のフレーズも考えて歌っていくこと。先に先に思いをつなげていくこと。今経験していること、すべてが歌のためになる。どんどん経験して挑戦していくこと。

○いい声だが、歌になっていない。カラオケの癖がついてしまっている。もっとストレートに体を使って歌えるようにしていきいたい。息をしっかり流し続けること。

○技術と気持ちを一致させていくこと。もっと前に出してと言われたら、息もしっかり前に出しつつ、思いも前に出していく。もっと深い呼吸をしてと言われたら、気持ちも深く深く作っていくこと。

○表面的な歌詞にとらわれすぎないこと。またとらわれている時点で、練りこみが足りないということ。もっと読み込むこと。さんざん読み込んだあげくに、歌う練習をすること。歌うことで満足してしまわないこと。

<英語曲・ジャズ>

○自分の声が出てきている。小さな表現ではなく、体から歌っていくこと。中音域をもっと安定させていきたい。その上で高音域の声を作っていきたい。いい方向にいっている。

○もっと原曲を聞き込むこと。息の流れを聞くこと。表面的にまねしていくのではない。またリズムをもっともっと感じて歌っていくこと。曲に合わせてリズムが取れるように練習していくこと。

○理想はソフトになめらかに繊細に。今はもっともっと体を使っていくこと。息を吐き続けるための体を作っていくこと。多少ボリュームを出して歌っていくこと。

○地声で深い声を出していけるように。キーを低めにし、そのための選曲をしておくこと。先の先のフレーズを見て歌っていくこと。前へ前へ進んでいくこと。

○低い声は力で押さずに、いい声が出ている。この感覚に慣れていくこと。頑張らなくても、いいひびきになっている。このリラックスした感覚で高音も歌えるようにしていく。

○オーディション曲の練習。その曲の前後関係がわからないので、その曲に対しての気持ち作り、役作りは難しい。その中で自分なりの思いを作っていくこと。今の段階では、もっと息を流してなめらかに歌っていくこと。そしてオーディションが近づいてきたら、もっとセリフを扱うように歌っていくこと。

○気持ちを込めて歌いすぎて、セリフになりすぎている。もっと歌っていい。歌うモードを冷静に持っていい。ひとつひとつの音にではなく、ことばの意味に気持ちを込めていくこと。

○フレーズの入りが弱い。思いも弱すぎる。客観的に映画の一部分を見ているよう。自分がその映画の中に入らなければならない。考えが浅すぎる。もっと深く考えてくること。まずはテンションの高い状態を作れるように。そこからすべてが始まる。

○音程を取ったり、声を出すことも大事だけれども、それは日々の練習の中で体に覚えさせていくこと。そのことを前提として、実際に歌う時は、役の気持ちになって歌えるように。役の気持ちになって歌った時に、音が乱れたり、声が出にくかったりしたらば、またそれはそれで練習をしていくこと。ミュージカルナンバーそのものを歌うときにはセリフの延長、気持ちを込めて歌えるようにしていくこと。

<カンツォーネ・シャンソン>

○息の流れはなめらかになっていきている。もっと声の効率をよくしていきたい。日本語もイタリア語だと思って発音していくこと。日本語をローマ字表記して歌っていってもいい。

○裏声のほうが出しやすいなら、裏声だけ、両方を混ぜてというパターンで練習していく。セリフの声も鍛えて、地声をさらに安定させていきたい。

○姿勢が悪い。胸から声を出すイメージで。テンションをキープして一曲歌えるようにしていくこと。フレーズを先取りして、積み上げていくことで、テンションもつながってくるはず。声に芯と鋭さがほしい。

○日本語の歌詞を読み、その延長で歌っていく。セリフ時の息の流れを大切にしていくこと。詩の朗読もしていこう。自然な息の流れがつかめそう。

○なめらかに、いい声で歌えている。あとはもっと自由にフレーズを作っていくこと。息の流れを変化させたり、ボリュームの変化をさせていっていい。次の課題に取り組んでいくこと。

○力が抜けてきている。この感覚。ボリュームも落ちていない。普段英語のラジオを聞きまくっていると、効果があるのではと思う。英語のひびき、息の流れをしっかり聞いていってほしい。

○とらえた音をなめらかにつなげていくこと。メロディーがすぐ取れるなら、その後のメロディーラインを大切に扱っていきたい。自分の中にない、別のジャンルの曲をもっと歌っていくこと。歌への取り組み、日々のモチベーションを高めていくこと。

○なめらかになってきている。今自分がどんな声で歌っているのか、常に聞きながら歌っていくこと。客観的な耳を作っていく。

○歌が雑。歌い方、テンションともに雑。集中力をつけていくこと。うまくいっているところとダメなところの差が大きい。歌うことのみに集中していくこと。

○パワーのある声で歌いつつ、なめらかさがほしい。ただ歌うのではなく、もっと大きくフレーズをとらえていくこと。大きな流れを見ていきたい。

○少しづつ点々ではなくなってきている。いつも息を流し続ける意識をもっておくこと。体から声を出していきたい。

○音楽性をもっと身につけていきたい。自分の声、自分の音程、ピアノの音、ピアノの音程、すべてを集中して聞けるように。普段から音楽をもっともっと聞いて吸収していくこと。また自分の声を録音して客観的に聞いていくこと。

○少し力が抜けてきている。自分でも自覚があるようで、自分の声の違いがわかり始めた様子。まだまだのどで頑張りすぎるので、練習の中で修正していく。

○ダイナミックに大きな声で歌う時も、丁寧さ、繊細さを忘れないように。雑に扱わないこと。声を引いてしまうので、しっかり前に出していくこと。

○フレーズはなめらかに扱えてきている。そのフレーズの後半に向けて、息の流れを集めていくこと。息が足りなくて腹筋に力が入りすぎる様子。もう少しリラックスした状態で体が使えるようにしていきたい。息のトレーニングもやっていきたい。

○力が抜けてきている。イタリア語と日本語のひびきを合わせていきたい。日本語もことばははっきりしつつ、いいひびきで歌っていく。

○イタリア語より日本語の方が声になりやすい。声が集まりやすい。今は日本語を基準にして練習する。また日本語の歌詞をゆっくり読む練習をしていくこと。ゆっくり読むことから、歌うことの接点を見つけていくこと。

○今は日本語のほうが声が集まる。イタリア語になると声が散ってしまって集まらない。力みを無くしていきたい。声を出そう出そうとしすぎて、声にならない。もっとリラックスする。

○母音のひびきを一緒にさせていく。イタリア語でも、できるだけひびきを変えないように歌っていく。探らずスパッと第一声を出していくこと。

○イタリア語のひびき、日本語の意味をバランスよく生かしていきたい。ピアノ等でしっかり音を覚えた上で、自由に歌っていけたら理想です。

○原曲を何度も聞く。集中して聞いて、すぐ自分のものとして歌えるように。そのためにももっと耳を鍛えていくこと。音楽的な耳、聞き取る耳、感じ取る耳がほしい。

○もっとなめらかに丁寧に。リズムで刻んで歌ってしまう。リズムは体で感じて、声はなめらかに出していくこと。アカペラでの歌いこみが必要。自分の声を自分で進めていくこと。

○イタリア語になると力んでしまう。母音だけで歌ってる時のように、同じひびきで統一させて歌っていくこと。体の支えはあるので、もっともっとのどをリラックスさせる。

○もっと繊細に。意識をつなげていくこと。イタリア語の流れを感じつつ、その流れの上に日本語を置いていくこと。また日本語の意味でのアクセントも考えていくこと。

○音が飛んでいる時こそ、流れでつなげていくこと。何度もピアノ等で弾いて、音を覚えていくことを前提として、なめらかにつなげていくこと。

○ブレスを大切に。あわてずにゆったりゆっくり腹に取り込むこと。ブレスしている時も、歌っているイメージを忘れないように。息の流れを円を描くようにしていくこと。吸って吐いてを円の流れでとらえていくこと。各フレーズを丁寧に歌っていても、大きなフレーズの流れは忘れないように。

