[本のご紹介]


「人は声から若返る」(祥伝社)
 ブレスヴォイストレーニング研究所 福島英 著 1,260円

「人は声から若返る」
ブレスヴォイストレーニング研究所 福島英 著


声は若さのバロメーター!
さあ、声のアンチエイジングを始めましょう。

加齢声を若返らせて、体も顔もすっきり!
いきいき知的で好かれる声になるメソッドをご紹介します。
 適切なトレーニングで、声はどんどん魅力的になるのです!!

 
 



 加齢とともに変化するのは、体だけではありません。年を重ねるとともに、声も若いころとは違う変化をみせます。しかし、年齢を重ねているのに若々しい声の人もいれば、年齢のわりに老けた印象を人に与える声の人がいるのも事実です。女優の森光子さんのように、いきいき、溌剌として、ハリのある感じのいい声を出す人は、総じて見かけもいきいきとして若々しいものです。
 なぜ、溌剌とした声の持ち主は、心身ともに溌剌としているのでしょうか。
 
 声はとてもナイーブなものです。しかも発声はたくさんの筋肉を使って、全身で行うものです。
  だからこそ、きちんとした訓練しだいで、いつまでもいきいきとした声を出すことができます。「声のアンチエイジング」は、身近な訓練で可能なのです。
  
 あわせて、いま「声からのアンチエイジング」という考え方にも関心が寄せられています。カラオケなどで気持ちよく声を出すと、体も気分も不思議なくらいすっきりしますよね。
  「声からのアンチエイジング」とは、老化した声をヴォイストレーニングで若返らせれば、その人自身まで若々しく変わることができるという考え方です。
 実際、発声や呼吸法は、体を若々しく保つ有効な健康法であり、トレーニングであると認知されはじめており、私もそうしたトレーニングの開発に携わっています。 なぜ、溌剌とした声の持ち主は心身ともに溌剌としているのか?― その秘密はこの「声からのアンチエイジング」にあると思うのです。

 私はヴォイストレーナーとして、二十年以上にわたり、他のスタッフとともに研究所を構え、多くの人の声の魅力を引き出してきました。役者、声優、歌手といった、声をプロとして使う方から、普段の生活でカラオケ、コーラスなどの声をよくしたい、仕事に役立てたいと思っている一般の方まで、何千人もの人の発声レッスンに携わってきました。教師や営業職の人に限らず、声は多くの人にとって、一番身近にあり、他人への印象を左右する道具です。嫌な声、嫌われる声のほうがよいと思う人は、きっと一人もいないでしょう。
       
 声をよくするには、
1.声とその周辺について知り、
2.自分の声と状況を把握し、
3.最低限必要な知識を得てトレーニング  をすることです。

 声を魅力的にするために大切な呼吸、発声、発音、表現法のレッスンを、私は、長年にわたって教え、本にもまとめてきました。そのノウハウを、アンチエイジングの視点からわかりやすくまとめたのが本書です。 早速、あなたの声の魅力アップにとりくみましょう。
 声は、ほおっておけば必ず衰えます。声を出さなければ、表情筋や舌の動きも衰えます。しかし、適切なトレーニングをすれば、声はどんどん、いきいきと魅力的になるものです。ひいては全身の若々しさにつながることでしょう。
 
 詳しくは本編に譲りますが、私は、この職に就いてから病気らしい病気を一度もしたことがありません。これもヴォイストレーニングの効果ではないでしょうか。読者の皆さんにも、ぜひこの効果を実感していただければと願っております。
 数あるヴォイストレーニングの中、本書では、「加齢声を若返らせる」呼吸法、発声のトレーニング方法を中心にお伝えしようと思います。実年齢にかかわらず、体や声に何となく年齢を感じ始めた方のお役に立てたら、嬉しく思います。

                                           (まえがきより)


 音楽家は長命といわれます。特に声楽家は、若々しい声を長く聞かせてくれますね。三大テノールのパヴァロッティは72歳
(2007年死去)、ドミンゴは66歳、カレーラスは61歳ですが、いまだに精力的なステージ活動をしています。
 シャンソン界では、シャルル・トレネは87歳で亡くなりましたが、亡くなる数カ月前も元気な姿を見せていました。06年は、シャルル・アズナブール(83歳)が来日したのは、記憶に新しいところです。イヴェット・ジロー( 歳)も来ました。今年もブルーノートでは、伝説的ジャズシンガー、ジミー・スコット(82歳)が歌っています。
 日本でも淡谷のりこさん、藤山一郎さんのまったく老いを感じさせない声は、長く日本人を魅了してきました。ピアニストや指揮者にも長命な人はたくさんいます。
 
 吉永小百合さんは60歳。「放浪記」上演1800回を超える森光子さんは86歳です。ほかにも、若尾文子(72歳)、野際陽子(70歳)、雪村いづみ(69歳)、仲代達矢(73歳)、菅原文太(73歳)、津川雅彦(66歳)、宇津井健(74歳)と、年齢を感じさせず、第一線で活躍されている方がたくさんいらっしゃいます。

 この方々に共通するのは、声が若いということです。それには、声のプロとして声を気にかけ、磨き、鍛えていた時期があったということ、いえ、今も人前に出て、体のしぐさ、顔の表情、そして声にも磨きをかけていらっしゃるのです。それを支えるのは、体力です。森さんは、今でも毎日150回のスクワットを欠かさないといいます。

 もちろん、短命な人もいないことはありません。しかし、総じて芸術家は長命というよりも、命あるかぎり挑戦しつつ、生を燃焼するのです。寿命は、天命の定めるところかもしれません。しかし、死ぬまで目的を持ち、それに挑み、その結果、若々しく生きている彼らに学べることは少なくないと思うのです。
 第一に挑戦意欲、アーティストに定年はありません。
 第二に、生きていることを楽しみ、充ちさせること。
 第三に、その生き方のもたらす豊かさや交遊、これらは一般の人の呆けを恐れている生活とは、対極にもありそうです。

 しかし、私は、音楽、歌、声を通じて、アーティストに準じた人生を送ることは、誰にでもできると思っています。少なくとも声というのは、誰もが生まれてこのかた使ってきたものです。そこに大きなヒントが隠れていると思うのです。

 

 


 

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