○しっかり体を使って声を出していくこと。抑えた歌い方もしていきたいが、まずは体作り、体で歌うことに慣れていく。そのうえでのどの力が抜けてくるといい。

○やる気もあるし、声も出ている。あとは自分が今まで聞かなかった音楽をたくさん聞いていくこと。音楽性をもっとつけていくこと。聞くことからもっと学んでいくこと。

○積極的に進めていくこと。伴奏を引っ張っていくつもりで。普段から声が浅くならないように、お腹に息を落としておくこと。これは意識していけば、良くなってくる。

○ブレスが甘い。歌詞の読み込みが足りない。流れが止まってしまい、つながってこない。息の流れを大切にする。

○のどをリラックスさせていくこと。頑張って出さなくてもいい音域なので、この音域の中で、しっかりとした声を作っていきたい。のどで作るのではなく、体でコントロールしていくこと。

○安定してきている。イタリア語のひびきをよく聞いて、そのひびきを統一させて歌っていきたい。また流れがほしい。統一させたひびきを、もっとなめらかにつなげていき、流れをつけていくこと。

○歌い込みが足りない。練習の際もただただ歌うのではなく、集中して、気持ちを入れて歌っていくこと。その積み重ねをしていくこと。

○「オ」のひびきが一番深い声が出ている。この声を中心に、ほかの声も合わせていきたい。何度も「オ」「イタリア語」と繰り返していくうちに、イタリア語も「オ」のひびきに近づいてくる。練習の中でも、このことを意識してやっていくこと。

○縦のひびきを大切に。口を気持ち縦に開けていくこと。また音域を意識しすぎないで、高音域でも中音域ぐらいの感覚で歌っていくと、ちからが抜けて、いい声が出る。

○なめらかにフレーズが歌えるようになってきている。繊細に歌っていても、しっかり息は流し続けること。息の取り込みで力んでしまう。もっとリラックスして、ゆったりゆっくり。


■Q&A by トレーナーズ
研究所内外の質問とトレーナーの回答です。
これも相手や目的によって、回答が異なることもありますので、参考としてください。

Q.息を充分(吐く分と同じだけの量)吸おうとすると息が胸の辺りでつっかえる感じになって充分に吸えません。どこから直していけばよいのでしょうか。

A.見ていると吸う息が浅いのを感じます。腹式呼吸をしてください、今一度確認してみましょう。
まずは全身の力を抜きましょう。一昔前、こんにゃく体操というものが流行りましたが、どんな体操でもよいので脱力するところから入りましょう。次に呼吸法で行っている丹田の意識を、再度感じて下さい。レッスンのとき見受けられますが、胸に手を置いていることがあります。胸ではなくおへそ(ベルトの下)辺りに手を置き、それ以外はどこも意識せずに、息の流れを丹田で調節してください。
立ったままではできない時は寝ながら行ってみてください。お腹が膨らむことが実感できると思います。このときの感覚を大事にして、立ったときでもまったく同じようにできるようにしましょう。 

Q.音程をとるときにポルタメントをしないように息を思い切って送ろうとすると、力で押してしまい、逆に力まずに声を出すとポルタメントもしくはフラットしてしまいます。声帯で音程をとり、声を出す前にもっとイメージすることが大事なのでしょうか。また、力みをとるコツを教えてください。

A.ポルタメントになってしまうのは癖だと思ってください。歌の時に使うことは結構ですが、発声練習のときに、無意識のうちに使っているのはよくありません。ビブラートなどと同様に、使うときは効果を狙って意識的に出すようにしましょう。
それでは、なぜポルタメントしてしまうのかというと、一言でいえば、声帯で音程を取っていないことと、腹式で歌っていないことが挙げられます。
発声のときに、ド→レやレ→ミなど2度音程を歌っているときにポルタメントはしないはずです。ポルタメントしているときは音程をとるときに時間をかけて歌っているはずです。音を移行している間に余計な音程が間に入ってきてしまうのです。音程は瞬時に変えればポルタメントはしません。
力みをとるコツは腹式(丹田)で歌うこと以外どこにも意識をもっていかないことです。力が入っているのは、余計なことをしようと頭のどこかで考えているから、しぜんと体が動いてしまうのです。脱力することは簡単そうで難しいです。トレーニングあるのみです。

Q.「声帯を意識する」「声帯を使う」「のど声」の違いについて確認したい。

A.これらの表現は感覚的なものでわかりにくいと思いますが、イメージとして捉えてください。
「声帯を意識する」とはのど仏の下の部分が振るえる感覚でよいと思います。実際には声帯は甲状軟骨の前面(いわゆるのど仏)と水平にありますが、意識としては上記のような意識でよいでしょう。
「声帯を使う」は他に「声帯を鳴らす」という表現で使っていますが、息を使って話し声のようなバリバリとした振動のある声を出すことと思ってください。
「のど声」とはのど仏の上の部分や首周りに力が入り、押している状態です。この声は緊張感しかない単調な声で、動きのない声です。
声帯を使った声というのは、あくまでも作った声ではなく、自分にはザラザラとした雑に聞こえる声だと思ってください。いい声とは自分の声帯を最大限に生かした声であることを忘れないで下さい。

Q.トレーナーによって言われることが違うので、どれにあわせていけばよいか迷うことがあります。

A.当研究所では基本的に二人のトレーナーに付かせています。音楽を勉強する人は、大概一人の先生に長く付いて教えをうけます。このいい面としては、同じことを何度も繰り返し、上達(請負い)することが速いです。一方、悪い面としては、その教えだけが正しいものだと思い判断力にかけ、悪い癖(先生の特徴)まで受けることがあることです。
この他にも良い面・悪い面いろいろあり、どちらの体制がよいかどうかは一概に言えません。
最終的な目的としては、「トレーナーが求めるような歌を歌えるようになること」ではなく、『自分の判断で声を出せるようになる』ことなのです。二人のトレーナーについた場合、それぞれのよいところがあり、それぞれの欠点もまたあるのです。ですから、あとは本人がそのトレーナーが何を意図してレッスンをしているのかを感じ取り、自分に必要なものを学びえることが大事になるでしょう。言い方を変えれば、『いいとこ取り』をしていけばよいのです。そのためには、自分の判断力がきわめて重要な要素になることはわかると思います。

Q.Wのテキストやソルフェージュをやっていて、注意点や上達法はありますか。

A.ソルフェージュを上達させるためには1冊を繰り返し繰り返し完璧にこなすとよいです。コールユーブンゲンは一見本の厚みが薄くて楽に見えますが、実に奥深くできていて1冊完璧に仕上げるにはとても苦労します。それゆえにやり終えた後にはかなりのレベルアップが感じられることでしょう。メトロノームを使って正確に音符を歌っていきます。ピアノの鍵盤を使って音を確かめたり、よく耳で聞いて音程を確かめてくさい。初めのうちはこれらのことを同時にやろうとすると、意外とテンポ通り行かなかったり、鍵盤のミスタッチがあったりするかもしれません。ソルフェージュとはそういったことを器用にこなす技術を身につける意味でも、普段の発声練習プラス音楽表現における「正確さ」を身につける大切な要素と言えます。 

Q.正しい息吐きのトレーニングのやり方を教えてください。のどがイガイガするときがあるのですがそれは間違いでしょうか。

A.正しい息吐きというのは、複式呼吸で溜めた一定量の息をゆっくり時間をかけて静かに流すように吐いていくことです。姿勢は立った状態だと、胸式呼吸になりがちなので体を前かがみにして腰の後ろから横にかけての箇所にすばやく息を吸い込み膨らんでいるのを意識できるようにしてみてください。2で吸って8で吐く、何回か行って慣れてきたら12,16…というようにできる限りまでカウントを伸ばしていきます。
この練習を繰り返しやることで曲のフレージングを長く歌いこなせるようになりますし、余裕が出てくるはずです。息を吐くのと同時に声を出した場合、充分に息が混ざってなくてイガイガしてしまうのではないかと考えられますので、呼吸だけを考えてトレーニングしてみてください。

Q.楽譜に記されている音楽の表現記号についてもっとよく知り、読めるようになりたいのですが。

A.ヴォイストレーニングのあと、練習曲や課題曲に移ると楽譜には歌詞のほかに必ずといってよいほど「こういう風に歌うこと」を意味する表現記号が出てきますね。まず曲を歌うのに必要なのがテンポの設定です。Andante,Allegro,Moderatoといった言葉です。指定されたテンポ以外で歌うとまったく曲想の違う歌になることがよくありますから速度記号はしっかり押さえましょう。表現記号はみなイタリア語で書かれています。昔から音楽の表現においてはイタリアが先進国だったのでしょう。コンコーネNo.50は声作り、表現力作りにとても適した練習曲集です。主な楽語をABC順に並べたミニ辞典、楽典の問題集にも楽語の意味を問う問題、スペルを書かせる問題などが載っている教本もあるので参考にしてください。曲に対する理解度、表現レベルが上がるはずです。

●Q.私は普段低めの声なんですが、歌う歌によって高い声を出す時があります。友達に「声が低い」とも「声が高い」とも言われ、自分は声域が広いのかなと思ったのですが、私は歌う歌によって声の種類を変えるので正確なところが分かりません。
キーボード等を使って声域を調べる時は裏声を含まないのでしょうか?『ドレミファソラシド…』と声を出してくのですが、途中で切り替わったように裏声にしなければ高い声は出ません。
「人は2オクターブ出せれば声域が広い方」と知ったので余計に不思議に思っています。

A.人によって、個人差があり、メールでは判断しようがありません。裏声を歌に使うのなら、声域に含みます。

Q.透明感のある声とは具体的にはどんな声ですか?また、どんなトレーニングをすればそのような声が出るようになりますか?

A.「黄色い声」とかいうのと同じくイメージの問題なので、メールで(ことばで)応えられません。
人によって使い方も違うので、何とも申し上げられません。

Q.ミドルボイスを出そうとすると声がガラガラになりすぐに喉が痛くなってしまいます。息の量を少なめにするといいますがそうすると声量もなくなり、金切り声になってしまいます。さらに力を抜いて出そうとするとただの裏声になってしまいます。どうすればよいでしょう??

A.目的のためには声量は気にかける必要はありまえん。裏声にならないまでの声量でやってみてください。
あとは、低音域での基礎づくりの不足です。

Q.のどの力を抜いたつもりで歌っても、ちょっと高い音域に入るとのどに筋が走ってしまいます。特に辛くない程度の音域でもです。どんな声のだし方や力の抜き方を試してもそうなってしまうのですが、やっぱり力んでいるってことなのでしょうか? 見苦しいので。(裏声ではあまり筋もでないのですが)

A.見苦しくても声がよいこともあります。(だめなことが多いのですが)
力んでいるのかどうかは、声から判断するしかありません。
音楽之友社からでている、『QA100』を参考にしてください。

Q.歌を歌うとどうしても声がかたく聞こえます。声は低い方で、声自体とてもおおきいです。これを柔らかく聞こえるようにするにはどうすればいいですか?

A.少し声量をおとして、呼吸やひびきを中心にやってみてください。

Q.レッスンを受ける以前は、のども体も力みっぱなしで歌って体力を消耗していました。今は腹式呼吸などで効率よく体力を使っているつもりなのですが、まれにその疲労具合がもしかしてのどや体が 力んでいるのではないかと不安になります。
力み等による悪い疲労と腹式呼吸等によるよい疲労の差の判断ポイントを教えて頂けないでしょうか?

A.力んでいる場合はのどにきますし、上半身に疲労が残ります。
腹式呼吸等によるよい疲労は背中の下や下半身に疲労があります。
でも正しい発声をしていても長時間歌ったり、体調が悪い時に歌ったりすれば、のどを痛めますし、しっかり腹式呼吸をしていても、環境の変化で大きく歌いすぎた時にはのどを痛めることもあります。
常に自分自身の体やのどに敏感になり、事前に予防していくことが大切かと思います。 体調管理、自分自身の体に敏感になること。そのうえで厳しくトレーニングしていきましょう。

Q.季節によって声の出し方が変わったりするのでしょうか。声を発するのは自分なのですが、周りに影響を受けるものがあるかどうか疑問に思いました。

A.季節によって声の出し方が変わったりはしませんが、季節によってのどの好不調はあるかと思います。のどの好不調によって影響されない声作りや体作りをしていきましょう。

Q.前へ出そうとすると、のどにかかることが何度もあり、練習のたびに壊してしまうのではないかと不安になります。のどにかからず効果的に練習する方法はありますか。

A.100パーセントのどにかからない練習方法はありません。そうではなくて、意識を別な方向にもっていくことで、のどへの負担もなくなってくると思います。声を出すのではなく、息の流れに声を乗せていく。下半身を意識して歌うなど。はじめは少しのどに負担がかかってしまうこともあるかと思いますが、イメージを持って声を出していくことです。そしてそのような練習と並行して、息吐きのトレーニングもしていきましょう。

Q.呼吸は下腹(丹田)で支えると思っていたのですが、ある本には横隔膜で支えると書いてありました。どこで支えるのが有効でしょうか。

A.実際は肺の下にある横隔膜で支えていますが、その部分を意識するって難しいと思います。それよりも、横隔膜よりさらに下のお腹や丹田を意識することで、実際横隔膜が支えられます。イメージが大切なんです。

Q.高い音から低い音へ跳躍進行が出てきますが、このような時はお腹から深い息を送ることを前提として、息をあてる部分はどのように変化するのが好ましいですか?
音の間が開くと、力んでしまったり、音程が不安定になったり、しゃくり上げたりしてしまいます。特に低い音から高い音が苦手で、音程が高くなるほど顕著に現れてきます。

A.高い音から低い音へ跳躍進行、または低い音から高い音へ跳躍進行ですが、まず二つの音の音程がしっかり取れていることが前提となります。そのうえで二つの音をつなげていくのです。息の流れでつなげていくのです。音程差がないものと思って、つなげていくのです。練習としては、高い音から低い音へ跳躍進行の際は、息の流れ弱めながら変化させていくのです。また低い音から高い音へ跳躍進行の際は、息の流れを強めながら変化させていくのです。このやり方がわかりやすいかと思います。いずれも二つの音の音程がしっかり取れていることが前提です。

Q.とにかく息が続かない。それと、コロコロ転がるようなフレーズがうまくいきません。
まずはよく聞いて、完コピしようと思いますが、その後の自分のアドリブにも応用できるような練習方法があれば教えていただきたいです。

A.まずは安定した息のコントロールができるように、体を使って声を出していきましょう。声楽をやっていくことはよいのではないでしょうか。
アドリブその他の応用は、体を鍛えていきつつ、たくさん聞くことですね。繰り返し歌い、繰り返し聞いていくこと。歌を聞く、リズムを聞く、コードを聞く、あらゆる角度から聞いていきましょう。あせらずじっくり時間をかけてやっていってください。

Q.よく、「あくびののどで」と聞くので、鏡を見ながらのどちんこが少し上に上がるように歌うと、のどを締めて歌っていたときに比べて高い声が出ないんです。高い声を出そうとすると、どうしてもノドボトケが上に上がってきてしまうんです。高い声と低い声の調節は体のどこですればよいんですか?

A.あまり局部的にノドボトケを意識して高音を出しすぎないことです。逆に意識しすぎて力が入ってしまいます。のどの奥を開けるというイメージの方がつかみやすいと思います。
高い声と低い声の調節は体のどこですればよいんですかということですが、高い声と低い声と分けて考えるのではなく、一連の息の流れでつなげていくことです。体の深いところから息を吐いて、ひびきをつなげていくのです。低音のひびきで高音を出していくのです。
そして高音を安定して出すためには、まずは低音、中低音を鍛えていくことです。その土台がしっかり固まってからの高音です。

Q.声量を上げるにはどうしたらよいですか。今すぐに感覚としてわからなくても、これからの方針の参考にしたいので、声のメカニズムとして教えてほしいです。

A.もちろん体を使って、強く息を吐ける体を作っていけば、ボリュームは上がってくると思いますが、声を出そう出そうとしすぎると、のどに力が入ってしまい、逆に声が小さくなってしまっています。もっとリラックスして、息の効率が良くなれば、ボリュームもアップしてくると思います。

Q.ライブで歌うと、練習したときは全くでなかった歌の不安定さ(音のズレ、声が裏返るなど)が出ます。支えがしっかりしていないせいでしょうか。
今の状態でなるべく改善するには、練習中と本番で何か意識すべきことはありますか。 

A.支えが安定していないことも影響していると思いますが、緊張のせいもあるかと思います。練習の段階から本番をイメージして集中して歌っていってください。練習時の質を上げていくことです。
また本番の環境に悪い意味で左右されないように、普段から体を中心に歌っていってください。ブレない体の使い方ができれば、本番も安定してくるはずです。

Q.お腹から声を出そうとすると量を出そうとしすぎて、すべて強くなってしまい、メロディーのメリハリをつけようとすると、お腹に息が入りません。まずはどちらからやっていくのがいいのでしょうか??

A.練習としては分けてやっていきましょう。ボリュームをつけて歌う、繊細に歌う、原曲通りに歌う等、メニュを分けていきます。自分で今何の練習をしているのか、ちゃんとわかった上で練習していきましょう。目的なしに歌わないことです。 

Q.お客さまを呼ばなければならないことにギャップを感じます。アマチュアだからこそ、音楽を商売的に使っている人にはわからないものが見えるのでは?プロを目指すことは音楽をする上で邪魔な考え方なのでしょうか?

A.理想は、歌の魅力で多くのお客さんが集まってくれることです。だからこそ歌に対して真剣に取り組んでいくことです。努力していくことです。そういった歌に対しての努力を積み重ねつつも、人を集めるということも必要だと思います。ライブハウスによってはチケットノルマがあったり、事務所が集客をしてくれたり、事務所に所属していても自分で集客をしなければならないこともあります。

結局プロも、アマチュアでも、集客は必ず誰かがするのです。音楽に対しては、プロとアマチュアで分けるのでなく、その人しだいということです。まずは原点に帰って、人を集めて、その前で自分の歌を聞いてもらうという素直な気持ちも必要だと思います。人を集める努力をしたことも必ず歌に生きてくるはずです。人間的に強くなったり、営業することで自分自身をどう売っていったらいのか、自分の売り、魅力も発見できるはずです。歌を聞いてくれた方々が感動して、またライブに足を運んでくれるよう、ますます魅力的な歌を目指していきましょう。

Q.のどに力が入らないようにしたい(鏡に映ってる首を見ると血管が浮いている)。力の抜き方が分からない。

A.まずはのどをを意識しないこと、体を使うこと、重心を下に、息を遠くへ送り続ける、等の意識に集中していくこと。実際にそのイメージで歌うと、のどの力も抜けて体全体が響いています。

Q.選曲の考え方について。

A.歌いたいという衝動にかられる曲。もしくは歌った事のない曲。イタリア語、スペイン語、演歌、シャンソン等、別ジャンルの曲を歌うことでも又新しい世界が見えてくるものです。

Q.ベストKeyの考え方について。

まずは歌いやすいキーで歌っていくこと。無理のないキーで。そしてその音域を歌いこみ、鍛えてゆく、その土台の部分ができてきたらキーをあげていってもいいでしょう。

Q.大声を出す代わりに、息を吸う吐くの練習を教わったが、あいまいな適当な練習をしてしまった。分かりやすい目安はあるか?また、口は、小さくor大きく開けて練習する内容なのでしょうか? 

A.今は色々試してみて、自分なりのメニューを作っていくこと。体を使ったトレーニングを中心に。
     
Q.強弱をつける、高い音を無理なく出せるなどしぜんにできるようになるといいと思いますが、口の開きや鼻から抜けていくような声の出し方などを考えていると、わからなくなってきます。一つずつクリアしていけばいいですか?

A.まずは 一つひとつの課題に取り組んでください。ただ、課題はそのひとつだけではないということを頭に残しておくことと、ひとつを完璧に身につけてから次の課題に取り組むのではなく 、頃合を見て順番に課題を変えるようにしてください。

◎ Q.息を吸ったら、お腹、腰回りなど全体がふくらむ感じになり、突き出して吐くと、多少お腹の上の部分がへこむ感じになりますが、これでやり方はあっていますか。

A.実際にみてみないとわからないこともあります。息を吸うときにふくらみ、吐くとへこむというのは、体のしぜんな動きです。
突き出すのも、トレーニングの一環ですが、発声や歌とは切り離して、動きとして考えてください。

◎Q.「突き出して」吐くということは、お腹と背中などの腰回りを突き出すイメージをもって吐くという解釈でいいのでしょうか?お腹を中心に力が入ってしまいますが、大丈夫でしょうか?

A.力が入るのはよくありませんが、最初はやっていてもよくわからないと思いますので、そういう実感が得られるまでは仕方ないこともあります。何に対しても、ムリに行なうとよくありません。お腹や腰が痛くなったりしたら、すぐに止めてください。くせをつけるところまでは、やらないようにしてください。

◎Q.頭声と胸声の使い分けはどのようにしたらよいのでしょう?

A.今の段階では、頭声は、頭部へ共鳴させる声、胸声は、胸にひびかせる声、と捉えてみてください。
胸に声をつけるトレーニングや、中低音を中心に発声練習をやっているときは、高い音域が出にくく、高い音域でのトレーニングを中心にやっているときは、低い音が出にくくなることがあります。トレーニングの際は、分けてやっていく方がよいでしょう。

◎Q.「ヴォーカルの達人−基本ヴォイストレーニング編−」の本の「CD12」のトレーニングで、声がかなり小さくなるところでは、のどが下がっている状態です。そして、そのまま音程を下げていっても、のどは下がったままです。この時は、とてもよい声が出ていると思います。他のレガートや「ハッ ハッ」などのトレーニングの際にも、のどを下げることを意識しながらするのは、よいことですか?それとも、のどを下げてトレーニングするのは、この「CD12」のトレーニングだけがいいのでしょうか?

A.のどを下げるというのもイメージなので、声を出すときにそういう状態になっていればよいと思います。意識したほうがよいかどうかは、その方が声が安定して出るとか、よい方向で出せるのであれば意識してよいでしょう。

◎Q.私は昔のソウルを歌う外人(特に、アレサ・フランクリン)など、とても良い声だと思っていて、目標にもしたいと思っています。でも、最近の外人バンドのヴォーカルの声は、発声が間違っている人も多いような気がします。私が発声がよくないと思っているのは、(アヴリル、sum41、グリーンディ、ルースター)です。売れてる、売れてないは関係なしで、上記の歌手の発声はあっているんでしょうか?

A.アーティストの歌は、作品がよければよいのですから、発声があっているとか、あっていないは問えません。発声が正しいかどうかというのは、定義によります。個別のアーティストの世界観からみるものです。たとえば、ピカソやダリの絵のデッサンは、間違っていると誰がいうでしょうか。トレーニングをしていくと、感覚ができてきて、他の人の声や発声についてもわかるようになってきます。だからといって、歌は発声で聞くものではありません。そことトレーニングとは分けていきましょう。[参考になるヴォーカリストは研究所の本にも載っています。ご参考に]


Q.息を一瞬でいれたい場所にいれる練習は。

A.まず鼻から「必要な量」だけの息を小さく・早く取る練習をしてみてはいかがでしょうか?その際、両方の肺が横に広がると、なおよいですね。 

Q.音をスムーズに繋げることと、ストレートに出して行くことのバランスが上手く取れません。スムーズに繋げて行こうとすると多少なりともうねってしまう感があり、逆にストレートに出して行こうとすると音が切れてしまいます。こういった場合、どちらに重点を置くべきなんでしょうか。

A.スムーズさとストレート、どちらに重点というよりかは双方のよい部分を両方欲しいところではあります。ただ迷うようであれば、まずはストレートに出してみて(注:決して力で押し切る、という意味ではなく。)そこから、いかに丸みをいいバランス・いい塩梅で加えていくか、をやってみてはいかがでしょうか。

Q.集合住宅に住んでいます。あまり大きな声を出さなくても効果的な訓練ができるような方法は、どれくらいあるものでしょうか?また、そういう訓練だけに特化した本や小冊子のようなものはございますか?
実際に大声を出す訓練はどこか外で行うとして、家用の訓練をまとめたものがあれば教えてください。

A.早口言葉なども効果的です。ゆっくりから始め、はっきりと「喋る」訓練もよいでしょう。唇よりも前で喋るつもりで明るい声を出しましょう。訓練だけの本もたくさん出版されています。福島先生が執筆されている本も分かりやすいので、お持ちのテキストだけではなく、他の本も読まれてみてははいかがですか?訓練始めに色々な情報が入ってくると混乱が生じてしまうので、レッスンで使っている本や同じ著者でまずは勉強された方が効果的だと思います。

Q.テキストでは、下へ下へと意識するようにとありましたが、レッスンで言われた頬より上で声にすることと、どう両立させたらよいのでしょうか。

A.まず下に下にと言う時、何を持って下と言うかを考えてみましょう。私の考えではいわゆる支えと言われるのはヘソより下にあると思ってます。そこが土台であり、そこからゴムで引っ張られる感じを覚えて下さい。その頂上が頬骨より上の鼻控です。鼻控からヘソ下までの引っ張りを覚えるとよいです。しかしバランスが大事なのでトレーナーと共にゆっくり感じて下さい。

Q.ほほ骨より上で明るくと言われますが、もう一人の先生は下に深くと言われて迷ってしまいます。

A.まず、声をだすということになれて欲しいということがあります。俳優やタレントならば役柄上、低音や渋みのある声が必要ですが、日常会話でそれを意識すると顔が強張ったり、独りよがりに練習すると、のどを痛めることもあります。体の力が抜けた状態で笑顔で明るく人と会話できるこことが大事だと思います。方法が違うだけで、どのトレーナーも生徒をよくしたいという気持ちは同じだと思います。

のどをはずして声を扱うということでは、声楽もその他の発声も基本において同じと考えてください。
邦楽や、多くの役者、声優発声の養成所では、その上の段階のトレーニングをやってしまっていることが多いのが現状です。(F☆)

Q.体を使うことと脱力することが両方出来ない。

A.脱力しなければ体は使えない。体を使うことは固めることではなく必要な筋肉を必要なときに動かせること。今は脱力して力まずほえない訓練をすること。

●Q.レッスンで行ったジラーレの練習を個人でも行っているのですが、鼻腔にうまく空気が流れているのか、声帯で鳴らしてしまっているのか、自分でなかなか判断できません。レッスン時の体の感覚をたよりにやっているのですが、その他に何かよい判断方法はありますか?

A.ジラーレはやはり体で体得していくしかありません。表現も誤解をまねいてしまうので、一概に言えないです。ただ感覚としては軽いイメージをもって下さい。しかしこれも浮かせるということではないので注意してください。レッスンの時の感覚を頼りに試行錯誤、失敗を繰り返しながら身につけていくことです。

Q.楽譜もなんとか読めるようになりましたが、細かい音符は鍵盤で早く弾けないので、ゆっくりやっているため、早く歌えないのですが、かまわないのでしょうか。

A.ゆっくりで構いません。できるテンポで、練習してください。

Q.響きの確認の仕方はどうしたらよいのでしょうか。

A.頭に手を当てて、共鳴させようとしてみてください。もし、わからなかったら、首の後ろのつけねの骨に手を当てて、ビリビリくるように、歌ってみてください。

Q.自分の発声練習の録音を聞き返すと、音の移動(特に離れた音階への移動)が聞き苦しくスムーズでない。これは息の使い方の問題でしょうか。技術的な解決方法はありますか?

A.息というよりも、音の感覚の問題と思われます。例えば、「ド→ソ」がとれないのであれば、ド→レから練習してド→ミと、だんだんに音の幅を広げて練習してみては、どうでしょうか。

Q.三連符を一つの流れにするのがつかみづらいです。発声の「マママ」も「マ・マ・マ」としか捉えられていないのですが、一つの歌声にするにはどうしたらよいのでしょうか。

A.「マママ」で歌う理由としては、三連符をすべらないようにするためなので、もし、滑らかに歌えないようであれば、「ウ」で歌ってみてください。そして、時々、「マ」で歌う練習もするとよいでしょう。

Q.アクセントを意識すると、どうしても音程に影響してしまい、不安定になります。アクセントは何のためにつけるのでしょうか。当然のものとして常に意識していった方がいいのでしょうか。

A.練習しているアクセントは、拍子を意識するためのアクセントです。常に感じてできたら、よいと思いますが、アクセントを意識しつつ、音程よくすることは、確かに難しいことです。ただ単に強くするのではなく、強拍は大事な音なので、体全体で、大事に歌うようにしてください。

Q.練習している時や、バンドで長時間声をださなくてはいけない時など、あまり水分をとらない方がよいのですか。

A.長時間、歌うとのどが乾燥しますので、水分はきちんととったほうがいいでしょう。 ただし、やたら飲めばよいわけではありません。 

Q.音程が定まらない、母音によって響きが違うがどうしたらよいか。また、息の吸い方がわからない。

A.響きを保つこと、そして「ウ」で歌うこと。息の吸い方はなるべく細く吸いましょう。

Q.自分の音程が合っているのか合っていないのかわからない。

A.方法としては何度も正しい音程を歌って、正しい音程をインプットさせる。

Q.のどを開く感覚が分からない。

A.少し上を向かせて開く感覚をつかみましょう。また、後ろもあける必要があるのですが、その感覚も分からないということなら、下を向いて後ろが拡がる感覚を覚えましょう。そして頭の頂点は背が1cm伸びた状態をイメージします。

Q. 歌っていると、だんだん息が入らなくなってしまう。

A.無理に吸おうとするとどんどん苦しくなるので、ゆるめる。日常から気をつける。

Q.「O」の母音で歌うと響きが落ちないか。

A.「O」は他の母音と比べて落ちにくいが、油断すると落ちることもあるのでなるべく笑顔で歌って響きを落とさないようにする。

Q.気後れして気持ちが引っ込むと、息がつまって声になりません。普段の会話でも、声をとることを気にしすぎて、話のタイミングが遅れてしまったりします。声が響いてくるまで待つというのは、意識しなくても正しく姿勢やポジションをとったり、スムーズにできるということでしょうか。それとも、技術的なことではなく、楽器である体そのものが、こりがなくなったり、筋肉がやわらかくなったりして、変わるということでしょうか。

A.声を出すにはまずリラックスと脱力、力を抜くことが大切ですが、初めはなかなかこの力を抜くというのが難しいようです。完全に脱力するといっても体を支えるための力はしっかり入っているわけですから、意識の集中を腹背筋のまわりにおいてお腹から声を縦のイメージを持ってオーと出していきましょう。時間をかけて掴んでいってください。

Q.丹田呼吸をやっているとお腹の支えが強くなりますか。

A.斜複筋を引くっていう感覚が大事(恥骨から息が流れている感覚)息を吐ききるのと斜複筋を引くタイミングが上手く組み合わさるとよい。
方法その1 四つんばいになって息を吐ききっちゃう時のこしが引ける感覚をつかむ。
方法その2 足を45度に上げて百回やる。「お腹の支えの体得は」一生勉強。3歩進んで2歩下がるの繰り返しで積み重なっていく。

                                 
■VOICE OF LESSON by メンバーズ
研究生、通信生などのレッスンに関するレポートです。

<Lesson>

○・Bobby Macferin聴く。ごっついコーラスワーク
・クラシックダニーボーイ聴く
・イトウキョウコさん聴く
・マツモトミワコさん聴く
・ダークダックスのテネシーワルツ
・サガラナオミさんマイウェイ
・南はるおさん「チカンチキおけさ」やる
・トラゾウ節聴く
・ティ・ペイジのFlyme to the moonやる
(NI)

○今日のテーマは「フレージング。」「構成。」だったのだが前半はいつものように覚えるのに必死でフレーズ内の動きを読み込むまでの余裕はなかった(泣)。ようやくメロディが入ってきて歌い手の呼吸、フレーズの動きを読み込んでいく。まずみやすかったのは歌い手の中で呼吸(≒音楽)は流れているのにブレイクをいれている箇所。ブツッっと不自然に切れているのではなく溜めがあった上でコンマ何秒で切っているような感じ。ここで僕が言っているのはフレーズの終わりを呼吸で収めて切るというような意味でのブレイクではなくて、例えば「なみだ」という言葉の「な」と「み」の間でこれが行われているという意味です。このことによって絶妙なニュアンスが生み出されている。実際にはおそらく無音にはなっていないと思うが(これこそ呼吸レベルでの声の扱いだと感じる)その音の微かな間がとても大切なのだと思う。張り上げるタイプの自分には特に必要な要素だろう。そして今日の歌い手を聴いて感じたのはフレーズに動き、ニュアンスを創っても自然。語尾を伸ばしても間延びしてる感じはなく自然。自分に置き換えると、動かそうというのが見えすぎ、バタバタする、フレーズを伸ばしても間延びしてるだけになったり収めきれなかったり、課題だらけだ。サビも高音まで使われていたがAメロの流れを壊さずに自然に言葉が発せられて処理されている。自分がフレーズ回しで出した時はAメロから音色が変わりすぎて嫌悪感があった。急に細く甲高くなった感じ。感覚、体、イメージの問題だろうか…。そしてなにより問題だったのは、(リズムは毎度の事として.苦笑)今日のテーマを口にして頂いていたのにも関わらず、一曲全体をとおしての起承転結、フレーズの関係性まで読み込めなかった事だ。1フレーズごとだとその内部でどういう呼吸でどういう動きが出ているのか見える事もあるが、じゃあそれを承けて次がどうなのだ、前がこうであったのに対してどう転じているのか、そしてどう収めているのか等の関係性が読み込めない。歌い手は始めから全体像をみすえてある程度意図的にそれをやっているのか、センスとして結果オーライでそういう関係性がきっちりしているのか、解らない。自分の場合、結果としてそうなったというのは恐らく一年に一回起きればいい方かもしれない。その一年でどれだけ歌ったのかという量的な疑問もあるが。なのでやはりある程度全体像を考えて計算する事になるのだが、それはそれで今度は型にはめようとした縮こまった感じになったり。まあ勉強という段階での話しで、本番(ステージ)では今言ったような事は頭の片隅に少し意識として持っておく感じで、思い切りやるようにはしているのだが。なんにせよ、自分の歌の構成が聞き手に伝わりにくいのも、自分が聞く段階で関係性が見えてないのだから、聞けてないものが出せるはずもないという事だ。でも一曲通しての関係性を考えない1フレーズなら少し読み込めるようになってきたし動かせるようにもなってきたのは自分の成果でもあるので、今度はまずはそれが3フレーズぐらいの幅に広がり、前後がちゃんと関連している動きになり、最終的に一曲とおしてきちんとした音楽的作品にできるように粘り強くやっていこうと思う。(YK)

○まずいつものように唇を合わせてそこに息を送り、ぷるぷると振動させる。「あれ?いつもよりうまく震えない。」少しリラックスを心がけるとマシにはなった。力みが入り、息が横に広がってしまったのが原因だと考えられる。少しバランスが乱れただけで崩れるのはまだまだコントロール力が甘く、体得できていないという事だ。これ自体を体得する事が目的ではないが、呼吸を繊細に扱う事ができるよう、なおざりに置いておかずしっかり確認だ。次にエッジのポジションでハミング。「N」と「M」の両方でやったが「N」ではエッジの深いポジションのままどちらかといえば後頭部の空洞を感じる事ができた。「M」では鼻空から眉間あたりの空洞を感じやすかった。そのまま音を上下させエッジからファルセットまで。ポイントは「あっ、もうちょっと頑張れば地声で出そうだな」という音でも「頑張らない」。本当にリラックスしたフォームを保ち、声質が切り替わろうがひっくりかえろうが息の流れに乗せた自然と力みなく出てくる声にまかせる。この事によって自分の意思で切り替えようという事なく、自然にファルセットに移行する事ができ、その間のミックスボイス部分も自然となる。次にそのハミングのポジション、フォームのまま「ナ」「ネ」で。ハミングの時より口の中でいらぬ操作をしてしまいそうになったが、ハミングの状態に戻し、その状態のまま、ただ舌先で上の天井を軽く叩いて「ネ」「ナ」という音にしているだけという状態にするとハミングの時の自然な状態に近づけた。いろいろな部分を柔軟にするよう引き続きトレーニング。そして各々自由曲の歌唱。スタンスとしてAメロは言葉を投げ掛けながらもぶつ切れすぎにならないように。Bメロではサビを予感させるようメロウにしながらも流れすぎないように。そしてサビは一気に歌い上げて言葉とメロディの両方で畳み掛けるイメージ。出たものは思惑には近かったとは思うが、「リズムに均等に言葉一つ一つを置きすぎているのでもっと単語としてとらえてグルーヴで巻き込んでいく事が必要」というようなコメントを頂けた。「むむぅ、ぶつ切れにならぬよう気をつけてはいたが、確かにリズムに一音一音乗せてしまっているな。動きやニュアンスが全然でていない」と自戒。コメントにもあったがその動き、ニュアンスなりがある事によって言葉にリアルさが出るという事だ。そして個人レッスンへ。まずフレーズとして引く所も必要であるというアドバイスを頂いた。例えば接続詞。音があがればそのまま強めて出していた。メロディと演奏の関係性もあり一概には言えないが、「言葉のリアルさ」「メッセージ力を高める」というアプローチからみると弱めた方が前後のフレーズの言葉が生かされたり、自然な動きがつくりやすいという事だ。そして音色。もう少し明るめでもいいのではないかという事で意識した結果、言葉もはっきりした実感があった。そして「技術で音色を変えようとしなくとも、顔の表情だけ変えるだけでも変わってくる」というような事を言われ、そのとおりだなと。表情で出した感情、想いがそのまま声に乗り移ってくれる感じ。これこそ人間の生理に伴った声だよな〜と当たり前に感じた。という事は普段、日常から繊細にたくさんの事を感じる『心』、敏感さが必要になるという事であり、思春期がとうの昔の自分はもっと多感でありたいな〜とかいろいろと考えさせられた。アーティストってタフに見えるけど繊細な人も多いはずだ。自分はどうだろうか?と今日のレッスンとは少し主旨が変わってくるが考えた。映画や小説、普段流れてくる世の中の出来事等、そこそこ感じるんは感じるんだけど、「そこそこ」なんだよな。アーティストとしての感受性が鈍いのはやばいと思うのだが…。う〜ん、何が言いたいかすらわからなくなってきたが。あれ?今日のレッスンのアテンダンスだよな(汗)そうそう、表情だ!同じ曲で笑った表情で、泣いた表情で悲しげな表情で怒った表情で痛がっている表情で驚いた表情で怯えた表情で等々、やってみてどう声に変化がでるか録音したらおもしろそうだからやってみよう!(YK)

○発声「ま」で(ドレミレドレミレド↑↓)
「ま」と「め」で (ドレミレドレミレド↑↓ )遠くに息が流れ続けるイメージで。
<アドヴァイス>力は抜けていていいんじゃない。それ以上咽喉は頑張らばないほうがいい。ボリュームを上げたい時は息の量が増える。あるいはもっとソフトに歌いたいときには息の量が減るという形で、息の流れは感じ続けるといいね。
意味の分からない外国語を歌うことに意義がある。やりたいことは気持ちをこめるあるいは表現と言うよりは全部の音に対して深い声で歌っていく練習になるということ。英語だとなまじっか意味が分かるだけに言葉で歌うと発音にこだわっちゃたり、詰めていかなきゃいけないことになりがちなので、そうではなくて。(MD録音はDMじゃなくてB♭Key)
言葉は途中でわかんなくなったらラララで歌っていいからフレーズとしては滑らかに繋げて歌えるように。
わけわかんなくていいから。わけわかんない状態でとにかく体は楽器だとイメージとしては体作り。外人さんはちっちゃい頃から英語でしゃべっているからある程度もう息の流れとリズムだけで英語をしゃべっているから(物心ついた時から)音楽的な訓練をしちゃっているんだよ。
しゃべれない日本語、音声的な日本語で歌えば(将来的に)音声的な楽器としての深い声(響き)をつかむのにカンツォーネは掴みやすいと思うので暫くやってからカンツォーネを本格的にやるかどうか決める事にする、と仰っていた。(NK)

○発声練習
ア→オ→ウ
ア→イ→エ の形
「リコルダ」
E grazie ancor〜
ワンフレーズごとに息を流し続けて、メロディはそれについてくる感じで。息を強くも弱くも流し続けられるように。

発声していてもやたら舌の位置とか、口の中の開き方によって響きが変わるので、どの程度の開け方がいいのだろうと気になっていたが、定位置みたいなものができてきたのか、それは迷わなくなった。声のボリュームが小さくなると、不安定になる気がする。
小さくても安定してコントロールできるようになるためには、ある程度大きな声からだんだんに下げていけばいいのだろうか。(SR)

○「いい日旅立ち」
レッスンを受けることの意味”について、よりわかった気がする。
レッスンで、技術的なことや練習方法を学ぶのはもちろんのことだけれど、実は、もっと重要なことは、自分の表現の現状と限界を知って、そこから幅を広げるためのヒントや気づきを得ることにあるのだということ。
自分だけで練習していても、視野の狭さ、表現の理解の浅さから生じる壁を越えられないことが多々ある。いやむしろ、それに気づけないことのほうが多い。

今回の題材曲も、カラオケなどでは歌ったこともあり、こんな感じかなと練習していたが、実際レッスンを受けたら、自分の解釈がこんなにも浅かったかと愕然とした。カンツォーネのときよりも日本語のほうが曲の読み込みに対して浅いことに気づいてしまった。日本語ゆえの油断が大きい。日本語だからわかった気になっているだけだった。
曲全体のダイナミックさとか、マクロな感覚も大事にしつつ、フレーズごとの意味、気持、息の流れ、息継ぎ、響き等…。
ミクロな部分を考えながら試行錯誤しつつ表現に取り組みたい。ゆくゆくはそれを意識せずとも、気持が入ったらそういうフレージングになった、というようになりたい。(AD)

○指摘されたように間奏部分でテンションを保つ事ができなかった。ひとえに練習不足といえばそれまでだが、歌全体としての入れ込み作業が足りなすぎる。
ステージに立っているときはずっと歌が続いているわけだから、間奏部分で途切れるのはおかしい。だからフレーズが終わってほっとしない、気を抜かない。全部つながっているという感覚を持つ。
今は声を出しているときだけ頑張っている感じで、つまりうまく声が出た、おしまいという風になってしまっている。
そして間奏は頑張らないでいいやとなってる。声をうまく出しそれを聞かせることが目的になっている。
全く本末転倒なので曲の入れ込み、全体をとらえる作業に時間を割く。そして、母音などでなんとなくやるとすぐ上に逃がす。
身体と声帯でこえをきちんと捕まえる。
姿勢が悪い。腰や背中で支えようとして前のめりになってしまう。
胸から出す感覚でやってみる。全てのバランスを、繰り返してさっさと掴む。(KA)

○課題曲「見上げてごらん夜の星を」まず今回は自由に歌うというよりは、息の流れ、フレーズの流れをテーマにそれぞれ歌唱。一回目は呼吸を意識しすぎたのもあり、「ポジションが深いのは良いが、掴んだポジションからずり上げている感じが見えすぎている」というような指摘を受けた。この「ずり上げ」けっこう癖になってるかもしれない!と即座に感じた。ピンポイントで声立てできるようにならなければいけない。先に「握りたい」という意識が働いてしまう。この握る事自体は大切だと思うのでこれがもっと瞬間的にできるようになればずり上がる感じも目立たなくなるのではないかと思う。そして次はもっと流れを意識して前に進んでいく感じを出そうとしたのだが、ただ浮かして流れを出そうとしたような感じになってしまった。声の芯が無くなってしまった感じ。「息の流れは見えやすいがこれは違う。」と直感。次は感情をイメージするというスタンスを付け加えての歌唱。先程の修正も踏まえて肉をもっとつけた上で息を流し、フレーズの流れをだす。「ワンフレーズごとはしっかり流れているが、次のフレーズ、次のフレーズと先へ先へ進んでいくような繋がりが欲しい」というようなコメントを頂いた。一週間前、福島レッスンで指摘された事だ.苦笑。「Aメロだけで今8つぐらいのブロックでとらえてしまっているのをもっと4つ、2つと大きくシンプルに全体としてとらえなければ曲も複雑になるし、大変になる」と。今日も全体をとらえずに目の前のワンフレーズ、それが終わったらまた目の前のワンフレーズのようになってしまっている。結局音楽が入っていない、流れていない、構成が見えていない、止まっているからそうなるのだろう。早くこの「先を意識してない目の前だけのワンフレーズ全力入魂≒トータルとしてのビジョンが解っていない状態≒音楽が走っていない状態」を卒業しなければならない。そして今日のように「呼吸の事を意識しながら、流れを意識しながら、キーも与えられた所で」となると、どんどんそちらに気をとられて、縮こまってしまいそうになるが、なんのことはない、これに対応できてそれなりのものを出せるくらいの力がついてないと駄目だ。今日は表現というよりは呼吸に意識を置いたスタンスという事だったが最終的にはその技術的な要素と感情などの表現的な要素を分けて考える必要もなく、自分の表現を入れた時にそういう呼吸の流れも崩れないどころか、伝わる為の大きな原動力とならなければいけない。最後に歌ったものが今日自分が歌った中で一番バランスがとれていたようだが、自分の中で取り繕って出した感は否めない。無心で歌い、(表現と無心て相反する意味合いになるかな…。無我の境地と言った方が近いな)結果として表現としても音楽としても成り立つよう学び続けるしかない!(YK)

○支えようとしてトレーニングを続けているうちに姿勢が不自然になってしまっていたようなのでそれを矯正する。
つま先で立って、身体を一直線にする。声がつま先から出てくるようにして、上半身は力を抜く。この状態で上に力を入れるとすぐ喉に来るのでわかる。
本当に下半身で歌うということがまだ身体に入っていないということなので、それを無意識でも出来るようにとにかくつま先立ちでのトレーニングを徹底する。
少しかがんでいるときと同じようにたくさん息は取り込んで、上の力だけ抜く。
普段余計な操作をしてしまいがちらしいのだが、この姿勢ではそれも出来ないので矯正にはよいということだ。
それで「愛は限りなく」をやってみたが、ただ身体だけ使ったという感じの歌い方で気持ちが入っていないのだが、普段感情を込めすぎてしまう側面もあるから、片方ずつ極端にやってみてよいバランスを掴むのもよいかもしれない。 (KA)

○「いい日旅立ち」、「リコルダ」(日本語で)
「いい日旅立ち」…サビは集中が保てているけれど、そこまでのフレーズが雑。繊細さを大事に。自分が歌う、ということに一生懸命で、人に伝える歌になっていない。
「リコルダ」…メロディに日本語を載せるのが非常に難しくて、自分でもたどたどしいなと思ったけれど、そのおかげで?力が入らずに歌えた。”繊細に”…自分の一番不得意な部分。
今回、原曲が日本語のものと、原曲がイタリア語で日本語で歌うのとやってみたら、自分の歌詞の扱い方の現状が非常によく見えた。
最初から日本語の曲に対しては、歌詞(ひいては曲全体の扱い)がぞんざいだという事実。普通の日本語の歌は耳に慣れているからあまり詞のことを考えたりせずとも歌えてしまう部分があるので、逆に、伝えるというよりいかに自分がうまく歌うか、に気がいってしまっているのだろう。
原曲が日本語でないものに対しては、ことば一つ一つを考えながらフレージングを考えたり、曲全体のイメージをつかんだりしながら日本語の曲よりもずいぶん丁寧に扱っているという事実。

カンツォーネの曲(きっとそれ以外の外国の曲も全て)に日本語の詞を載せること自体が、どうやったらこの言葉をきちんと流れるように、気持も入れて伝えることができるのだろう、と考えざるをえないので、とてもよい課題になっていることを改めて実感。
うまく歌えるとか、自分が歌って満足、というのではだめなのだということをもう一度心に刻み付けて、「人に伝える」ということをいかに考え、大事に意識できるか、が、重要なポイントだなと思った。(AD)

○口の中を変えて声をだすのではなく、唇や頬のお肉を動かして、できるだけ下顎をだすより上唇を開く、前にだす、持ち上げるほうが明るい音色に聞こえるんだなと思いました。
下顎を下げないよう、上に持ち上げるイメージをもって声を出したら、自然と表情も声も明るくなっていました。『お』を単独で出すより、『おあ』とつなげてだしたときの『お』の方がきれいに声が出ていたようなので、口や、口のなかなどの動きに注目して、『お』も『あ』ももっと楽に聞きやすい声を出せるようになることが課題です。(TY)

○『あ』の発声のときの口の形が、下顎に力が入り、横に開きすぎる傾向があるとわかりました。『お』は前より楽にだせるようになってきたので、さらによい方向にすすみたいです。唇・舌・眉毛の体操も併せてやって、次回を迎えます。(TY)

○コンコーネ13番(中声用)
うまくいかないときの練習ステップの一例
”一部をゆっくり”から徐々に速さを戻し、範囲を広げる。
練習のときに自分でステップを踏んでやってないな〜と実感。流し練習をしてしまうことが多いので反省。
音が低くなっていっても、声を保つテンションは下げずに!
フレーズの区切り方を変えていくと、息の使い方も変わってくる。(AD)

○・「ま」「も」で発声(ドレミレドレミレド)
<アドバイス>ちょっと頑張りすぎているのでリラックスして息の流れだけだとおもって
・「ま」「め」で発声(ドレミレドレミレド)
<アドバイス>滑らかに遠くに地声がはまり詰まる感じがした。後半多少はまってきたけど。(自分でも咽喉がイガイガして歌いずらかった。)
・「花をありがとう」(カンツォーネ)
・「ま」で2回メロディーを歌う
<アドバイス>小さいフレーズ毎にテンションをあげて歌っていき「恋のため息」にテンションを集めたい。一番強く持っていきたい。
・「ま」で歌う(あ)咽喉であまり頑張らずテンションだけでグッグッと上げていく。
・イタリア語の読み方教わる。
・イタリア語で10回歌う。
<アドバイス>滑らかにうたいつつテンションをフレーズ毎に上げて歌詞と声は出ているので、日本語の歌詞を見て意味を考えつつ歌うべし。
「ありがとう〜とりこにした」も小さいフレーズ毎にテンション上げて盛り上げていき大きいひとまとまりのフレーズとして捉えて歌えるように。(NK)

○・唇ブルブルで複音(ドミド↑↓ドミド)半音ずつ
・舌ブルブルで複音(ドミド↑↓ドミド)半音ずつ
・ハミング(ドレミド↑↓ドレミド)
<アドバイス>息や響きが胸から上で浅い感じがするので下っ腹から息が出ているイメージで。息だけでやってみましょう。
・スーと息だけで
・もう一回ハミング
・んーああああ(ドードレミド↑↓)半音ずつ
・口を閉じて 口を開けて
<アドバイス>お腹がピョコピョコ動いてしぼんじゃうので息を吸ったらそれを保って。(横隔膜の支え)
・トスティNo.3
・主に「う」で何回か歌う、「お」でも歌う
<アドバイス>高い音を出すときに苦しそう。息(響き)がもれている感じがする。
後ろにひいちゃう、こもっちゃう響きになりやすいので意識して前へ前へ。声帯が完全にくっついていいないのでは?
口をいったん「い」にして「う」で歌ったら響きが良くなった。
・最後に仕上げで譜面を見ずに通して歌う。
<アドバイス>音程、強弱(crescやdem)テンポ(rit)良いですよ。
・トスティNo.4一回通して歌う(NK)

○・「花をありがとう」(カンツォーネ)「ま」で歌う
<アドバイス>
息の流れや方向が良く分からんので気持ちとして息のイメージを遠くに流し続けて。スタート地点を下から遠くへ。
・「も」で歌う
<アドバイス>結構滑らかに歌えているので、滑らかに歌いつつ深い声が欲しいので下から遠くへ。口の形が「も」だと硬くなっちゃうので「ま」位リラックスできると良い。
・イタリア語で歌う
<アドバイス>うまくフレーズはつながっているので、咽喉に負担がかからない程度に強く鋭く、息を流し続けて。
普段歌っている英語より、イタリア語のほうが響きが深く歌えているのでイタリア語に早く慣れたいね。えいごのほうが曖昧な母音が多いので本当は難しい。イタリア語はアイウエオしか母音が               ないので簡単。イタリア語で深い響きの声が出る体をつくってそのままの状態で英語も歌えるようにしていきたい。大人な感じでいいんじゃない。もともとハスキーな声なので、ハスキーはハスキーでいいのでそのまま伸ばしていく。軽く歌わない芯のある声を作っておくと色々表現が豊かになるるのでイタリア語の歌うときは強く感じてでも繋げていくイメージで歌えるといいかな。

自分が感じたこと・気付いた点、
フレーズの歌いだしが遅れるor遅れ気味になるので気になった。MD録音したものを聞いてスパッと入れるように。(NK)

○・唇ブルブルで複音練習(ドミドファ♯ラ♯ファドミド)半音ずつ
・舌ブルブルで複音練習(ドミドファラファドミド)半音ずつ
・ハミング(ドレミドレミファレドミド)
<アドバイス>上からって言うわけでもないんだけどちょっと咽喉に頼ってる感じがするので下っ腹からの息を意識して息だけでハミングしてみてください。
・息だけ
<アドバイス>音程は意識せず、息の量は最初から最後まで一定量で(最初強くなったり最後薄くなったりするのは×)
・んーああああ(ドードレミド)
・息をイメージしながら声を出す。(咽頭に頼らない)
・「な」(ドレミファソファミレド ラ♯〜ラ♯ ド〜ド)半音ずつ
<アドバイス>下っ腹から息を出すっていうイメージで。笑顔で。
・スティ50番 NO.2
「あ」で1回通して歌う。
<アドバイス>音を出そうというよりも息を意識して。
・息だけで歌う
・「う」で途中まで歌う。
・「お」で途中まで歌う。通して。(気付いた事、息を意識すると声が響いて聞こえる気がする「お」は自分ではよく響く)
<アドバイス>cresのところも抑え気味に歌ってあげると息が持つと思う。抜くところ、出すところにメリハリつけて。(NK)

○歌う前の準備
息を意識して出す。お腹の下の方から出す。
パッ(C)パッ(D)パッ(E)パッ(D)パー(C)をスタッカートで。音程より息をパッパッと出す。音程を意識すると、音が細くなる。ラストのロングトーンも、その前のスタッカートと同じ意識で、置きにいかない。

終わった後にクールダウン。
モー(E)オ(D)オ(C).(OK)


<Words>

〇野球の楽しみ (松坂大輔)
考えて、練習でやってみて、試合で試してというのがなくなると寂しい。舞台の大きい、小さいは関係なく、試す事が1番の楽しみなんです。

〇勝っておごらず負けて腐らず (武豊)
批判や悪口も、勉強や刺激にします。気分が悪くても、それを活かそうと努力します。(HY)